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急性気管支炎【きゅうせいきかんしえん】

家庭医学館

きゅうせいきかんしえん【急性気管支炎 Acute Bronchitis】
かぜ症候群に含まれる
[どんな病気か]
 急性の炎症が気管支の粘膜(ねんまく)におこる病気を、急性気管支炎といいます。ほとんどはウイルス感染が原因でおこり、かぜ(かぜ症候群(しょうこうぐん)(「かぜ症候群(普通感冒)」))に含まれます。
 かぜ症候群では、鼻汁(びじゅう)や鼻づまり、くしゃみなどの上気道(じょうきどう)の症状、せきやたんなどの下気道(かきどう)の症状、発熱や全身倦怠(けんたい)(だるさ)、関節の痛みなど、全身の症状がみられますが、せきやたんの症状が強い場合には、急性気管支炎と呼ばれることがあります。
 つまり、かぜ症候群のなかで、気管支に炎症があって、おもにせきやたんの症状が現われるものに、急性気管支炎という診断名がつけられるのです。
 これらの症状のちがいにあまりこだわらなければ、かぜ(症候群)の診断名が使われることもあります。
 また、インフルエンザでも同じような症状がみられますが、流行している時期には、インフルエンザという病名のほうがわかりやすいかもしれません。
[原因]
 急性気管支炎のほとんどは、ウイルスの感染が原因です。ライノウイルスやパラインフルエンザウイルスなど、かぜ症候群の原因と同じウイルスによるものが多いと考えられていますが、個々の急性気管支炎の原因の大部分は、正確には不明です。
 その意味では、インフルエンザも同じですが、インフルエンザの場合は流行が明らかなことが多いので、インフルエンザの病名がつけられることもあります。
 急性気管支炎は、ウイルス以外の病原微生物であるマイコプラズマや細菌が原因であったり、まれには刺激性ガスの吸入でもおこります。
[検査と診断]
 急性気管支炎では、胸部X線写真にとくに異常はみられません。
 ところが、急性気管支炎によく似た症状を示す肺炎では、胸部X線写真に異常がみられる点が異なります。
 そのため、肺炎との区別をつけるため、胸部X線写真が撮影されます。
[治療]
 ウイルスに直接に効く薬はありません。ほとんどの急性気管支炎は、自然に回復します。したがって治療は、発熱に対する解熱薬(げねつやく)の服用など、対症療法にかぎられます。
 肺炎に進展するのを防ぐため、抗生物質が用いられることもあります。
[日常生活の注意]
 安静と保温がたいせつです。水分が不足しないよう、水分の補給につとめてください。また、肺気腫(はいきしゅ)や慢性気管支炎、気管支ぜんそくの患者さんが急性気管支炎をおこすと、急に病状が悪化して、呼吸困難の発作などをおこすことがあります。そのため、「かぜ」と自分で判断せず、なるべく早く医師の診察を受けてください。
 かぜ(症候群)の予防と同様に、流行期には人ごみを避けるなどの注意が必要です。インフルエンザのワクチン接種を受けるのも1つの方法です。

