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後見【こうけん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

後見
こうけん
guardianship
未成年,あるいは判断力(→行為能力)が十分でない成年者に対する看護教育,療養看護,さらに財産管理などの保護を,後見人などを定めてあたらせる制度民法上の法定後見と,「任意後見契約に関する法律」に基づく任意後見(→任意後見制度)とがある。民法上の法定後見のうち,未成年者の後見は,親権者がいない場合,もしくは権を行なう者に財産管理権がないときに開始される(民法838条1号)。他方,民法上の成年後見(→成年後見制度)は,精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について,家庭裁判所が後見開始の審判をすることで開始する(7条,838条2号)。これに対して,任意後見とは,本人が判断能力を有している間に,将来,判断能力が不十分になった場合を考えて,あらかじめ契約により,本人の生活,療養看護,財産管理に関する代理権(→代理)を受任者に付与する制度である。後見の機関としては,後見人(任意後見人)のほか,後見人の監督にあたる後見監督人任意後見監督人),家庭裁判所がある(848条以下,863条,任意後見契約に関する法律4)。
後見の制度を歴史的にみると,上代には相続人が幼少の場合,母と相続人が共同相続する形式の後見と,相続人が成人に達するまで,母と親族が中継的に相続して後見する中継後見とがあったと考えられている。律令に女戸主が認められ,また多くの女帝が「中天皇」と称せられたのはこのためである。しかし,奈良時代以降これらはしだいにすたれ,代わって被後見人を代理する代理後見が現れた。摂政の増加はその好といえる。以後,戦国期武士層の陣代,番代などの特殊なものを含め,近代法制の導入にいたるまで代理後見と中継後見とが併存していた。

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後見
こうけん
能,狂言歌舞伎舞踊などで演技者の助けをする役,またその人。 (1) 能 1人から3人。能舞台の左奥の後見座に,正面を向いてすわる。本来は,シテが演能中に事故を生じたときに即座代役をつとめる役で,シテと同じを懐中して出るのが原則であり,舞台監督的職能をもつ。通常は,シテの装束を直したり,作り物や小物具の出し入れをしたりして,演技を助ける。『道成寺』の場合は,特に鐘引き後見がに出る重要な役割である。ワキ方囃子方狂言方も必要に応じて後見を出す。狂言の場合も役割は能と同様である。 (2) 歌舞伎舞踊 衣装によって,かみしも後見と黒後見がある。差金を使い,踊り手の引抜き,ぶっ返りなどを手伝い,小道具の出し入れをする。

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デジタル大辞泉

こう‐けん【後見】
[名](スル)
年少の家長・主人などの後ろだてとなって補佐すること。また、その役目の人。後(うし)ろ見(み)。
法律で、親権者のない未成年者成年被後見人などを監護し、その財産の管理などを行う制度。後(うし)ろ見(み)。→成年後見制度法定後見
能・狂言・歌舞伎・舞踊などで、演技者の後方に控えて、装束の直し、小道具の受け渡し、その他演技の進行の介添えをする者。
鎌倉幕府の執権連署、また、室町幕府の関東管領をさしていう。後(うし)ろ見(み)。
後日に出会うこと。再会すること。
「我は一時の命なれば―を期し難し」〈海道記
後になって書物などを他人が見ること。また、その人。
「―の人、若し錯謬有らば之を削り」〈雑談集・一〇〉

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世界大百科事典 第2版

こうけん【後見】
(1)能・狂言の役種。開演と同時に作り物が必要な場合は舞台に運び出して据え置き,上演中は舞台の後座(あと)の向かって左のに座して演技を注視し,舞台進行に応じて随時シテその他の役の装束を直したり,作り物,小道具を取り扱ったりする。通常,能は2人,狂言は1人だが,習い物などの重い演目では能は3人,狂言は2人になることがある。2人以上のときは,主要なほうを主後見(おもこうけん)という。不測事態,たとえば演者が絶句したときに詞章をつけるのは後見の役目であり,極端な例としては演者が演能中に発病もしくは故障を生じたとき,後見が即座に代わって演能を続行することになっている。

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こうけん【後見】
未成年者には,生活につき配慮をしてくれる者が必要であり,さらに,財産があればこれを管理してくれる者も必要である。また,禁治産者については前記の者のほか,療養看護をしてくれる者が必要である。これらの必要を満たすものを後見制度といい,前者未成年後見後者禁治産後見という。まず前者について述べ,後者については前者との差異点のみを述べることにする。
[未成年後見]
 日本の民法では,未成年者の親が親権者となり未成年者を保護するのが原則である。

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うしろみ【後見】

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精選版 日本国語大辞典

うしろ‐み【後見】
〘名〙 (人の後ろにいて、その人を見守るの意から) 世話をすること。後ろだてとなって力添えをすること。また、その人。おしろみ。
① 摂政、関白、将軍、その他政治の実権者が天皇を、執権が将軍を、臣下が主君を、妻が夫を世話すること。また、親が子を、夫が妻をなど、上位の者が下位の者の面倒を見る場合についてもいう。
※落窪(10C後)二「此の三位中将、〈略〉人のうしろみしつべき心あり」
※今昔(1120頃か)二二「于今(いまに)摂政関白として〈略〉天皇の御後見として政(まつりごち)給ふ」
② 幼少の者、または能力のない者を助け、力添えすること。また、その人。特に、一家の主人など責任のある立場の者がその責任を果たせない場合に、関係者が補佐することについていう。こうけん。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「年を数ふるに十二ばかりにこそなるらめ。〈略〉ゐていでてまじらひなどをこそせさせめ。そのうしろみもたれかせん」
[語誌](1)公私にわたる物質的精神的補佐役・後見役の人をいうが、上代の用例は認められず、平安中期以降に定着した語らしい。「うしろみ」と称される人物の範囲は広く、親・夫・親戚・乳母などに及んでいる(多くは家族関係)。
(2)「後見(こうけん)」は漢語として認定できないので「うしろみ」の漢字音読と考えられる。

