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急性リンパ性白血病【キュウセイリンパセイハッケツビョウ】

デジタル大辞泉

きゅうせい‐リンパせいはっけつびょう〔キフセイ‐セイハクケツビヤウ〕【急性リンパ性白血病】
急性白血病のうち、リンパ球に分化する造血細胞が成熟する働きを失い、正常な血液を作ることができなくなる病気。リンパ芽球という未熟な血液細胞が急速に無秩序に増殖し、正常な血球をつくる機能を妨げる。急性リンパ芽球性白血病。→B細胞T細胞ALL(acute lymphoid leukemia)。→急性骨髄性白血病
[補説]増殖する悪性細胞の種類によって、B細胞性急性リンパ性白血病T細胞性急性リンパ性白血病に分けられる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

きゅうせいりんぱせいはっけつびょう【急性リンパ性白血病】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

内科学 第10版

急性リンパ性白血病(造血幹細胞移植の適応の考え方)
(3)急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL
a.予後予測因子
 ALLの予後因子として,年齢,初診時白血球数(>30000/μL),予後不良の染色体異常,寛解到達までの期間(>4週間)などが報告されている.染色体異常としては,フィラデルフィア(Ph)染色体以外にも,t(4;11),複雑核型などが予後不良であることが知られている.
b.第一寛解期における造血幹細胞移植の適応
 第一寛解期ALLに対するgenetic randomizationを行った臨床試験を統合したメタアナリシスでは,全患者を対象とした解析と高リスク患者のみを対象とした解析においてドナーあり群の全生存率が有意に上回るということが示されているため,予後不良因子を有する症例に対しては第一寛解期での同種移植が推奨されるが,標準リスク群患者においても第一寛解期移植を検討する価値がある.
c.第二寛解期以降のALLに対する移植
 第二寛解期のALLに対する同種移植の成績は30%前後であり,通常の化学療法では根治は期待できないことを考えると,同種移植の適応に問題はない.一方,初回寛解導入不応例に対しては,同種移植を行っても長期無病生存は10~20%にすぎない.
d.フィラデルフィア(Ph)染色体陽性ALLの治療
 Ph染色体陽性ALLについては化学療法の成績が著しく不良であるため,非血縁者間移植を含めて,寛解導入後早期の同種移植が推奨されていた.イマチニブの導入によって化学療法の成績は著しく向上しているが,長期生存が可能であるかどうかはまだ不明であり,現時点ではイマチニブ併用化学療法を行った後に寛解を維持している間に同種移植を行うことが推奨される.[神田善伸]
■文献
Koreth J, Schlenk R, et al: Allogeneic stem cell transplantation for acute myeloid leukemia in first complete remission: systematic review and meta-analysis of prospective clinical trials. JAMA, 301: 2349-2361, 2009.
Cutler CS, Lee SJ, et al: A decision analysis of allogeneic bone marrow transplantation for the myelodysplastic syndromes: delayed transplantation for low-risk myelodysplasia is associated with improved outcome. Blood, 104: 579-585, 2004.
Oliansky DM, Czuczman M, et al: The role of cytotoxic therapy with hematopoietic stem cell transplantation in the treatment of diffuse large B cell lymphoma: update of the 2001 evidence-based review. Biol Blood Marrow Transplant, 17: 20-47 e30, 2011.

