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【あい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


あい
love
愛は人間の根源的感情として,全人類に普遍的であり,人格的な交わり,あるいは人格以外の価値との交わりを可能にする力である。ときに憎しみの対立概念とみなされることがあるが,根源的な生命的原理としては,それをも包括するものである。愛は歴史的に,地理的に,さらには交わりの形において諸相をとる。古代ギリシアにおける愛はエロスと呼ばれ,これは肉体的な愛からさらに真理へいたろうとする憧憬,衝動を含んでいる。キリスト教における愛すなわちアガペーは,人格的交わり (隣人愛) と神への愛を強調し,これを最高の価値として自己犠牲により到達されるとした。ルネサンスにおいて愛は再び人間謳歌の原動力ともみなされたが,これは愛の世俗化を意味するものともみられ,工業化の進む現代はその傾向をますます強めている。愛は人間の根源的感情であるところから,ヒンドゥー教でのカーマ,儒教における,仏教における慈悲などすべての文化圏にもみられる。また愛の現れ方は一様ではなく,性愛や友愛,愛国心,家族愛など交わりの諸相によって異なる。交わりの関係がかたよった場合には,異常性愛や憎しみに近い偏執的愛に変ることもあるが,これはもはや本来的な愛とはいえない。

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デジタル大辞泉

あい【愛】
親子・兄弟などがいつくしみ合う気持ち。また、生あるものをかわいがり大事にする気持ち。「を注ぐ」
(性愛の対象として)特定の人をいとしいと思う心。互いに相手を慕う情。恋。「が芽生える」
ある物事を好み、大切に思う気持ち。「芸術に対する
個人的な感情を超越した、幸せを願う深く温かい心。「人類への
キリスト教で、神が人類をいつくしみ、幸福を与えること。また、他者を自分と同じようにいつくしむこと。→アガペー
仏教で、主として貪愛(とんあい)のこと。自我の欲望に根ざし解脱(げだつ)を妨げるもの。
[用法]愛・愛情――「親と子の愛(愛情)」「夫の妻に対する愛(愛情)」などでは、相通じて用いられる。◇「愛」は、「国家への愛」など、広く抽象的な対象にも向けられる。◇「愛情」は、主に肉親や恋人に対して用いられ、「幼なじみにあわい愛情を抱きはじめた」などという。◇類似の語に「情愛」がある。「情愛」は「愛情」と同じく肉親や恋人間の感情を表すが、「絶ちがたい母子の情愛」のように、「愛情」よりも思いやる心が具体的である。
[補説] 
2013年10月に実施した「あなたの言葉を辞書に載せよう。」キャンペーンでの「愛」への投稿から選ばれた優秀作品。

