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急性腎不全【きゅうせいじんふぜん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

急性腎不全
きゅうせいじんふぜん
acute renal failure
腎臓で尿をつくるプロセスが急に阻害され,血中に尿素クレアチニンなどの窒素代謝物が蓄積した状態をいう。正常人の1日の尿量は 1000~2000ml程度で,腎臓内の糸球体ろ過された水分の 99%以上が,尿細管で再吸収されている。逆に生体に不必要な物質は,糸球体でろ過を受ける以外に尿細管から分泌される。尿細管内を通過中に調整された尿は腎盂 (じんう) に集められ,尿管膀胱 (ぼうこう) ,尿道を経て体外に排せつされる。この過程のどこが阻害されるかによって,急性腎不全は腎前性,腎性,腎後性に分けられる。多くは可逆性で,回復可能である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

きゅうせい‐じんふぜん〔キフセイ‐〕【急性腎不全】
さまざまな原因腎臓の機能が短期間に低下する病態高窒素血症高カリウム血症・代謝性アシドーシスなどの症状があらわれる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

きゅうせいじんふぜん【急性腎不全 Acute Renal Failure】
[どんな病気か]
 血中の老廃物が急に絶え間なく増えていく状態(高窒素血症(こうちっそけっしょう))です。1日の尿量が300~400mℓ以下の乏尿(ぼうにょう)や、1日の尿量が50~100mℓ以下の無尿(むにょう)をともなうのがふつうです。尿量の減少をともなわない(非乏尿性)急性腎不全もあります。
 急性腎不全は、腎前性(じんぜんせい)、腎性、腎後性(じんごせい)の3つに分類されます。
 腎前性急性腎不全(じんぜんせいきゅうせいじんふぜん) 腎臓への血流の低下によっておこります。原因として、出血性ショック、脱水、心不全(しんふぜん)、敗血症(はいけつしょう)などがあります。子どもや老人の脱水(熱射病、下痢(げり))では急性腎不全がおこりやすくなります。また、大きな火傷(かしょう)(やけど)では、体液、電解質を大量に失い、腎臓への血流が減少して急性腎不全となります。
 腎性急性腎不全(じんせいきゅうせいじんふぜん) 腎臓そのものの障害によりおこります。虚血、毒物、尿中物質(ヘモグロビン尿症、ミオグロビン尿症)、急性腎炎播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)(DIC)、腎動脈・静脈の閉塞(へいそく)、尿細管(にょうさいかん)の炎症、カルシウム・尿酸塩・異常たんぱくの沈殿などにより、腎臓が障害されておこります。
 腎後性(じんごせい)(閉塞性(へいそくせい))急性腎不全(きゅうせいじんふぜん) 腎臓でつくられた尿は腎盂(じんう)・尿管(にょうかん)・膀胱(ぼうこう)・尿道(にょうどう)と通過しますが、その通り道のどこかが閉塞されて尿が尿道から出てこないことによる急性腎不全です。閉塞の原因は前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)、前立腺がん、膀胱がん、骨盤内悪性腫瘍(こつばんないあくせいしゅよう)、後腹膜腫瘍(こうふくまくしゅよう)、両側尿管結石(りょうそくにょうかんけっせき)などがあります。
[症状]
 症状は腎不全の程度、原因となった病気によって異なります。乏尿や無尿がみられたら、急性腎不全や末期腎不全が考えられます。とくに無尿の場合は、両側性腎動脈閉塞、腎後性急性腎不全、急性皮質壊死(えし)、急速進行性糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)などが考えられます。前立腺、尿道の閉塞による腎後性急性腎不全では、下腹部で拡張した膀胱を触れます。また、むくみ(浮腫(ふしゅ))は脱水により生じた腎前性急性腎不全ではみられないので注意が必要です。
[検査と診断]
 診察、超音波検査により、腎後性急性腎不全(尿路閉塞)の有無をチェックします。血液検査では、尿素窒素、クレアチニン、カリウムの値が高く出ます。血圧も高くなります。カリウムが高すぎると心臓が止まってしまいます。また、胸のX線写真では水がたまり、心臓の影が大きく映ります。胸に水がたまりすぎると呼吸ができなくなり、たいへん危険です。
[治療]
 治療の基本は原因となった病気の治療です。しかし、カリウムの高い状態や胸に水のたまった状態はすぐに改善しなければなりません。腎後性急性腎不全では、閉塞部位によって、尿道からカテーテルを入れたり、超音波を見ながら背中から腎臓へカテーテルを通して閉塞を解除します。
 それ以外の急性腎不全では血液透析や腹膜透析(ふくまくとうせき)を行ない、腎臓が回復するのを待ちます。急性腎不全では、一般に水と塩分の摂取は制限されます。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

きゅうせいじんふぜん【急性腎不全】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

六訂版 家庭医学大全科

急性腎不全
きゅうせいじんふぜん
Acute renal failure
(お年寄りの病気)

高齢者での特殊事情

 腎臓の糸球体(しきゅうたい)濾過率(ろかりつ)は、30歳ごろをピークに、その後徐々に低下し、70代では若年者の60~70%になります。また、尿細管(にょうさいかん)機能(濃縮能と希釈(きしゃく)能)も加齢によって徐々に低下し、調節可能域が狭くなります。高齢者では、このような腎臓機能の低下により、急性腎不全を起こしやすくなります。

 体内水分量は、若年者に比べて男女ともに約10%減少するので、脱水症状を起こしやすく、下痢、嘔吐(おうと)、発熱、利尿薬などの影響で簡単に腎前性(じんぜんせい)腎不全になります。

