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悪性黒色腫【あくせいこくしょくしゅ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

悪性黒色腫
あくせいこくしょくしゅ
malignant melanoma
メラノーマともいう。メラニン色素をつくり出す色素細胞 (メラノサイト) あるいは母斑細胞にできる悪性腫瘍皮膚口腔眼球に原発するが,日本人では約半数が足底に生じるので,皮膚癌と考えられることが多い。この皮膚癌のなかでも最も悪性のもので,高齢者に多い。まだ腫瘍が小さい段階で,しばしば血行性,リンパ行性に全身転移を起す。最初はほくろのような病変であるが,これが急速に大きくなり,周囲に潮紅を伴い,表面はびらん,潰瘍化を示すことが多い。太陽光中の紫外線によって,表皮色素細胞が悪性変化をきたし,数年後にこの悪性黒色腫の発生をみることがある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

あくせい‐こくしょくしゅ【悪性黒色腫】
メラニンをつくる色素細胞や母斑(ぼはん)を形成する細胞に生じる悪性腫瘍(しゅよう)手足の皮膚や眼球などに黒色のほくろ・いぼ状のものができ、他の皮膚癌(ひふがん)に比べて転移が早い。メラノーマ(melanoma)。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

あくせいこくしょくしゅ【悪性黒色腫】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

あくせいこくしょくしゅ【悪性黒色腫】
メラノサイトから生じる悪性腫瘍しゆよう。足の裏や爪の下、顔などに好発し、ほくろのようなものが急に大きくなる。転移が早く、皮膚癌にくらべ予後が悪い。メラノーマ。

出典:三省堂
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知恵蔵mini

悪性黒色腫
最も悪性度が高い皮膚癌。メラノーマとも言われる。いびつで大きくムラのある、茶から黒色のシミとして出現することが多い。全身の皮膚をはじめ、や眼窩内組織、口腔粘膜などにも発症する。発症部位は足の裏が最も多い。年間推定発症率は、日本人が人口10万人に対し1.5~2人、欧米人(白人)では15~20人。初期に治療した場合の5年生存率は90パーセント以上だが、末期の場合は10パーセント未満。や服などで慢性的に刺激を受ける部分や紫外線を多く浴びる部分に発症しやすく、1~2年以内に直径2~3ミリ程度の色素斑が5~6ミリ以上になった時は注意すべきとされている。
(2013-7-26)

出典:朝日新聞出版
(C)Asahi Shimbun Publications Inc
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日本大百科全書(ニッポニカ)

悪性黒色腫
あくせいこくしょくしゅ
malignant melanoma英語
malignes melanomドイツ語
表皮、真皮、粘膜、眼の脈絡膜、母斑(ぼはん)細胞母斑などに分布するメラノサイト(色素細胞)が悪性変化した腫瘍(しゅよう)である。きわめて高い転移能をもち、早期に転移を起こすため、予後がきわめて悪い。黒色腫細胞は、まれにしか色素産生能を失わないため、ほとんどが黒色を呈する。単に黒色腫(英語ではメラノーマ、ドイツ語ではメラノーム)ともよばれ、古くは黒色肉腫、黒色癌(がん)などともよばれていた。
 1980年代以降、メラノーマは世界的に増加傾向が目だち、現在アメリカでは増加率がもっとも高い悪性腫瘍となっている。メラノーマ増加の原因として第一に考えられるものとして、戸外スポーツの隆盛や生活スタイルの変化、とくに衣服スタイルの変化があげられる。それにより皮膚が日光紫外線に曝露(ばくろ)される機会が増えてきたことが、メラノーマ患者増加の一因と考えられる。またオゾン層破壊に伴う紫外線照射量の増大なども推定されている。日本では人口の高齢化もメラノーマ患者増加の一因と考えられている。
 メラノーマの発生頻度は人種差が著しく、白人に多く、黄色人種、黒色人種の順に少なくなる。人口10万人当りの年間発生率は、白人で10~20人、日本人で約1人、黒人で0.5人である。[池田重雄]