出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

世界大百科事典 第2版

きゅうせいきかんしえん【急性気管支炎】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

内科学 第10版

急性気管支炎(感染症)
定義・概念・分類
 急性気管支炎は気管支に炎症を生じ,肺胞に炎症が及ばない,を主症状とする疾患である.細気管支炎を伴う場合もあるが,気管支炎に一括される.喘息性気管支炎は主として乳幼児に喘息様症状をきたす気管支炎を指す.気管支の炎症に伴い,喘鳴や咳を反復して生ずる.成人に比べて気道内腔が狭く,炎症による気道狭窄が起こりやすいために生ずる.急性気管支炎のおもな症状は,咳,の増加および色調の変化,呼吸困難,発熱である.
病因・病理
 おもにウイルス感染で生ずる.インフルエンザウイルス,ライノウイルス,パラインフルエンザウイルス,RS(respiratory syncytial)ウイルス,コロナウイルス,アデノウイルスなどが検出される.慢性呼吸器疾患の合併しない場合,細菌の検出頻度は少ない.慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併例では半数前後の症例で細菌が検出される.他方で,百日咳菌やマイコプラズマ,クラミジアが検出されることがある.刺激性ガスの吸入が原因となることもある.急性気管支炎により,上皮細胞の脱落,気道壁への炎症細胞浸潤,気道壁の浮腫・肥厚,気道内腔過分泌,気管支平滑筋収縮性亢進が生じる.
臨床症状
 典型症例において,咳は10〜20日,平均2週間前後の期間持続する.マイコプラズマや百日咳菌の感染では咳が3週間以上持続することがある.半数では膿性痰が生じる.症状は自然に軽快するが,症状の持続のため医療機関を受診する患者も存在する.この中には,急性気管支炎に伴う気管支喘息やCOPDの増悪症例も含まれる.急性気管支炎単独では,胸部の聴診で異常がないことが多い.喘息性気管支炎や細気管支炎の合併例では,連続性ラ音(笛音,いびき様音)や断続性ラ音を聴取することもある.
検査成績
 末梢血CRPの上昇や,細菌感染では末梢血白血球数の増加を認める場合がある.インフルエンザウイルス感染を疑う場合,迅速診断を行う.マイコプラズマ,百日咳,クラミジア感染では血清抗体価を測定する.胸部X線写真では陰影を呈さない.
診断・鑑別診断
 診断は臨床的な経過と,他疾患の除外により行う.鑑別すべき疾患として,気管支喘息,COPD,気管支肺炎,慢性咳をきたす疾患(咳喘息ほか)などである.
治療
 インフルエンザ感染ではノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル,ザナミビル,ラニナミビル,ペラミビル)が使用される.百日咳菌感染やマイコプラズマ,クラミジア感染ではマクロライド(エリスロマイシン,クラリスロマイシン,アジスロマイシン,ロキシスロマイシンなど)を使用する.ほかのウイルスは抗ウイルス薬の使用に該当しない.抗菌薬は,COPDの合併症があり,膿性痰がある場合に使用される.これ以外の患者では抗菌薬の適応がない.ただし,インフルエンザウイルス感染などでは肺炎球菌などの二次性細菌感染が重症化に関係するため,症状を観察しながら抗菌薬の投与を考慮する.一般的には,急性気管支炎において鎮咳薬や解熱薬など対症療法,脱水予防に対する治療や指導などで対応し,症状を緩和させる.持続する咳や夜間の咳は就学や仕事を妨げ,睡眠障害を生じるため,鎮咳薬の処方を行う.軽症ではジメモルファンやエプラジノンなどを使用する.中等以上ではコデイン製剤(コデインリン酸塩,桜皮エキスなど)を使用する.
急性細気管支炎(狭義)
 狭義の急性細気管支炎は乳幼児の細気管支の好中球炎症疾患で,RSウイルスなどのウイルス感染が原因となる.発熱,鼻汁,乾性で喘鳴を伴う咳を主症状とする.重症例ではチアノーゼや無呼吸を生ずることもある.
急性気管支炎・細気管支炎の経過・予後
 通常は自然に治癒して予後は良好である.気管支喘息やCOPDなどの基礎疾患合併症例では重症化に注意する.[山谷睦雄]

出典:内科学 第10版
©Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は原書刊行時(2013年)の時点での最新のものです.常に最新の内容であることを保証するものではありません。また,権利関係の都合で一部表示できない図や画像があります。

六訂版 家庭医学大全科

急性気管支炎
きゅうせいきかんしえん
Acute bronchitis
(子どもの病気)