◆自分に関する記憶や思いや遺伝子を、相手に刻みたいという思い。
L&Pさん

◆ケーキに書き込むメッセージを注文しているときの感情。
cable_carさん

◆ほんまにあかん人やなぁ…と思いながらも見守りたい、生きる助けになりたいと思う気持ち。
山崎響さん

◆二人なのに一人のような感じ。
希望岬さん

◆人を天国にも地獄にも突き落とす制御不能な感情。
HIROAKIさん

◆若者は肌を重ね、年配者は言葉を重ねる。
越乃屋さん

◆不自由になることが自然と我慢できる状態。
KO-すけさん

◆相手の痛みを自分の痛みのように感じられる瞬間。
KTさん

◆「独占欲」を綺麗な言葉で言い換えたもの。
ayumiさん

◆絶え間ない努力の結晶。
あじさいさん

◆未だ科学では解明されていないエネルギーの一種。行動力、思考力、及び幸福感に変換可能。
nakanoさん

◆心のコタツ。
rikakumiさん

◆人である原点。
MeSiYaさん

◆人を美しくもし、醜くもする矛盾にあふれたもの。
潮騒のメモリーズさん

◆恋では補えないもの。感情に勝る思い。距離や時間を隔てても朽ちないもの。
Natsuさん

◆目に見えずかけがえのないもの。知らず知らずのうち育ち、壊れるはかない存在のため、多くの人が見ようと努力するもの。
JINJINさん

◆無条件に受け入れられる、存在そのもの。
しーずーさん

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編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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あい【愛】[漢字項目]
[音]アイ(呉)(漢) [訓]いとしい めでる かなしい おしむ
学習漢字]4年
かわいがりいつくしむ。思いこがれる。いとおしいと思う気持ち。「愛妻愛情愛人愛憎恩愛求愛敬愛最愛自愛慈愛情愛親愛仁愛相愛寵愛(ちょうあい)溺愛(できあい)熱愛博愛偏愛盲愛恋愛
対象を気に入って楽しむ。「愛好愛読愛用
二つとない対象を大切にする。「愛顧愛護
大事なものを手放したくないと思う。おしむ。「愛惜割愛
[名のり]あき・さね・ちか・ちかし・つね・なり・なる・のり・ひで・めぐむ・やす・よし・よしみ・より
[難読]愛蘭(アイルランド)愛宕(あたご)・愛子(あやし)・愛子(いとしご)愛媛(えひめ)他愛(たわい)ない愛弟子(まなでし)

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まな【愛/真】
[接頭]人を表す名詞に付いて、非常にかわいがっている、大切に愛し育てている、などの意を表す。「―弟子」「―娘」

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デジタル大辞泉プラス

栃木県、那須高原ビール株式会社が製造する地ビール。「那須高原ビール」シリーズ。

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世界大百科事典 第2版

あい【愛】

【〈愛〉の意味・〈愛〉の言語
 愛の過不足なく普遍妥当な定義を求めることは,愛の様態の多岐性,愛の解釈恣意性,愛の用語の混交性のために,困難というより,不可能であり,無意義である。 人類の愛の様態は,異なる自然環境と社会組織の制約のもとに形成された結果,顕著な特性をもつまでに分化している。それらは,習俗の根強さによって,保守的な大衆羈絆(きはん)する一方,反生物学的・非人間的なゆがみによって,自覚的な個人に対する権威を失墜しつつある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

あい【愛】
対象をかけがえのないものと認め、それに引き付けられる心の動き。また、その気持ちの表れ。
相手をいつくしむ心。相手のために良かれと願う心。愛情。子への- -を注ぐ -の手をさしのべる
異性に対して抱く思慕の情。恋。 -が芽生える -をちかう -をはぐくむ
何事にもまして、大切にしたいと思う気持ち。自然に対する-
キリスト教で、見返りを求めず限りなく深くいつくしむこと。 → アガペー
人や物にとらわれ、執着すること。むさぼり求めること。渇愛。
他人に好ましい印象を与える容貌や振る舞い。あいそ。あいきょう。 阿呆口たたけば、夫が-に為つて/滑稽本・浮世風呂 4
[句項目] 愛に愛持つ

出典:三省堂
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え【愛】
接頭
名詞に付いて、愛すべき、いとしい、の意を表す。 あなにやし、-をとこを/古事記

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日本大百科全書(ニッポニカ)