出典:内科学 第10版
©Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
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急性リンパ性白血病(白血球系疾患)
定義・概念
 急性リンパ性白血病は,リンパ球への分化を方向づけられたリンパ球前駆細胞(リンパ芽球)が形質転換により分化を停止し,単クローン性増殖をきたすようになった腫瘍性疾患である.骨髄を増殖の主座とする.WHO分類ではBリンパ芽球性白血病(B-ALL)とTリンパ芽球性白血病(T-ALL)に分けられ,リンパ芽球性リンパ腫とは細胞帰属の点から同義とされている.一般的には骨髄においてリンパ芽球が25%以上占める場合をリンパ芽球性白血病と定義している.正常造血の障害,白血病細胞の臓器浸潤により種々の症状を呈する.
分類
1)WHO分類:
急性リンパ性白血病は,WHO分類2008年版では,前駆リンパ球系腫瘍のなかに分類され,Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫,Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫に分けられる.Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫は,反復性(再現性のある)遺伝子異常を有する場合さらに個々の異常により細分類される(表14-10-10).Burkitt白血病はWHO分類2001年版で急性リンパ性白血病に含まれていたが,2008年版では成熟B細胞腫瘍の中でBurkittリンパ腫に包括され,Burkitt白血病亜型として分類された.
2)FAB分類:
従来の形態学に基づくFAB分類では,骨髄における芽球が30%以上で,ミエロペルオキシターゼ(MPO)陽性率が3%未満,リンパ球形質陽性の場合に急性リンパ性白血病に分類される.形態学的にL1,L2,L3に分類される.L1は小細胞型で核小体不明瞭,L2は大細胞型で核小体を1個以上有し,L3は大細胞で好塩基性の細胞質と多数の空胞を特徴とする(図14-10-13).L1,L2の臨床的な差は乏しい.L3はBurkittリンパ腫の白血病化したものと同義である.
3)免疫学的表面形質による分類:
急性リンパ性白血病はリンパ芽球の分化段階によっても分類される.表面形質の発現パターンによりB細胞ではearly B precursor(pro-B),common B,pre-B期に分類され,Tリンパ球も胸腺内での分化段階によりpro-T,pre-T,cortical T,medullary T期に分類される(表14-10-11).
原因・病因
 急性リンパ性白血病は遺伝子異常に基づく腫瘍と考えられるが,その発症原因は明らかではない.放射線被曝,有機溶剤,抗癌薬による誘発事例の報告がある.
疫学
 わが国の白血病全体の推定年齢調整罹患率(2006年)は年間10万人あたり5.1人であり,このうち急性リンパ性白血病の罹患率は年間10万人あたり約1人と推定される.小児期に約2/3が発症し,高齢者で再度増加する.B細胞性とT細胞性の比率は約4:1である.
病態生理・分子病態
 急性リンパ性白血病は,リンパ球への分化を方向づけられたリンパ球前駆細胞に遺伝子異常が生じ,分化の異常,細胞増殖の亢進がもたらされ芽球が増殖する.遺伝子異常は高頻度に認められ,①染色体転座により融合遺伝子が形成される場合,②免疫グロブリン遺伝子またはT細胞受容体遺伝子と特定の遺伝子との再構成が生ずる場合,③遺伝子の欠失,④染色体数の変化,⑤点突然変異がある.転座あるいは遺伝子再構成過程のエラーによる場合は転写制御の異常が生じ腫瘍化すると考えられ,これらは病型や予後に大きく関連する.WHO分類では,反復性遺伝子異常を認める場合は独立した病型として分類されている.B-ALLでは約1/3にPAX5遺伝子の変異が認められ,T-ALLではNOTCH1遺伝子変異,HOX11(TLX1),HOX11L2 (TLX3),TAL1遺伝子などとT細胞受容体遺伝子との再構成が高頻度に報告されている.
反復性遺伝子異常を伴うBリンパ芽球性白血病
1)t(9;22)(q34;q11.2);BCR-ABL1を伴うB-ALL:
9番染色体と22番染色体の相互転座により22番染色体にフィラデルフィア(Philadelphia:Ph)染色体を認める.転座部位にBCR-ABL1キメラ遺伝子を生じ,ABL1遺伝子のチロシンキナーゼ活性の恒常的な亢進が腫瘍化の原因とされている.BCR遺伝子の切断部位により190 kDa,210 kDaのキメラ蛋白が形成される.小児では190 kDaが大半であるが,成人では210 kDaが半数を占める.年齢に伴い頻度が高くなり,成人では約25%に認められる.予後不良とされる.
2)t(v;11q23):MLL再構成を伴うB-ALL:
11q23にあるMLL遺伝子とほかの染色体との間に転座を認める.転座はt(4;11)(q21;q23),t(11;19)(q23;p13),t(9;11)(p22;q23)などがある.t(4;11)が最も多くMLL-AF4キメラ遺伝子が形成される.乳児に多く,白血球著増,中枢神経浸潤が特徴である.予後不良とされる.
3)t(12;21)(p13;q22);TEL-AML1(ETV6-RUNX1)を伴うB-ALL:
TEL-AML1(ETV6-RUNX1)キメラ遺伝子を生ずる.この異常は白血病発症過程の早期に生ずると考えられている.幼児に多く,小児ではきわめて予後良好とされる.