 高齢者の場合、同時にさまざまな病気をもっている率が高いため、薬剤の投与機会が多くなり、とくに抗生剤や鎮痛解熱薬、悪性腫瘍(がん)の治療薬、あるいは検査のための造影剤使用などが腎不全の原因になることもあります。

 症状はこの病気に特有なものはなく、全身倦怠感(けんたいかん)、食欲不振、吐き気、嘔吐などで、そのほか不眠、せん妄(意識障害の一種)など、精神面での症状が現れる場合もあります。しかし、まったく無症状のこともしばしばあるので、注意が必要です。

診断

 急性腎不全は一般に、障害の部位により腎前性、腎性、腎後性(じんごせい)に分類されます(表11)。

 急性腎不全は可逆性(元にもどることが可能)ですが、高齢者は二次的に心不全や重症感染症を発症しやすいので、早期診断、早期治療が重要です。その際は、腎性か腎前性かによって治療方針が異なるため、このうちのどちらなのかの診断も必要です。

 表12に腎性と腎前性の鑑別項目を示します。このなかでも、尿中ナトリウム濃度とナトリウム排泄率(FENa)の数値が、見分ける際の指標として有用です。

治療とケアのポイント

 急性腎不全を発症した場合には、まず体液が減少して脱水状態にあるのか、むしろ体液過剰で溢水(いっすい)状態にあるのかを判断します。脱水による腎前性急性不全では、電解質の数値を参考に、補液の内容を決定し、早期に補液を試みます。

 脱水が改善されたり、溢水の場合には、ループ利尿薬(フロセミド)を静脈注射(静注)します。利尿反応を確認しながら20~100㎎まで増量し、その間、尿量が2倍になれば継続します。ドーパミンの持続投与や心房性ナトリウム利尿ペプチドの投与も有効な場合があり、いずれも静脈投与します。これらは併用も可能です。

 これらの治療法では効果がなく、溢水となった場合、肺水腫(はいすいしゅ)、脳神経症状の出現、高カリウム血症(6mEq/ℓ以上)、BUNが80㎎/㎗以上、HCO3が15mEq/ℓ以下の場合は、透析(とうせき)療法が必要です。高カリウム血症は致命的な不整脈を誘発するので、透析を用意する間にも緊急の処置が必要です。

 回復期は大量に尿が出るため、喪失分を考慮した水の補充や電解質輸液を行って、脱水状態にならないように注意します。

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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急性腎不全
きゅうせいじんふぜん
Acute renal failure
(腎臓と尿路の病気)

どんな病気か

 急性腎不全とは、何らかの原因により腎機能が急激(数時間から数週間)に低下し、その結果、高クレアチニン血症(血清クレアチニンの高値)、高窒素(ちっそ)血症(血中尿素窒素の高値)、体液中の水・電解質異常などが起こり、体の内部環境の維持ができなくなった状態です。

 尿量の減少を伴う乏尿性(ぼうにょうせい)急性腎不全(尿量が400ml/日以下)と伴わない非乏尿性急性腎不全に分けられ、30~60%が非乏尿性といわれています。

原因は何か

 原因は、障害された部位によって腎前性(じんぜんせい)、腎性、腎後性(じんごせい)に分けられます(表12)。それぞれが占める割合は腎前性55~60%、腎性35~40%、腎後性5%以下といわれていますが、時間の経過とともにこれらの原因が組み合わさって、病態がより複雑になります。

①腎前性

 腎臓自体に障害はなく、循環血流量が低下するために起こります。つまり尿を作る原料である血液の、腎臓への供給が不足して腎不全になった状態です。

 出血や下痢などによる循環血漿(けっしょう)量の減少、心筋梗塞(しんきんこうそく)などによる重症の心機能低下、敗血症(はいけつしょう)などによる末梢血管障害、両側腎動脈狭窄(きょうさく)など、腎臓以外の臓器障害が原因になります。

②腎性

 腎臓自体が障害されたために起こる急性腎不全です。腎臓自身の病気、薬物、その他の病気の代謝産物による閉塞や、その物質の腎毒性などが原因となります。

③腎後性

 腎臓でつくられた尿を体外へ排泄するための経路(尿管、膀胱、尿道など)が閉塞したために発症する急性腎不全です。通常は、他臓器の腫瘍の後腹膜(こうふくまく)への転移や、泌尿器科的な病気が原因となります。

 症状の現れ方は尿毒症(にょうどくしょう)の項目で詳細に解説しているので、参照してください。

検査と診断

 急性腎不全の診断は、血液検査での血清クレアチニンの値でわかります。しかし、原因検索のためには、血液検査、尿検査、画像診断(超音波、X線、CT、MRI検査など)だけでなく、詳細な病歴(経過)がヒントとなることが少なくありません。

治療の方法と予後

 治療の基本は、原因となる病態を改善し、腎機能が回復するまで、腎不全により破綻した体内の内部環境を維持することです。薬物治療で臨床上、効果が証明されたものはありません。進行した急性腎不全には血液浄化療法が必要です。

 腎臓自体の障害が原因の場合は、死亡率は10%以下といわれています。しかし、腎臓以外の臓器障害が原因の場合(とくに複数の臓器障害が同時に起こった場合には)、約50%が死亡します。

 腎機能の不完全な回復が30%にみられ、そのうち腎機能が軽度低下していても安定した経過をたどる人は約25%、腎機能がいったん回復しても徐々に低下する人が約5%います。

病気に気づいたらどうする

 病歴をはっきりさせることが最も大切です。つまり、これまでかかった病気、受けた検査や手術、薬物の服用歴とアレルギー(使ってはいけない薬)、健康食品や嗜好品などについて詳細に医師に伝えることが、原因の早期診断につながります。

福井 光峰, 富野 康日己

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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