あい
愛は文学、道徳、哲学、宗教いずれの観点からいっても、もっとも根本的な観念の一つである。とりわけ、キリスト教の文化圏ではこの観念をめぐって思想が展開していった。東洋にも、「仁」とか「慈悲」という思想がある。孔子(こうし)(孔丘(こうきゅう))の「孝悌(こうてい)は仁の根本である」ということばからもわかるように、仁は親子兄弟という血縁に根ざす親愛感に発するもので、この感情を無縁の人にまで広げていくことが仁道である。孟子(もうし)(孟軻(もうか))は「惻隠(そくいん)の心は仁の端(はじめ)なり」(『孟子』公孫丑(こうそんちゅう)・第29)と説き、人を慈しみ、哀れむ同情の心から愛への展開を論じている。墨子(ぼくし)(墨(ぼくてき))は「天下互いに兼愛すべし」(『墨子』兼愛篇(へん))と主張し、親族と他人を区別しない平等の愛を唱えた。仏教でいう「慈」は真実の友情で、「悲」は哀れみ、優しさを意味する。両者はほとんど同じ心情をさしており、中国や日本では、慈悲という合成語で一つの観念として表される。親鸞(しんらん)は仏の広大無辺な慈悲を太陽の光に例え、人間を超えて一木一草に至るまで仏の大慈大悲に浴するものとみなした。作家伊藤整(せい)によれば、「他者を自己とまったく同じには愛しえないがゆえに、憐(あわ)れみの気持ちをもって他者をいたわり、他者に対して本来自己がいだく冷酷さを緩和する」というのが東洋的な知恵のあり方で、この考えから、孔子の「己の欲せざるところを人に施すなかれ」という教えが出てくるのだという。他人を自分と同じに愛することの不可能が自明の前提になっていて、そこから相互に相手を哀れみ、いたわりあう愛が生まれてきたというわけである。キリスト教はこの不可能に挑戦し、「己のごとく汝(なんじ)の隣人を愛すべし」と命じる。イエス・キリストは十字架の死によって、真の愛は自己を犠牲にしなければ達成することができないことを自ら示した。そういう絶対の愛が原型として考えられていたからこそ、常人には不可能と思われる厳しい生き方が命じられたのであろう。
 ギリシア語では愛は、エロスersとアガペーagapとピリアphiliaという三つの語によって示される。これらは、愛にとって本質的な三つの位相をそれぞれ指示しているように思われる。エロスは情愛に根ざす情熱的な愛で、哲学者プラトンの『パイドロス』でいわれるように、しばしば狂気の姿をみせ、究極的には一者と合一し、真実在に溶け込むことを求めている。地上において肉体的生存を続けている限り、神的なものとの一体化を実現することはできないから、忘我恍惚(こうこつ)を求め続けていけば、エロスは必然的に死と結び付く。エロスの哲学者プラトンが生涯、真実在との出会いを求め続けたあげく、「生より死が望ましい」という一見奇怪な結論に達したのは、その意味では当然の成り行きであった。
 キリスト教的なアガペーの愛は、こういうエロスの愛と根本的に相違する。神と人間との間には、哲学者キルケゴールが「無限の質的差異」と名づけたものが介在する。だから神と人間との融合も、実体的合一もおこりえない。ただあるのは、神と人との交わりである。神と人とは絶対の深淵(しんえん)によって隔てられていながら、どうして交わることができるのであろうか。そこにこそ、イエスの真の存在意義が認められる。イエス・キリストはいわば、神と人間との仲保者であった。神の子イエスがこの地上に人間の肉において生まれたということが、いわば神の愛の唯一の証(あかし)である。「われわれはイエス・キリストによってのみ神を知る。この仲保者がないならば、神とのあらゆる交わりは断ち切られる」(パンセ)。そういうアガペーの愛にあっては、自我の神に向かう高まりも、熱狂的解体もない。神と人との間の交わりが可能となるためには、二つの主体が向かい合って存在しなければならない。同様に、人と人とが向かい合って存在することによってのみ、隣人としての愛の交わりも可能となるのである。
 ピリアの愛も、相互に独立な理性的存在者の間に成り立つ友愛である。哲学者アリストテレスによれば、人は「自分自身と同じ考えをもち、同じ事柄を望む人」や「自分自身とともに悲しみ、ともに喜ぶ人」を愛するという。つまり、親が子を愛するように、自分自身と等しい者を愛するということで、ピリアの愛は結局、利己愛に帰着する。利己愛に堕さないようにするためには、志を同じくしない者でも、あるいは愚者や悪人をも愛さなければならない。それには、ピリアの愛がアガペーにまで高まる必要があるだろう。だが、神ならぬ身で人類すべてを平等に愛することができるはずがなく、それを実践していると自称すれば、たちまち偽善に陥る。けっして偽善に陥ることのない愛は、自己愛的なエロスのみで、ピリアは、エロス的要素を失う度合いに応じて、虚偽の愛に陥りがちとなる。こうしてピリアの愛は、アガペーとエロスの両極の間を揺れ動くことになる。[伊藤勝彦]
『プラトン著、藤沢令夫訳『パイドロス』(岩波文庫) ▽アリストテレス著、高田三郎訳『ニコマコス倫理学』(岩波文庫) ▽伊藤整著『近代日本人の発想の諸形式』(岩波文庫) ▽今道友信著『愛について』(講談社現代新書) ▽伊藤勝彦著『愛の思想史』(1980・紀伊國屋書店) ▽伊藤勝彦著『夢・狂気・愛』(1977・新曜社)』