分類

悪性黒色腫は4病型に分類され、わが国では、末端黒子型黒色腫45%、結節型黒色腫30%、表在拡大型黒色腫16%、悪性黒子型黒色腫9%の割合で発症する。これら病型による相対的頻度も人種差が著しく、白人では表在拡大型約70%、結節型10~30%、悪性黒子型約5%、末端黒子型約3%の割合である。
(1)結節型黒色腫 結節性病変として認められ、周辺に色素斑を伴わない。各人種の全身各部位に生ずる。
(2)表在拡大型黒色腫 周辺の健常皮膚よりわずかに隆起する黒褐色局面で、弧状に増大し、局面内に腫瘤(しゅりゅう)形成をみるようになる。白人にもっともみられる病型で、男性の背部と女性の下肢に好発し、比較的若年者にも生ずる。
(3)悪性黒子型黒色腫 高齢者の顔面に好発し、緩徐な拡大、のちに腫瘤形成をみる。
(4)末端黒子型黒色腫 日本人にもっとも多くみられる病型で、足底と指趾(しし)爪部に好発する。黒人では圧倒的多数が四肢末端部と皮膚粘膜移行部に生じ、末端黒子型と結節型が多い。
 特殊型悪性黒色腫として次の3型がある。
(a)巨大母斑細胞母斑(巨大黒あざ)から発生する悪性黒色腫 5~30%ぐらいの頻度で発生をみる。組織学的には真皮内母斑からの発生が多い点で注意を要する。乳幼児期からみられることが多く、早期発見の時期を逸すると予後が悪い。
(b)悪性青色母斑 きわめてまれな腫瘍で、比較的大形の青色母斑(青あざ)から発生する。青色母斑細胞の悪性化によるもので、細胞増殖型青色母斑から生ずることが多いとされる。
(c)澄明細胞肉腫 皮下深部の軟部組織より発生するもので、軟部組織悪性黒色腫ともよばれる。手足が好発部位で、腱(けん)などに癒着した硬い結節としてみられる。[池田重雄]

病因

一般に白人の黒色腫は紫外線により誘発されるものと考えられている。悪性黒子型の発生には、慢性的な長期にわたる日光照射の蓄積が考えられる。表在拡大型では、間歇(かんけつ)的に繰り返す強い日光照射が関与しているらしい。日光中の中波長紫外線により表皮基底層部に存在するメラノサイトの核DNAが損傷され、癌遺伝子の活性化が起こるのではないかと想像されている。末端黒子型の発症には機械的な外的刺激の関与が疑われる。家族性多発性異型母斑黒色腫症候群は優性遺伝を示し、染色体1p(第1染色体の短腕)の異常が示唆されている。[池田重雄]

診断

メラノーマ病巣表面にエコー・ゼリーを塗布し、10倍のデルマトスコープ(拡大鏡)で観察することにより表在拡大型、末端黒子型、悪性黒子型メラノーマの早期診断が容易となる。メラノーマの進展度を推定するパラメーター(指針)として、血中および尿中の5-S-CD(システイニールドーパcysteinyl dopa、メラニンへの主要な中間代謝産物)の測定は有用で、それらが高値であれば広範な転移が疑われる。
 無色素性メラノーマあるいはメラニン欠乏性メラノーマでは、免疫組織化学によるS-100タンパク、HMB-45染色、電子顕微鏡的観察が必要となる。またホルマリンガス処理によってメラニン代謝中間産物が蛍光を発することを利用する蛍光法も有用である。
 通常のBモード法による超音波検査に引き続いて、病変内の血流信号を7.5~10メガヘルツのリニア型プローブを用いて観察するドップラエコー法は、メラノーマにおいて豊富な血流信号が特徴的な分布パターンを呈することから、原発巣の診断や皮膚転移、リンパ節転移の検出に有用である。
 歩哨(ほしょう)(センチネル)リンパ節の決定のためにパテントブルー(酸性染料)と99mTcコロイドなどのアイソトープ(放射線を出す物質)が用いられ、鼠径(そけい)部では90%の検出率があげられている。[池田重雄]

治療

手術療法が主体である。早期におけるやや広範な切除と予防的・根治的リンパ節廓清(かくせい)が原則である。腫瘍の厚さが3ミリメートル以上のものでは、以下のような術後補助免疫化学療法を併用する。
(1)DAV(ダブ)療法 ダカルバジンdacarbazine(略号DTIC)、ニムスチンnimustine(略号ACNU)、ビンクリスチンvincristine(略号VCR)に加えてインターフェロンβ(ベータ)を局注する。
(2)DAC-Tam(ダクタム)療法 DTIC、ACNU、シスプラチンcis-diamine-dichloroplatinum(略号CDDP)に抗エストロゲン剤のタモキシフェンTamoxifen内服を加える。
 そのほか、温熱療法、局所灌流(かんりゅう)療法、放射線(速中性子線ないし熱中性子線を含む)療法、凍結療法などもある。進行期メラノーマに対しては、確実な成果を示すものはないが、現在分子生物学的手法を駆使した遺伝子治療や免疫遺伝子治療の開発が進められている。[池田重雄]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

あくせい‐こくしょくしゅ【悪性黒色腫】
〘名〙 人体を被覆するメラニン色素形成細胞や、母斑(ぼはん)を形成する細胞の悪性変化による、増殖破壊性の強い悪性腫瘍。治療は、原則として、早期の広範囲切除。メラノーマの一つ。

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

悪性黒色腫
(直腸・肛門の病気)

