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態度【たいど】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

態度
たいど
attitude
人,集団,社会問題などの社会的環境事象に対する組織化された整合的・持続的な思想信念,感情,反応傾向の総称。社会的環境に対処し適応する過程形成される。一度発達すると反応様式に規則性を与え,適応を容易にする。発達の初期には新しい経験で柔軟に変容するが,強固に体系化され固定化すると逆に適応性を失う (偏見狂信など) 。社会経済的水準,教育,性格などによって態度の形成や変容の過程は異なる。

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デジタル大辞泉

たい‐ど【態度】
物事に対したときに感じたり考えたりしたことが、言葉・表情・動作などに現れたもの。「落ち着いた態度を見せる」「態度がこわばる」
事に臨むときの構え方。その立場などに基づく心構えや身構え。「慎重な態度を示す」「反対の態度を貫く」「人生に対する態度
心理学で、ある特定の対象または状況に対する行動の準備状態。また、ある対象に対する感情的傾向。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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大辞林 第三版

たいど【態度】
ある物事に対した時の、人のようす。動作・表情などの外面に表れたふるまい。 「真剣な-に心うたれる」
ある物事に対応する身構え。応対。出方。 「学校側の-は弱腰すぎる」 「強硬な-をとる」
そぶり。挙動。 「 -がおかしい」 〔もともと漢籍にある語。当初は「哲学字彙」(1881年)にあるように英語 manner の訳語として載る。明治後期に英語 attitude の訳語として定着〕
[句項目] 態度が大きい

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

態度
たいど
attitude
ある対象や個人を取り巻く環境の一部分に関連して、個人のパーソナリティーのなかに形成されている行動や反応の準備状態をいう。態度という概念は、とりわけ心理学、社会学、または社会心理学の領域で好んで用いられるが、この概念が使われる場合の文脈は、心理学と社会学とではやや異なっている。[柴野昌山]

心理学的概念

心理学者は、態度を諸個人の心理学的特質との関連においてとらえる傾向があり、ある実験心理学者は、態度を、経験を通して組織化された精神的・神経的な準備状態であり、諸個人が関係するすべての対象や状況に対して反応しようとする傾向をつくりだすものであると考える。また態度を多次元的な組織体としてとらえる心理学者もあり、これによると態度とは、諸個人を取り巻く世界のある局面との関連において、組織化された動機的・情緒的・認知的過程がある程度の持続性をもって維持されている状態である。このように態度のなかに行動的(または動機的)成分、情緒的(感情的)成分、および認知的成分を認める考え方が、今日では妥当なものとして受け入れられている。[柴野昌山]

社会学的概念

一方、社会学者は、態度を社会的価値と関連させて考える傾向がある。たとえばアメリカの社会学者トマスとズナニエツキは、態度と価値を相互依存的にとらえ、態度はある社会的価値に対して反応しようとする個人の全体的な傾性であるとし、態度の客観的写しが価値だとするならば、態度は価値の個人的次元での写しであるという。このように心理学と社会学とでは、多少の違いはあるが、どちらも態度という概念によって、個人のパーソナリティーの内部にある力動的なメカニズムと、個人を取り巻く環境や対象の世界とを結び付け、両者の関連において人間行動を明らかにしようという点では共通している。態度概念が、いわゆる行動科学において不可欠のものとされ、広く用いられるようになったのも当然といわなければならない。とりわけ実験的状況において人間行動を研究しようとする社会心理学、意見や世論の調査を行う社会学的研究、あるいはマス・コミュニケーションの効果研究において、態度という概念は有用な分析道具とされてきた。[柴野昌山]