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精選版 日本国語大辞典

あい【愛】
〘名〙
① 親子、兄弟などが互いにかわいがり、いつくしみあう心。いつくしみ。いとおしみ。
※梁塵秘抄(1179頃)二「遊女(あそび)の好むもの、雑芸(ざふげい)(つづみ)小端舟(こはしぶね)、簦(おほがさ)(かざし)艫取女(ともとりめ)、男のあい祈る百大夫」
※太平記(14C後)二九「親にも超(こえ)てむつましきは、同気兄弟の愛(アイ)なり」 〔孝経‐聖治章〕
② 仏語。
(イ) 十二因縁の一つ。ものを貪(むさぼ)り執着すること。欲愛(性欲)・有愛(生存欲)・非有愛(生存を否定する欲)の三愛その他がある。
※正法眼蔵(1231‐53)仏教「十二因縁といふは、一者無明、二者行、三者識、四者名色(みゃうしき)、五者六入、六者触、七者受、八者愛、九者取、十者有、十一者生、十二者老死」 〔倶舎論‐九〕
(ロ) 浄・不浄の二種の愛。法愛と欲愛、善愛と不善愛などをいう。〔北本涅槃経‐一三〕
③ 子供などをかわいがること。愛撫(あいぶ)すること。幼児をあやすこと。
※鷺伝右衛門本狂言・縄綯(室町末‐近世初)「てうちゃくは致しませぬ愛を致しました」
④ (品物などに)ほれこんで大切に思うこと。秘蔵して愛玩(あいがん)すること。
※咄本・醒睡笑(1628)八「慈照院殿、愛に思召さるる壺あり」
⑤ 顔だちや態度などがかわいらしくて人をひきつけること。あいきょう。
※浮世草子・風流曲三味線(1706)二「都に名高き芸子瀬川竹之丞といへる美君に、今すこし愛(アイ)の増たる生れつき」
⑥ 人との応対が柔らかいさま。あいそ。
※浮世草子・好色二代男(1684)三「まねけばうなづく、笑へばあいをなし」
⑦ キリスト教で、神が人類のすべてを無限にいつくしむこと。また、神の持っているような私情を離れた無限の慈悲。→アガペー
※詩人ブラウニング(1890)〈植村正久〉「我は上帝を信じ真理を信じ愛を信ずるなりと」
⑧ 男女が互いにいとしいと思い合うこと。異性を慕わしく思うこと。恋愛。ラブ。また一般に、相手の人格を認識し理解して、いつくしみ慕う感情をいう。
※舞姫(1890)〈森鴎外〉「貧きが中にも楽しきは今の生活、棄て難きはエリスが愛」

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あい‐・す【愛】
[1] 〘他サ変〙 ⇒あいする(愛)
[2] 〘他サ五(四)〙 (サ変から転じたもの) =あいする(愛)
俳諧奥の細道(1693‐94頃)松島「負へるあり抱(いだけ)るあり、児孫愛すがごとし」
※苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉津田沼行「おなじ釜の飯をたべあった者を愛すなといって、愛さないでゐられませう」