 悪性黒色腫は、皮膚の色素細胞(メラノサイト)から発生する皮膚がんの一種です(図31)。最も多くみられるのは足の裏ですが、肛門にもまれに発生することがあります(悪性黒色腫全体の1.5%)。悪性黒色腫は、腫瘍が小さくても、肝、脳、骨、リンパ節、皮膚に早期に転移しやすく、予後の極めて悪い病気です。

 肛門部の悪性黒色腫は、痔疾患に伴って偶然に発見される場合もありますが、腫瘍が大きくなると痛み、出血、しこりなどの症状がみられます。鼠径部(そけいぶ)に硬いリンパ節を触れることもあります。

 診断は組織検査によって確定します。血行性に転移しやすいため、悪性黒色腫が疑われる場合は外来でむやみに生検せず、手術が行える準備のもとに入院し、ただちに迅速組織診断が行われます。

 治療は、ほかに転移がみられなければ、鼠径リンパ節郭清(かくせい)を伴う直腸切断術、または局所切除術が行われます。抗がん薬による化学療法は、切除したあとの再発や転移を予防する目的で行われます。放射線療法は、悪性黒色腫には効きにくいと考えられていますが、皮膚転移に対して温熱療法と組み合わせて行われることがあります。

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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悪性黒色腫
あくせいこくしょくしゅ
Malignant melanoma
(皮膚の病気)

どんな病気か

 悪性黒色腫は悪性度の高い皮膚がんであり、“ほくろのがん”としても広く知られています。また、色素産生能をもつため、黒褐色の平べったいあるいは盛り上がった皮膚病変となることが多いのですが、色がついていないことも、また、口腔、外陰部などの粘膜や眼の結膜などに生じることもあります。

原因は何か

 発生頻度に人種差がみられ(白人>黄色人種>黒人)、露光部の発症が多いことから、日光紫外線、とくに中波長紫外線の関与が指摘されています。また、足の裏や指(趾)の爪部(そうぶ)などに生じることから、くぎを踏んだ、ドアに指をはさんだなどの外的刺激もその誘因と考えられています。

症状の現れ方

 皮膚原発の悪性黒色腫は次の4型に分類されますが、いずれにも分類できない症例もしばしば経験します。

悪性黒子(あくせいこくし)

 高齢者の露光部、とくに顔面に好発します。黒褐色の斑状皮疹(はんじょうひしん)、すなわち悪性黒子として初発し、徐々に拡大したあとに盛り上がりを生じてきます。

②表在拡大型

 白人では最も多くみられる病型で、若年者にも生じ、体幹や下肢などに好発します。また、日本においても最近、本病型の増加が指摘されています。その原因としては、生活様式の変化(戸外スポーツの隆盛や衣服のスタイル変化など)やオゾン層破壊に伴う紫外線被曝の増加などが指摘されています。

末端黒子(まったんこくし)

 ほくろのがんといえば足の裏や指(趾)先が連想されるほど日本では最多の病型です。また、爪部に生じた時は黒色色素線条となり、進行すると爪が破壊されます。

④結節型

 ほかの3型ではまず表皮に沿って水平方向に、その後垂直方向に増殖していくのに対し、本病型では水平方向の拡大が欠如しているため、見た目には小さくても意外と進行していることがあります。

検査と診断

 ルーペやダーモスコープ(色素性皮膚病変を観察するための医療用拡大鏡)を用いて病変を詳細に観察することで診断できることも多いのですが、最終的には病理組織検査を必要とします。

治療の方法

 近年、免疫チェックポイント阻害薬(体から異物を排除する機構、すなわちリンパ球による免疫監視機構の生理的な中断や中止を抑えることで、がんへの攻撃を継続させる薬)、腫瘍特異的シグナル伝達経路阻害薬(細胞内の伝達を妨げることで、がんの増殖を抑制する薬)などの分子標的治療薬(ある特定の分子を標的とし、その機能を制御する薬)が開発・発売され、悪性黒色腫の治療戦略は大きく変わりましたが、治療の基本は手術による病変の完全切除です。

 なお、予後はその肉眼的な大きさとは無縁で、むしろ病理組織検査によるできもの(腫瘍)の厚さに相関します。そのため、その後の治療計画などを立てたうえで全切除生検、センチネルリンパ節(がんの細胞が最初にたどりつくリンパ節)生検などを行い、病期を決定するとともにその患者さんに合った治療法を選択します。

病気に気づいたらどうする

 黒褐色調のできものすべてが悪性黒色腫ではなく、むしろその頻度は少ないのですが、自己診断は禁物です。また、早期に発見して治療を開始することが第一であることから、後天性色素性母斑(こうてんせいしきそせいぼはん)(生後に生じたほくろ)で表6に示すような変化がみられたら、ためらうことなく皮膚科専門医を受診してください。もちろん、先天性色素性母斑(生まれた時からあるほくろ)であっても同様です。

立花 隆夫

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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