●感性【かんせい】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
感性
かんせい
sensibility
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デジタル大辞泉
かん‐せい【感性】
2 外界からの刺激を受け止める感覚的能力。カント哲学では、理性・悟性から区別され、外界から触発されるものを受け止めて悟性に認識の材料を与える能力。
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世界大百科事典 第2版
かんせい【感性】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
感性
かんせい
人間は、理性、悟性あるいは知性とともに、感覚あるいは感情をもつ。このうち、後者の側面を一括して特徴づけ、指示する用語が感性である。感性は、一方で、なんらかの意味で受動性をその内にはらむものとして、人間の有限性の現れという意味をもつと同時に、他方で、人間と世界、人間と人間を結ぶもっとも原初的なきずなとして、人間の生の基層の構造を素描する役割を担う。それは、理論的認識においては、より高度の抽象的思考のための素材を準備ないし素描し、実践的倫理的生活においては、反社会的ないし脱社会的傾きをはらみながらも社会的規範が自らを実現するに際してのエネルギーを提供し、美的認識においては、いわば人間の生の基本的な形ないし図式を提示して、それを象徴的に統御・展開する。人間の感性は、動物の本能と違って、隅々まで文化的体系の分節に浸されているところにその特徴をもつ。
[坂部 恵]
『メルロ・ポンティ著、竹内芳郎他訳『知覚の現象学』(1967・みすず書房)』
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精選版 日本国語大辞典
かん‐せい【感性】
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最新 心理学事典
かんせい
感性
Kansei
感性はまた,ヒューリスティックスheuristics(発見や直観・経験則に基づく問題解決や意思決定の方法)やひらめき,暗黙知など,論理的に答えを導くには条件が不足している状況で瞬時かつ的確な判断を下す能力や,既存の知識・概念にとらわれない画期的な発見や創造を行なうこと,つまりは論理回路とは別の知的判断を行なう過程や能力にも関与していると考えられる。数式や楽譜の美しさが正しい論理展開や適切なメロディ進行を裏づけるといった指摘や,科学的発見が視覚的なイメージから誕生したという例も,記号操作とは異なる思考方法の存在を示すものであろう。感性は意識的,分析的な認知過程というより,無意識的,情報統合的な過程と考えられる。
また,感性は「き(生)の芸術」ともいわれる。これは,感性が学習を経ない生得的な能力であることを含意している。しかし一方で,時代や流行による美意識の変化など,感性は文化や社会の影響を強く受ける側面があることも指摘され,また,感性は学習によって「磨かれる」とする説もある。
感性が印象評価などの認知過程を指すのに対し,感性を引き起こす情報,たとえば音楽や絵画の美しさや軽やかさなどを感性情報とよぶことがある。ただし,単純な刺激にも美しさを感じたり,一般に美しいと評される音楽に心が動かされないこともあり,特定の刺激が感性情報をもっていると考えるべきか,特定の情報を感性的に受け止める認知過程があると考えるべきかは議論のあるところである。しかし,特定の比率や形状,メロディやリズムなどが,美感や,軽快感,違和感など,特定の印象を与えるということも事実である。たとえば,黄金比(1:1.618)やフラクタル(自己相関)構造をもつ図形や配置は美的印象を与えるとされる。フェヒナーFechner,G.T.に始まる実験美学は,こうした刺激と感性印象との関係を実証的に調べることから出発した。現在では,彼の手法を展開した古典的な精神物理学的手法に限らず,マグニチュード推定法method of magnitude estimation(ME法)のような精神物理学的手法,さらに,相反する形容詞対を対比させて,7段階などで評定を行なうSD法semantic differential method(意味微分法)が対象の感性的側面を測る感性評価としてしばしば用いられ,因子分析やクラスター分析などの多変量解析によって,対象や印象の特徴を明らかにすることに使われている。因子分析の結果は,モダリティや刺激によらず,評価性evaluation,活動性activity,力量性potencyの3因子に分類されることが多く,これらを感情的意味affective meaningとよぶこともある。このような感性評価も感性研究の重要な側面となっている。
なお,感性には個人の嗜好や経験が関与するため,普遍性に加え,個人差も注目される。
〔三浦 佳世〕
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