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あい‐・する【愛】
〘他サ変〙 あい・す 〘他サ変〙
[一] 人や動物に対して心が引かれる場合。
① 非常に気に入って、いちずにかわいがる。寵愛する。
※大鏡(12C前)六「寛平の御孫なりとばかりは申しながら、人の御ありさま有識におはしまして、いづれをも村上のみかど時めかし申させ給ひしに、いますこし六条殿をばあいし申させ給へりけり」
※堤中納言(11C中‐13C頃)虫めづる姫君「この虫どもを朝夕(あしたゆふべ)にあいし給ふ」
② 好意を相手への行動として示す。また、特に、なでさする。愛撫(あいぶ)する。
※今昔(1120頃か)三一「今夜正しく女の彼の許に行て、二人臥して愛しつる顔よ」
③ (男女の間で)慕わしく思う。好きだという気持になる。恋しく思う。
※人情本・春色辰巳園(1833‐35)初「これは仇なる男などの、深くも愛せずさすがに捨もやらぬを」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「苟(かりそ)めにも人を愛するといふからには」
[二] 物事に対して心が引かれる場合。
① 貴さ、美しさなどを感じて、強く好きに思う。
※今昔(1120頃か)一九「此の硯を取出して見るに、〈略〉云はむ方无(な)く微妙なれ、愛して、手裏(てのうち)に居(すゑ)て差上げ差下し、暫く見る程に」
※徒然草(1331頃)三八「誉(ほまれ)を愛するは、人の聞(きき)をよろこぶなり」
② 美しさ、おいしさ、良さなどを好んでそれを楽しむ。愛好する。賞美する。
※今昔(1120頃か)二〇「『故別当の肉村(ししむら)なれば、吉きなめり。此の汁飲れよ』と妻(め)に云て、愛し食(くらひ)けるに」
※俳諧・去来抄(1702‐04)先師評「古人も此国に春を愛する事、おさおさ都におとらざる物を」
[三] (一説、相(あい)する) 適当に扱う。子供などのきげんをとる。あやす。
※今鏡(1170)八「ちちのみやみ給て、まろをおきて若宮はあしくよみ給かなどあいし申給けるとぞ人のかたり侍し」
※平家(13C前)九「是程の大勢の中へただ二人いったらば、何程の事をかしいだすべき。よしよししばしあひせよ」
[四] (キリスト教で)神が、あらゆるものをいつくしむ。また、そのような精神で、自分以外のものをかけがえのないものと思う。
※引照新約全書(1880)馬太伝福音書「己の如く爾の隣を愛(アイ)すべし」
[語誌](1)対象となるのは人・動植物・物事などさまざまであるが、対象への自己本位的な感情や行為を表わすことが多い。また、人に対して使う場合は目上から目下へ、強者から弱者へという傾向が著しかった。
(2)明治中期love lieben などの翻訳語として採用され、西洋の「愛」と結びついた結果、人に対しては、対等の関係での愛情を示すようになる。
(3)使役「せる(す)」受身「れる(る)」が付くときは、「せさせる(せさす)」「せられる(せらる)」となるが、近世以降詰まって「させる」「される」の形が現われる。樋口一葉「うもれ木‐六」の「喜ばれ度し愛されたし」、夏目漱石「それから‐一六」の「三千代さんの心機を一転して、君を元よりも倍以上に愛させる様にして」など。

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いとし【愛】

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いとし・い【愛】
〘形口〙 いとし 〘形シク〙 (「いとおしい」の変化した語)
① かわいそうだ。ふびんである。痛わしい。
※虎明本狂言・鈍太郎(室町末‐近世初)「散々に申しておい出て御ざるが、いとしひ事を致た」
② かわいい。慕わしい。
※歌謡・閑吟集(1518)「いとしうもなひ物、いとおしいといへどなう、ああ勝事」
※桐の花(1913)〈北原白秋〉ふさぎの虫「俺は俺自身が愛惜(イトシ)い」
[語誌]用法としては古くは親から子に対するものが多かった。のち男女間に、近世には子・従者から親・主人にも用いられるようになる。→「いとおしい」の語誌。
いとし‐が・る
〘他ラ四〙
いとし‐げ(いとし‐なげ)
〘形動〙
いとし‐さ
〘名〙

