●心筋【しんきん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
心筋
しんきん
myocardium
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栄養・生化学辞典
心筋
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世界大百科事典 第2版
しんきん【心筋 cardiac muscle】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
心筋
しんきん
心臓の壁をつくる組織の大部分を占め、心臓の収縮機能をつかさどっている筋で、厚い心筋層をつくっている。構造上は骨格筋に似た横紋筋(随意筋)であるが、機能上は内臓器官にある平滑筋(不随筋)のような働きをしていて、運動神経がなくても収縮することができる。心筋の横紋筋は横紋筋細胞が介在板という組織でつながれ心筋線維とよばれる構造体となり、これらが縦に接合し、細胞柱をつくる。またこの細胞柱は何回も分岐し、全体として網目構造となっている。心筋の横紋筋細胞は骨格筋の横紋筋細胞よりも細く、細胞核が1~2個(骨格筋は多核性)で、筋細胞内部の構造物である筋原線維も少ない。筋線維の網目構造の中には毛細血管網が充満している。
心筋層は外面が心外膜、内面が心内膜に覆われている。心房と心室の心筋層はそれぞれ独特の走行をとり、心房と心室の境界を形成している線維輪に付着している。つまり心房筋と心室筋とはこの線維輪によって完全に分離されている。心房筋層は内層と外層の2層で構成されている。外層筋は左右の心房を共通に囲む状態で線維輪に平行して横走する。内層筋は左右の心房壁を別々に上下に縦走している。一方、心室の筋層は外層、中層、内層の3層で構成されている。まず外層筋は線維輪から始まると右上方から左下方に斜走し、心臓尖端部の心尖(しんせん)で螺旋(らせん)状に渦を巻いて心渦を形成し、内部に進入して内層筋に移行し左右別々に縦走する。中層筋は左右心室をそれぞれ別個に囲んで横走している。中層筋は左心室壁で発達がよく、このことが血液の拍出に役だっている。内層筋の発達は弱くて薄いが、一部は心室内壁の肉柱や乳頭筋を形成している。肉柱というのは心室内面にみられる筋線維束の網状の高まりをいい、乳頭筋は房室弁を引っ張っている筋線維である。乳頭筋は心室腔内の肉柱が円錐(えんすい)状に突出したもので、腱索(けんさく)(細い腱性のヒモ)によって房室弁の各弁膜の縁との間に張られていて、房室弁が心房の中に反転するのを防いでいる。
心臓には心筋層を形成している心筋線維とは別に、心筋線維が変化した特殊な心筋線維が存在する。この線維系は一定の部位に結節状や筋束状に集まり、自律神経の刺激を受けて興奮を発生し、これを心臓の各部分に伝達し、心臓の活動を調整する神経系の役割を果たしている、いわゆる心臓刺激伝導系である。刺激伝導系は洞房結節(キース‐フラック結節)、房室結節(田原結節)、房室束、プルキンエ線維から構成される。
洞房結節は右心房壁の上大静脈の開口近くにある網状構造をした特殊心筋線維の小塊で、ペースメーカーといわれ、心臓の歩調をとり、周期的な興奮を発生する。この興奮によって心房全体の収縮が促進される。
房室結節は右心房の冠状静脈洞の開口部前方の壁内に存在する特殊心筋線維の網状構造で、心房の興奮がこの結節に伝えられ、さらにこの結節から出る特殊心筋線維の房室束によって心室に興奮が伝えられる。この房室束は右心房壁を前進して線維輪を貫通し、心室中隔の膜性部を下行して筋性部の上端で右脚と左脚に分かれ、それぞれが右心室側と左心室側の心内膜直下に入る。
房室束の両脚は心内膜下で分岐を繰り返し、細い筋線維となり乳頭筋や肉柱に分布する。この筋線維がプルキンエ線維である。
心筋は運動神経の支配で収縮運動をおこす横紋筋細胞の骨格筋と異なり、自ら収縮運動をする自動性をもち、生理的条件を整えれば心筋の一部分を切り取っても、自発的に収縮運動をおこすことができるが、生体ではその心筋の活動に、刺激伝導系が関与している。
[嶋井和世]
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精選版 日本国語大辞典
しん‐きん【心筋】
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デジタル大辞泉
しん‐きん【心筋】
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