 その他,高2倍体B-ALLは小児では最も高頻度に認められ,きわめて予後良好である.低2倍体B-ALLは予後不良である.t(5;14)(q31;q32);IL3-IGHを伴うB-ALLは好酸球増加を特徴とするまれな病型である.t(1;19)(q23;p13.3);E2A-PBX1(TCF3-PBX1)を伴うB-ALLは強化した化学療法が有効で予後が改善した.
臨床症状
 急性リンパ性白血病の臨床症状は,白血病細胞の増殖に伴う正常造血の抑制によるもの,白血病細胞の増殖・浸潤によるもの,腫瘍細胞の崩壊によるものがある.①正常造血の抑制によるものとして,貧血(全身倦怠感,息切れ,顔面蒼白),好中球減少に伴う易感染性(細菌感染,真菌感染,発熱),血小板減少に伴う出血傾向(点状出血,紫斑)があり,ときに播種性血管内凝固症を生ずる.②白血病細胞の浸潤によるものとしては,リンパ節腫脹,肝脾腫,縦隔腫大(Tリンパ芽球性)をはじめとして全身の臓器障害をきたす.急性リンパ性白血病では中枢神経浸潤,精巣浸潤が多い.③白血病細胞の崩壊による腫瘍崩壊症候群(高尿酸血症,腎障害,播種性血管内凝固症)は,白血球著増例の治療開始時に多く生ずる.
検査成績
1)末梢血所見:
白血球数は多くの場合増加するが,減少する場合もある.通常芽球が出現する.正球性貧血,血小板減少を認める.
2)骨髄所見:
骨髄は,正形成ないし過形成でMPO陰性芽球の増加を認める.ときに芽球が過密となり,骨髄が吸引できない場合がある(dry tap).
3)血液生化学所見:
白血病細胞の増殖・崩壊によりLDHの上昇,尿酸の上昇,腎障害を認める.また臓器浸潤,感染を伴う場合は,各臓器に関連する検査値や感染症に随伴する検査異常を呈する.
診断
 確定診断は骨髄検査により行う.MPO陰性のリンパ芽球が骨髄有核細胞の25%以上を占める場合に急性リンパ性白血病と診断する.リンパ芽球の同定は染色標本による形態像と細胞表面抗原,染色体・遺伝子検査により総合的に判断し,B細胞性とT細胞性に分ける.
鑑別診断
 MPO陰性芽球は急性骨髄性白血病(M0,M5,M7)でも認められる.この場合は,リンパ球系表面抗原やTdT陽性により判定する.BCR-ABL1陽性例では,慢性骨髄性白血病のリンパ性急性転化との鑑別が必要となる.急性転化の場合は,好中球分画においてもBCR-ABL1キメラ遺伝子が陽性となりFISH法で検出できる.悪性リンパ腫の白血化は,リンパ球表面抗原,染色体などにより鑑別する.反応性リンパ球増加はウイルス感染症などで認められ,多クローン性の成熟リンパ球が増加するが,ウイルス検査などにより鑑別する.
経過・予後因子
 急性リンパ性白血病の予後不良因子は,年齢(35歳以上),白血球数高値(B-ALLでは3万/μL以上,T-ALLでは10万/μL以上),染色体異常[t(9;22),t(4;11),低2倍体染色体]があげられる.予後良好な染色体異常は,t(12;21),t(1;19),高2倍体である.また治療に対する反応性も独立した予後因子である.成人では予後不良染色体異常をもつ症例の割合が高い.
 近年の成人急性リンパ性白血病の治療成績は完全寛解率約80%,長期生存率は約35%である.一方,小児急性リンパ性白血病ではより強化した化学療法により90%以上の完全寛解率と約80%の長期生存が得られている.BCR-ABL1(Ph)陽性白血病ではABL1チロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブ,ダサチニブ)と化学療法の併用により寛解率90%以上,3年生存率60%が得られる.急性リンパ性白血病に対する造血幹細胞移植の日本の治療成績は5年生存率50~60%が得られている.
治療
 多剤併用化学療法により白血病細胞の根絶を目指す.治療相は寛解導入療法と寛解後療法(地固め療法,維持療法)からなる.寛解導入療法はリンパ系腫瘍に感受性の高いビンクリスチン,プレドニゾロンおよびアントラサイクリン系薬剤(ダウノルビシン,ドキソルビシン)が使用され,さらにl-アスパラギナーゼやシクロホスファミドが加えられることが多い.地固め療法では寛解導入療法に使用した薬剤に加え,大量シタラビンとメトトレキサートが組み合わされる.維持療法は,小児で予後の改善が認められることから,成人でも6-メルカプトプリンとメトトレキサートの内服を中心に2~3年間実施される.急性リンパ性白血病では中枢神経再発が約30%に認められるためメトトレキサートの髄腔内注射などの予防投与が行われる.若年成人では小児と同様の強化したプロトコールにより治療成績の改善が認められる.
 BCR-ABL1(Ph)陽性白血病に対しては,ABL1チロシンキナーゼ阻害薬と化学療法の併用により治療成績が著しく向上した.同種造血幹細胞移植は,予後不良因子をもつ症例およびPh陽性急性リンパ性白血病に対し第一寛解期での実施を検討する.
合併症・支持療法
 化学療法時には,好中球減少に伴う発熱(発熱性好中球減少症)を大半で生じ,敗血症に準じて抗菌薬投与が行われる.また,好中球減少期にはG-CSFの予防投与が行われる.貧血,血小板減少に対する輸血,腫瘍崩壊症候群予防のための十分な補液と尿酸生成阻害薬の投与が推奨される.[大西一功]
■文献
Bassan R, Hoelzer D: Modern therapy of acute lymphoblastic leukemia. J Clin Oncol, 29: 532-543, 2011.
Pui CH, Relling MV, et al: Acute lymphoblastic leukemia. N Engl J Med, 350: 1535-1548, 2004.
Pui CH, Robison LL, et al: Acute lymphoblastic leukaemia. Lancet, 371
: 1030-1043, 2008.

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