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いとし・む【愛】
〘他マ五(四)〙 (「いとしい」を動詞化した語) =いとおしむ
※春の晩(1915)〈田村俊子〉八「子供をいとしむやうに、京子のに、幾重は頬を寄せた」

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う・い【愛】
〘形口〙 (ほとんど連体形の用法だけ) 好ましい。愛すべきだ。殊勝だ。けなげだ。主に目下の者にいう。
※狂言記・烏帽子折(1660)「『それがしがゑぼしが、はげてあったが、なにとした物であらふぞ』『こころへまして、此中ぬりにやって御ざりまする』『一段ういやつぢゃ、いそいでとってまいれ』」
※浄瑠璃・義経千本桜(1747)二「今の難義を救ふたるは業に似ぬうい働」

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うつくしけ【愛】
(形容詞「うつくし」の連体形「うつくしき」にあたる上代東国方言) かわいい。
※万葉(8C後)二〇・四四一四「大君の命(みこと)かしこみ宇都久之気(ウツクシケ)真子(まこ)が手離り島伝ひ行く」

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かなしけ【愛】
〘形〙 「かなし」の連体形「かなしき」の上代東国方言。いとしい(こと・もの)。
※万葉(8C後)一四・三五五一「あぢかまの潟に咲く波平瀬(ひらせ)にも紐解くものか加奈思家(カナシケ)を置きて」
※万葉(8C後)二〇・四三六九「筑波嶺(つくばね)のさ百合(ゆる)の花の夜床(ゆとこ)にも可奈之家(カナシケ)妹そ昼も可奈之祁(カナシケ)

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し【愛】
〘形シク〙
① いとおしい。かわいらしい。慕わしい。→はしきやし
※万葉(8C後)三・四七四「昔こそよそにも見しか吾妹子奥つ城と思へば波之吉(ハシキ)佐宝山」
② 美しい。
※邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・邪宗門秘曲「かの美(ハ)しき越歴機の夢は」
[補注]ウルハシのハシと同根か。平安時代以後は①の意ではカナシ、ウツクシが栄えた。現代語のカワイイに連なるカハユシは中世以後見られる。

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め・ず めづ【愛】
〘他ダ下二〙 ⇒めでる(愛)

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めだし【愛】
〘形シク〙 (動詞「めでる(愛)」から派生したもの) 愛(め)ずべき状態にあるさま。愛らしい。ほめたたえるべきである。
※仏足石歌(753頃)「薬師は 常のもあれど 賓客(まらひと)の 今の薬師 貴かりけり 米太志加利(メダシカリ)けり」

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め・でる【愛】
〘他ダ下一〙 め・づ 〘他ダ下二〙 (対象に心がひかれ、感動したり、愛したりする気持が起こるのをいうのが原義か。従って、「に」を受けて自動詞的に用いる場合もある)
① 心がひかれ、いとしく思ったりかわいく思ったりする。愛賞する。愛する。
※書紀(720)允恭八年二月・歌謡「花ぐはし 桜の愛(めで) こと梅涅(メデ)ば 早くは梅涅(メデ)ず わが梅豆留(メヅル)児ら」
※竹取(9C末‐10C初)「いかで此かぐや姫をえてしがな見てしがなと音にききめでてまどふ」
② 心がひかれ、すばらしいと思う。感動する。ほめる。また、熱中する。
※催馬楽(7C後‐8C)鈴鹿川「鈴鹿川 八十瀬の滝を みな人の 女川留(メツル)も著く」
※太平記(14C後)一八「酒にめで引手物に耽りて」
③ 喜ばしく結構だと思う。祝うべきことと思う。
※東寺百合文書‐と・永仁二年(1294)正月四日・加治木頼平書状「年始御吉事。目出こそ思ひまいらせ候へ」
※満済准后日記‐正長二年(1429)二月一日「関御対治事。急速に御沙汰尤可目出也」

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