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うしろ‐・みる【後見】
〘自マ上一〙 後見をする。補佐する。世話をやく。うしろむ。
※枕(10C終)二八「物しり顔にをしへやうなる事いひ、うしろみたる、いとにくし」

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うしろ・む【後見】
[1] 〘自マ上二〙 (上一段動詞「うしろみる(後見)」の上二段化) =うしろみる(後見)
※承応版狭衣物語(1069‐77頃か)三「なま宮腹にてうしろむる人なからむよりは」
[2] 〘自マ四〙 (名詞「うしろみ(後見)」をマ行四段に活用させたもの) =うしろみる(後見)
※源氏(1001‐14頃)玉鬘「つきづきしくうしろむ人などもこと多からで」
[語誌]「人を思ひうしろむべけれど」(紫式部日記‐消息文)など、終止形の例は(一)(二)の別がはっきりせず、未然、連用形の「うしろみ」は上一、上二、四段のいずれかわからない。語源などから、上一段が本来の形だったと思われる。→かいまみる

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こう‐けん【後見】
〘名〙
[一] (「後見(うしろみ)」を音読した語) 背後から世話、監督すること。
① 一国一郡の長や家長などが年少であるとき、その代理となったり、補佐したりすること。また、その人。
※中右記‐長承三年(1134)三月五日「朝隆自本家御後見之人也」
※政党評判記(1890)〈利光鶴松〉一〇「以て其勢力に依りて監督し、後見するの外あることなし」
② 鎌倉幕府の将軍に対する執権の政治的位置。
※吾妻鏡‐貞応三年(1224)六月二八日「相州、武州為軍営御後見
※梅松論(1349頃)上「皆以将軍家御後見として、政務を申行、天下を治る」
③ 室町幕府が関東地方を治めるためにおいた関東管領をさしていう。
※鎌倉大草紙(16C中か)「鎌倉の御後見にて山の内殿の先祖是也」
④ 寺院で、幼少の者を世話する僧。
※御伽草子・花みつ(有朋堂文庫所収)(室町末)「暫くの間別当に御預け候へ、こうけん申たく候ふと仰せければ」
⑤ 戦国時代の武家で一家の主が幼少で家督をついだとき、その家長にかわり、一族を指揮し、領地を治め、また軍役を務めるなどしたもの。名代。陣代。
※関八州古戦録(1726)一七「其子国千代丸忠政今年十歳なりし故康高の聟榊原式部大輔康政後見して此度の一挙にも彼被官合属等康政の指揮に従て出陣せり」
⑥ 職務を監督、補佐する役。また、その役の人。
※鵤荘引付‐永正九年(1512)七月二九日(兵庫県史)「此方の衆も沙汰人并後見中間衆已下令同道打帰り」
⑦ 江戸後期、徳川幕府で将軍が幼少のとき、これに代わって政務をとる大老や老中の上におかれた臨時の職。家茂が将軍になったとき、前将軍の遺言によって田安慶頼がその職についたのが最初。
※禁令考‐前集・第二・巻一四・安政五年(1858)八月「田安中納言政事後見の旨諸向へ達」
⑧ 民法で、成年被後見人または親権者のいない未成年者を保護し、その財産管理や法律行為を代理する職務。また、その制度。
※民法(明治二九年)(1896)九三八条「後見の計算は後見監督人の立会を以て之を為す」
⑨ (後見をする人は実際に権力を持っていることが多いところから転じて) 権威・威光をいう。
※浄瑠璃・心中万年草(1710)中「親のこうけん是非(ぜひ)なうて、どうなり共と言ひました」
⑩ 催事などの際、諸般に気を配って世話をする役。
※梵舜本沙石集(1283)六「後見の入道の梴にて聴聞しけるが聞かねて」
⑪ 能、狂言、歌舞伎、舞踊などで演技の際、後見座に控えて、演技者の装束を直したり、作り物や小道具を扱う役。演技者に事故が生じた場合はその代役を務めることもある。
※随筆・独寝(1724頃)上「師匠の後見にゆきて気を付て打をきけば」
[二] 後に見ること。時間を経過してから見ること。
① 後に出会うこと。再会すること。
※海道記(1223頃)萱津より矢矧「我は一時の命なれば後見を期し難し」
② 書物などを後日に他人が見ること。また、その人。
※高野山文書‐嘉元元年(1303)一〇月一三日・阿闍梨明俊御影堂田寄進状「云手跡、云文言、後見雖其憚、病中自筆奉之」
※吾妻問答(1467頃)「まことに短慮未練の至、後見の嘲り」
[補注](一)の⑨について、「浄瑠璃・嵯峨天皇甘露雨‐一」「それこそ親の荒権(クウゲン)、取かやしたがよいはいの」や「浮世草子・風流茶人気質‐一」「家主の高見(カウケン)にてのっぴきさせぬ様に」のように「高見」「荒権」などの表記や「こうげん」と濁った例もある。

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