どんな病気か

 急性上気道炎(きゅうせいじょうきどうえん)症状((せき)、鼻みず、発熱)に数日遅れて発症する湿性咳嗽(しっせいがいそう)(痰の(から)んだような咳)や発熱を伴う呼吸器疾患です。気管や気管支を中心に炎症が起こる下気道炎であり、小児から成人を通して最も一般的な呼吸器感染症(こきゅうきかんせんしょう)のひとつです。

原因は何か

 原因の多くはウイルス性で、細菌感染はウイルス感染後の二次感染と考えられます。まずウイルス性上気道炎が先行し、上気道分泌物の下降や呼吸に伴う吸引、ウイルス感染の下気道への波及などにより、上気道炎症状が出てから3~5日後に気管支炎が発症します。

症状の現れ方

 急性気管支炎の主な症状は、上気道炎症状に続く湿性咳嗽です。

 上気道炎症状には、水様鼻汁、くしゃみ、咽頭痛、発熱などがあり、このような上気道炎症状に続き、呼吸器症状が次第に目立つようになります。呼吸器症状としては、強い咳(初期には乾いた咳であり、そのあと痰の絡んだような湿性咳嗽となる)、痰があり、小さい子どもでは、もともと気管支が細いことから喘鳴(ぜんめい)(息を吐く時に生じるゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)を伴うことも多くなります。

 ウイルスによる場合が多いのですが、いったん解熱したあとに再び発熱する、発熱期間が長い、全身状態が悪化してくるといった症状が認められる場合は、細菌感染の合併が疑われます。

検査と診断

 咳を主とする呼吸器症状を示し、胸部聴診で呼吸音に混ざるぶつぶつ、ぱちぱちといった雑音を聴取し、強い咳や痰などの下気道の炎症症状がある場合には気管支炎や肺炎が疑われます。胸部単純X線写真上で浸潤(しんじゅん)陰影がみられない場合は、急性気管支炎と診断されます。

治療の方法

 気道の浄化のためには、気管支拡張薬や痰を切りやすくする去痰薬が使用されます。鎮咳薬(ちんがいやく)は、百日咳などの激しい咳を伴う疾患で使用されることがあります。細菌感染の合併が疑われる場合には、抗菌薬が使用されます。

坂井 貴胤

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

急性気管支炎
きゅうせいきかんしえん
Acute bronchitis
(呼吸器の病気)

どんな病気か

 気管支は、線毛(せんもう)の生えた上皮と粘液を分泌する細胞((はい)細胞)におおわれた空気の通り道です。ここを呼吸のたびに外界からの(ちり)や微生物を含んだ空気が通過するわけですが、侵入したこれらの異物は、分泌された粘液にからめとられ、線毛の運動で、口から外へ(せき)とともに痰として排出されます(図7)。

 微生物の感染により気管支粘膜に炎症が起こり、(たん)を伴う(せき)がみられる状態を一般的に気管支炎といいます。気管支炎の病態は微生物の感染のほかに、喫煙、大気汚染、あるいは喘息(ぜんそく)などのアレルギーによっても起こります。

 肺炎でも痰を伴う咳が急に現れて発熱がみられますが、胸部X線写真上で肺に陰影が認められない場合に、気管支炎という診断が臨床的になされます。

 慢性の呼吸器の病気、たとえば慢性気管支炎やびまん性汎細気管支炎(せいはんさいきかんしえん)気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう)などの病気がもともとある場合には、慢性気道感染症の急性増悪であり、これは急性気管支炎とは異なる病態です。

原因は何か

 感染症としての急性気管支炎の原因としては、ウイルスがほとんどです。成人の場合はライノウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザ、アデノウイルスなどが原因になります。ウイルス以外では、マイコプラズマやクラミジアが原因になります。細菌が原因になることはまれです。

 呼吸器に慢性の病気のある人に、痰の増加や発熱が急に起こった場合の原因としては、ウイルスと細菌の両方が重要であるといわれています。この場合は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどが主な原因細菌となります。

