●惣領【そうりょう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
惣領
そうりょう
(1) 大宝令以前に存在した官名。西国の重要地点を支配するために,数国を管した地方官で,『続日本紀』には,筑紫,周防,吉備の惣領の名がみえている。この制度は大宝令の施行とともに廃止され,筑紫惣領のみが,大宰府の名のもとに残った。 (2) 平安時代末期に豪族の間に生じた一族の指揮者。分割相続によって細分化される所領全体を,家の中心となる者として統轄管理する嫡子で,これに対し分家の諸子を庶子と称した。鎌倉幕府は,御家人に対する公事負担を,惣領を通じて負課した。したがって,惣領制なるものは,主として公事勤仕のために惣領が有する支配権,惣領=庶子間の法的関係の意味となった。南北朝以降,惣領制は,財産相続が,分割より単独に変じたことによって,その存立の基礎を失い衰退した。しかし,惣領なる語は,その後,個々の家相続人の意味に転じ,その名称を長く残すことになった。
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世界大百科事典 第2版
そうりょう【惣領】
中世武家の家財産は分割相続によって男女を選ばず子に配分されたが,そのうちの主要部分を継承した男子を惣領と呼び,他の男子を庶子と呼ぶ。惣領は必ずしも長子から選ばれるのではなく,〈器量〉といってその能力により家を代表し,庶子や女子の相続所領についても関与した。具体的には家の所領に対して課されてくる関東公事をはじめとする幕府や荘園領主のさまざまな課役を庶子・女子に配分また徴収し,家の法である置文(おきぶみ)や処分状にそって庶子・女子の死後の所領のとりもどしや,ときには家の法に背いたとして所領をとりあげることもした。
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