態度測定

態度は、先に述べたようにそれ自体潜在的であるから、人々が行う行動によって推し量る必要がある。これが態度測定attitude measurementである。態度は、まず一般に、ある問題について好意的か非好意的かという次元で測定される。そしてある特定の問題についてどの程度に好意的(または非好意的)であるか、またこの種の問題については好意的だが、他の種類の問題については非好意的であるというふうな好意―非好意性の範囲をも測定するのである。これは態度が、ある範囲内において、ある程度の一貫性をもっているからである。次に態度は、「あなたはその意見をどれくらい強く支持しますか」という形で測定される。これは態度のもつ強度の次元である。[柴野昌山]

態度変化

態度は、ある程度の一貫性のもとにその傾性を維持しようとする。だが内的動機や外的状況の変化、または自分自身や対象に対する意味づけの変化によって態度も変化する。態度変化attitude changeにおいて、もっとも変わりやすいのは、認知的部分であるが、認知(または知覚)は、なんらかの価値に基づいて構成されている準拠枠(フレーム・オブ・レファレンス)に依拠しているから、その準拠枠を変えることによって態度も変化する。たとえば、ある食物についての科学的説明が、好き嫌いを左右するのである。だが同時に態度は、その対象についての自己の情緒的関与が強い場合には容易に変化しない。いいかえれば、態度は情緒的次元の変化がなければ全体として変わらないのである。集団における共有的準拠枠やオピニオン・リーダーに対する情緒的関与によって、態度はそれまでと違った方向に変化するのである。[柴野昌山]
『竹村和久著「態度と態度変化」(唐沢かおり編『朝倉心理学講座7 社会心理学』所収・2005・朝倉書店)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

たい‐ど【態度】
〘名〙
① 物事に対して、感じたり考えたりしたことが表情、動作、ことばなどに現われたもの。身ぶり。そぶり。〔文明本節用集(室町中)〕
百物語(1911)〈森鴎外〉「一体あの沈鬱なやうな態度(タイド)は」 〔列子‐説符〕
② 事に応ずる構え方。心がまえや身がまえ。
海潮音(1905)〈上田敏訳〉序「芸術に対する態度と趣味とに於て」
③ 心理学で、行動への構え。一定の事物に対する価値判断の基礎となる感情的傾向をいう。

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最新 心理学事典

たいど
態度
attitude
日常的に使われる態度ということばは,外的に観察可能な行動やふるまいを指しているが,社会心理学において,態度は個人の内的な反応を指しており,行動を予測するために構成された仮説的構成概念である。「ある特定の実体に対する好み(もしくは嫌悪)の程度で評価することによって表わされる心理的傾向」(Eagly,A.H.,& Chaiken,S.,1993),「人や物,問題issueに関する一般的で持続的な,ポジティブもしくはネガティブな感情」(Petty,R.E.,& Cacioppo,J.T.,1986)などと定義されてきたが,本項では,態度を「ある対象の属性に関する認知に基づいた,経験によって獲得されたポジティブまたはネガティブな評価であり,その対象に対する将来的な反応傾向に影響を与える認知」と定義する。一般的には,当該の対象をポジティブ(良い,好き,尊敬など)に評価しているほど,その対象に接近するような反応(賛同する,実行するなど)が生じやすくなると考えられる。

 態度の対象には,たとえば,自分自身,他者や集団,モノ,社会的制度などあらゆるものが含まれる。社会心理学では,とくに対人魅力(他者に対する態度),少数派集団(社会的態度,偏見),自尊感情(自己への態度)などの領域について研究が行なわれている。

【態度の3要素と信念】 カッツKatz,D.とストットランドStotland,E.(1959)は,態度が三つの要素から構成されることを指摘した。認知的要素,評価的(感情的)要素,そして行動的要素である。認知的要素とは,態度対象がもつ属性に関する認知である。たとえば,態度対象がある女優の場合,「演技がうまい,声が魅力的である」という認知である。この認識は信念beliefとよばれ(Fishbein,M.,& Ajzen,I.,1975),複数の信念(認知的要素)が合成されて,態度対象に対する評価が行なわれ,態度の評価的(感情的)要素となる。具体的には,「その女優が好きである,その女優はすばらしい俳優である」と評価することになる。その評価は,ネガティブから中立点(どちらともいえない)を経てポジティブに至る連続帯上のどこかに位置する。そして,この評価的要素に基づいて,「その女優の出るドラマは欠かさず見る,もし会ったらサインをもらう」というような行動的意図が形成される。それが行動的要素である。これら三つの要素の中では,評価的要素が態度概念の本質であるととらえられている。

