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感性【かんせい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

感性
かんせい
sensibility
時間と空間に本質的に制約されている物質的対象からの刺激を,感官媒介として受入れる精神認識能力で,これと対置される知的認識能力に素材を提供する。またはこのような作用の総体をもいう。能力としての感性の現実化は,主体または苦痛をもたらすため,人間行動の原動力となるが,それらは個別的な (または) として,人間の全体的善 (または悪) にしばしば対立する。したがって実践上,理性意志によって洗練され,統制されねばならない。なお,刺激に対する身体の敏感度を感性ということもある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

かん‐せい【感性】
物事を心に深く感じ取る働き。感受性。「感性が鋭い」「豊かな感性
外界からの刺激を受け止める感覚的能力。カント哲学では、理性・悟性から区別され、外界から触発されるものを受け止めて悟性に認識の材料を与える能力。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

かんせい【感性】
英語のsensibility,ドイツ語のSinnlichkeitなどの訳語として使われる用語もろもろの感官による感覚的認識能力一般から,ときに感情をも総称する用語として使われる。感覚的認識能力としての感性は,通常,知性,理性,悟性等何らかの意味での知的認識能力に対立するものとして使われ,また感性の語が主として感情の意味に重きをおかれるときには,知性と意志とに対立するものとして使われるのが一般である。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

かんせい【感性】
sensibility; ドイツ Sinnlichkeit
認識の上では、外界の刺激に応じて、知覚・感覚を生ずる感覚器官の感受能力をいう。ここで得られたものが、悟性の素材となり認識が成立する。
実践的には、人間の身体的感覚に基づく自然な欲求をいう。理性より下位のものとされ、意志の力によって克服されるべきものとされることが多い。→ 理性悟性
物事に感じる能力。感受性。感覚。 豊かな-を育てる 心に深く感じることの意で江戸期の浮世草子に既に載っている語。哲学字彙(1881年)で英語 sensibility の訳語として広まる

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

感性
かんせい
人間は、理性、悟性あるいは知性とともに、感覚あるいは感情をもつ。このうち、後者の側面を一括して特徴づけ、指示する用語が感性である。感性は、一方で、なんらかの意味で受動性をその内にはらむものとして、人間の有限性の現れという意味をもつと同時に、他方で、人間と世界、人間と人間を結ぶもっとも原初的なきずなとして、人間の生の基層の構造を素描する役割を担う。それは、理論的認識においては、より高度の抽象的思考のための素材を準備ないし素描し、実践的倫理的生活においては、反社会的ないし脱社会的傾きをはらみながらも社会的規範が自らを実現するに際してのエネルギーを提供し、美的認識においては、いわば人間の生の基本的な形ないし図式を提示して、それを象徴的に統御・展開する。人間の感性は、動物の本能と違って、隅々まで文化的体系の分節に浸されているところにその特徴をもつ。[坂部 恵]
『メルロ・ポンティ著、竹内芳郎他訳『知覚の現象学』(1967・みすず書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

かん‐せい【感性】
〘名〙
① (━する) 心に深く感じること。
※浮世草子・男色十寸鏡(1687)下「只一首の哥にて、心もやはらぎ、感性(カンセイ)するは、是哥の徳也」
② 哲学の用語。知性や意志と区別された、感覚、欲求、感情、情緒などにかかわる心の能力。→悟性理性。〔哲学字彙(1881)〕

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最新 心理学事典

かんせい
感性
Kansei
感性とは,基本的には包括的・直感的に行なわれる心的活動およびその能力,とくに,印象評価や創造・表現,論理によらない思考や判断(感性知)などにかかわる認知過程を指す。したがって,美しさや快さなどの認知や評価はもとより,味覚や嗅覚のように感情を伴う感覚,質感・速度感・広がり感といった知覚的印象の認知も,感性の範疇に含まれる。感性は,感覚から感情までを含む多様な「知覚」を意味する古代ギリシア語のアイステーシスaisthesisとも関連する。アイステーシスから美学aestheticsが誕生したが,感性も日常的には美意識やセンスの良さに使われる。感性はKanseiとして海外にも概念が輸出され,日本特有のものとされることもあるが,アイステーシスのような考え方や,感性がもともと英語のsensibilityやドイツ語のSinnlichkeitの訳語として入ってきたことを考慮するならば,むしろ,文化固有の見方や考え方を指すものとしてとらえるべきであろう。

 感性はまた,ヒューリスティックスheuristics(発見や直観・経験則に基づく問題解決や意思決定の方法)やひらめき,暗黙知など,論理的に答えを導くには条件が不足している状況で瞬時かつ的確な判断を下す能力や,既存の知識・概念にとらわれない画期的な発見や創造を行なうこと,つまりは論理回路とは別の知的判断を行なう過程や能力にも関与していると考えられる。数式や楽譜の美しさが正しい論理展開や適切なメロディ進行を裏づけるといった指摘や,科学的発見が視覚的なイメージから誕生したという例も,記号操作とは異なる思考方法の存在を示すものであろう。感性は意識的,分析的な認知過程というより,無意識的,情報統合的な過程と考えられる。

 また,感性は「き(生)の芸術」ともいわれる。これは,感性が学習を経ない生得的な能力であることを含意している。しかし一方で,時代や流行による美意識の変化など,感性は文化や社会の影響を強く受ける側面があることも指摘され,また,感性は学習によって「磨かれる」とする説もある。

 感性が印象評価などの認知過程を指すのに対し,感性を引き起こす情報,たとえば音楽や絵画の美しさや軽やかさなどを感性情報とよぶことがある。ただし,単純な刺激にも美しさを感じたり,一般に美しいと評される音楽に心が動かされないこともあり,特定の刺激が感性情報をもっていると考えるべきか,特定の情報を感性的に受け止める認知過程があると考えるべきかは議論のあるところである。しかし,特定の比率や形状,メロディやリズムなどが,美感や,軽快感,違和感など,特定の印象を与えるということも事実である。たとえば,黄金比(1:1.618)やフラクタル(自己相関)構造をもつ図形や配置は美的印象を与えるとされる。フェヒナーFechner,G.T.に始まる実験美学は,こうした刺激と感性印象との関係を実証的に調べることから出発した。現在では,彼の手法を展開した古典的な精神物理学的手法に限らず,マグニチュード推定法method of magnitude estimation(ME法)のような精神物理学的手法,さらに,相反する形容詞対を対比させて,7段階などで評定を行なうSD法semantic differential method(意味微分法)が対象の感性的側面を測る感性評価としてしばしば用いられ,因子分析やクラスター分析などの多変量解析によって,対象や印象の特徴を明らかにすることに使われている。因子分析の結果は,モダリティや刺激によらず,評価性evaluation,活動性activity,力量性potencyの3因子に分類されることが多く,これらを感情的意味affective meaningとよぶこともある。このような感性評価も感性研究の重要な側面となっている。

 なお,感性には個人の嗜好や経験が関与するため,普遍性に加え,個人差も注目される。
〔三浦 佳世〕

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