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急性うっ滞性乳腺炎【きゅうせいうったいせいにゅうせんえん】

家庭医学館

きゅうせいうったいせいにゅうせんえん【急性うっ滞性乳腺炎 Acute Stagnation Mastitis】
◎乳汁(にゅうじゅう)がたまるため、腫(は)れて痛む
[どんな病気か]
 分娩(ぶんべん)後数日たつと、乳腺内で乳汁がさかんにつくられるようになりますが、この時期には、乳管(にゅうかん)が十分に開口していません。そのため、乳汁が乳腺内にたまり(うっ滞)、あたかも炎症をおこしたときのような、さまざまな症状がおこってくることがあります。これを急性うっ滞性乳腺炎といいます。
 通常は、乳管の発育が未熟で乳汁の通過が悪く、乳汁がうっ滞しがちな、授乳に不慣れな若い初産婦(しょさんぷ)の出産後1~2週間、すなわち産褥期(さんじょくき)の早期に発症することが多いものです。
 急性うっ滞性乳腺炎の段階では、まだ細菌感染をおこしていませんが、手当をおろそかにすると、細菌が感染して、急性化膿性乳腺炎(きゅうせいかのうせいにゅうせんえん)(「急性化膿性乳腺炎」)となりますから、注意が必要です。
[症状]
 乳房(にゅうぼう)が広範囲に腫れて、乳房全体、あるいは部分的にかたくなり、押すと痛みます。この時期は、乳房は多少熱をもちますが、全身の発熱をともなうことはありません。また、皮膚の発赤(ほっせき)(充血して赤くなる)も軽度です。もし、38℃以上の発熱がみられれば、急性化膿性乳腺炎をおこした疑いがあります。
[検査と診断]
 乳房を見れば診断がつき、特別な検査は必要ありません。急性化膿性乳腺炎との鑑別がたいせつですが、急性化膿性乳腺炎は多くは発熱をともない、鑑別できます。
[治療]
 治療の第一は、たまった乳汁を除去することです。まず、乳頭(にゅうとう)や乳房のマッサージ(「母乳の出をよくする乳房の手入れ」)で乳管(にゅうかん)を開き、積極的に授乳に努めるとともに、授乳後は搾乳器(さくにゅうき)で乳汁を残らず排除します。さらに、感染予防のために乳頭、乳輪(にゅうりん)の清拭(せいしき)を行ない、清潔にしておくことが重要です。
 乳房の痛みや張りが解消できない場合や、症状が強い場合は、乳房を冷湿布で冷やして、消炎と一時的な乳汁の分泌抑制(ぶんぴつよくせい)につとめます。
 薬物療法として、炎症をしずめるために、消炎酵素剤(しょうえんこうそざい)や抗生物質を使用することがあります。また、乳汁分泌抑制剤の使用が有効なこともあります。
[予防]
 産褥初期から規則的に授乳し、そのあと必ず搾乳器かマッサージで乳汁を残らず排除することがたいせつです。乳頭の亀裂(きれつ)や乳頭のへこんだ陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)などがあると授乳が十分できず、乳汁うっ滞をきたすので、妊娠中からの手入れがたいせつです。

出典:小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

六訂版 家庭医学大全科

急性うっ滞性乳腺炎
きゅうせいうったいせいにゅうせんえん
Acute stagnation mastitis
(女性の病気と妊娠・出産)

どんな病気か

 授乳期に乳腺内に乳汁がたまって起こります。適切な処置をしないと化膿性(かのうせい)乳腺炎に移行するおそれがあります。

原因は何か

 乳児が十分に乳汁を吸飲しない、「陥没乳頭」など乳頭の発達が悪くて授乳の障害になるなどの原因で、乳腺内に乳汁がたまり(うっ滞)、乳房の腫大や疼痛を訴えるに至ったものです。授乳期の乳汁分泌量が乳児の吸飲量より多いことが原因になります。

症状の現れ方

 乳房が大きく腫大し、乳房皮膚の静脈の拡張、青黒い色調などが認められ、乳房の緊満感(きんまんかん)(張った感じ)、疼痛を感じます。乳頭からは乳汁が漏出します。発熱などの全身症状は軽度です。

検査と診断

 通常は授乳期であること、乳児の乳汁吸飲量が少ないことを参考にし、臨床所見のみで診断は可能です。時には、授乳期の乳がんとの区別が難しいこともあります。うっ滞性乳腺炎の場合には、乳汁を絞り出すと乳房腫大などの症状はほとんどなくなりますが、授乳期の乳がんでは腫瘤が消えることはありません。

 また、どうしても区別がつかない場合には、超音波検査や針生検などによって乳がんでないことを確認します。授乳期なので、乳房の圧迫を必要とする乳腺X線撮影は困難です。超音波検査は苦痛がないので有用です。うっ滞性乳腺炎の場合には、拡張した乳管が乳腺全体に観察できます。また、明らかな腫瘤(しゅりゅう)はありません。

治療の方法

 乳汁のうっ滞を解消するために搾乳(さくにゅう)します。局所治療としては、乳房を冷やす(冷罨法(れいあんぽう))のも有効です。乳頭に問題がある場合には、乳頭をつまみ出すように努力して赤ちゃんの乳汁吸飲を促します。赤ちゃんが乳汁をまったく吸飲しようとしないのであれば、冷罨法か薬物により乳汁分泌を止め、授乳をあきらめざるをえません。

病気に気づいたらどうする

 助産師や産科医師と相談し、赤ちゃんの乳汁吸飲を促す努力をします。乳汁うっ滞がどうしても解消されないのであれば、乳汁分泌を止める処置をしてもらいます。

関連項目

 乳がん陥没乳頭

馬場 紀行

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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