症状の現れ方

 急性気管支炎は急性上気道炎(じょうきどうえん)感冒(かんぼう))などに合併し、気管支粘膜の炎症によって、発熱と咳、痰が症状として認められます。この症状は肺炎でもみられますが、肺炎の場合は、炎症は主に気管支よりもさらに末梢の肺胞(はいほう)で起こるので、胸部X線像で浸潤影(しんじゅんえい)と呼ばれる陰影が認められます。肺炎の場合には炎症が気管支にも及ぶことが多いので、気管支炎と症状だけから区別することは難しく、胸部X線検査が区別のために必要になります。

 痰が長く続いたり、膿性(のうせい)の黄色の痰がみられる場合には、細菌による感染症が疑われます。このような原因微生物の違いを推測することは、治療法の違いに結びつくために重要です。

検査と診断

 検査は、気管支炎の診断と原因微生物の診断の2つの目的で行われます。

 気管支炎は明確な診断基準(クライテリア)はなく、症状と肺炎の否定によって行われます。急激に痰と咳を示す患者さんでは、肺炎の否定のためには診察と胸部X線検査が必要です。聴診で、粒の大きな水泡音(すいほうおん)(湿性ラ音)主体で、肺野(はいや)末梢に雑音が聞かれず、胸部X線像でも陰影が認められなければ気管支炎と診断し、その発症が急性であれば急性気管支炎という診断名が下されます。

 原因微生物の診断のための検査は、急性気管支炎がウイルスによって発症することが多いため、あまり有用な方法はありません。ウイルス以外のマイコプラズマやクラミジアも同様で、一般の検査室で行われる細菌学的に迅速で有用な検査法はありません。血清学的診断法として、抗体価を測定する方法があり、最近、マイコプラズマでは迅速にIgM抗体を検出する方法が開発されましたが、気管支炎そのものは疾患が重症化することが少ないために、肺炎と違って気管支炎では使われることは少ないのが現状です。

 インフルエンザによる気管支炎は例外で、鼻腔や咽頭ぬぐい液から抗原を検出する迅速診断法が行われています。インフルエンザでは高い熱がみられ、高齢者や小児では重症化することもあり、かつ有効な治療薬があるために、迅速に検査が行われています。

 一方、細菌性の気管支炎として重要なものに百日咳(ひゃくにちぜき)があります。長く続くがんこな咳の場合に疑われます。予防接種歴がない、あるいは罹患歴(りかんれき)がない場合はこれが疑われ、専用の培地(ボルデージャンク培地)で細菌培養を行い、確認します。

 インフルエンザ百日咳などの特殊な場合を除いて、原因微生物診断のための検査は通常は行われません。

治療の方法

 鎮咳(ちんがい)薬、去痰(きょたん)薬、消炎薬などが対症療法として使われます。

 原因微生物に対する特有な治療は、ウイルスが原因の場合、インフルエンザを除いて有効なものはありません。迅速診断法でインフルエンザAあるいはBと診断できた場合は、発症後48時間以内ならば両方の型ともにオセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)、A型にはアマンタジン(シンメトレル)が有効です。

 マイコプラズマやクラミジアは、周囲に同じような症状の人がいた場合に疑われる病原微生物で、マクロライド系(エリスシン、クラリス、クラリシッドなど)やテトラサイクリン系(ミノマイシン)が有効です。また、ニューキノロン系(クラビット、アベロックス、ジュニナックなど)の抗菌薬も有効です。

 細菌性の場合は、百日咳ではマクロライド系抗菌薬を選びますが、それ以外の場合には抗菌薬が臨床的に有効であるという根拠はありません。

病気に気づいたらどうする

 急性気管支炎のうち、インフルエンザ、マイコプラズマ、クラミジアが原因の場合には、有効な抗菌薬治療があります。長期に続く()えるような咳の場合は百日咳が疑われます。激しい咳と痰とが数週間続く場合には気管支結核が重要な鑑別疾患になるので、専門の医療機関への受診が必要です。

朝野 和典

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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