 なお,種々の対象に対する複数の態度の合成が価値valueであるととらえることができる。価値は態度と異なり,さまざまな事象を評価する際に働く判断基準であり,自由,美,公正など,個人によってどの基準を重視するかは異なっている。そして,ある価値が形成されると,その価値に沿った態度が形成され,表明されるようになる(Schwartz,S.H.,1995)。

【態度の形成】 態度は後天的に獲得されるものであるが,その形成にはいくつかのメカニズムがかかわっている。スターツStaats,A.W.とスターツStaats,C.K.(1958)が明らかにしたように,レスポンデント(古典的)条件づけがその一つである。ある態度対象に対してポジティブな意味合いをもつことばを対提示すると,その後,その態度対象に対する評価がポジティブになる。態度対象に対するネガティブな態度形成も同様である。そのほかにも,オペラント条件づけ(ある態度表明後に賞や罰が与えられることによって,その態度が強化もしくは弱化される)や観察学習(他者の態度表明に対する代理賞や代理罰に基づいて,自分の態度を形成する)による態度形成が考えられる。

 ある態度対象に対する態度が形成された当初,その態度は変容しやすく,行動との一貫性(後述)は低いと考えられる。その後,種々の体験を通して当初の態度が強化されれば,より強固な態度となって行動との一貫性も高くなってくる。しかし,当初,形成された態度を支持しない情報を得たり体験をしたりすると,その態度が変容され,今までポジティブに評価していた態度対象をネガティブに評価するようになることもある。その中でも,ある行為者に対して特定の態度をもつように働きかける社会的行為が説得persuasionである。

【態度の機能】 態度研究の初期の研究者であるカッツは,態度の機能として4種類を挙げている(1960)。すなわち,道具的(調整的・功利的)機能,自己防衛機能,価値表明機能,知識(対象評価)機能である。道具的機能instrumental functionとは,われわれが功利的に行動すること(賞を獲得し,罰を回避しようとすること)を支援する機能である。自分のもつ態度に従って行動することが,自分の利益を増加させ,損失を回避することにつながる。自己防衛機能ego-defensive functionとは,自尊心や自己概念が低下するのを防ぐことである。脅威をもたらす対象をネガティブに評価することによって,自己を防衛するのである。価値表明機能value expressionとは,自分の考えや価値を示す手段として態度を用いることである。たとえば,自分が平和であることに価値をおいていることを示すために,戦争へのネガティブな評価を集団内で協議しようと表明する場合である。知識機能knowledge functionというのは,種々の対象に対する評価に基づいて,個人の周囲にあるものをその個人の認知的枠組みで認識しやすくする機能である。態度が準拠枠やスキーマとしての働きをするということである。

 その後,ヘレクHerek,G.M.(1987)は,カッツ(1960)の分類にほぼ対応するような形で,態度機能を経験スキーマ機能,社会的表明機能,防衛機能,価値表明機能という4種類に分け,それらを測定するための尺度(態度機能目録attitude functions inventory)を開発している。

【態度の測定】 態度を測定するには,サーストン法,ガットマン法,リッカート法,SD法などがある。いずれの場合にも,事前に測定すべき態度対象とその範囲(たとえば,単に「教育制度」という態度対象を設定するのではなく,「高等教育制度」とか「生涯学習」というように,ある程度範囲を絞り込む)を明確にしておく必要がある。また,質問項目の語法wordingにも注意が必要である。研究者が表現したいことを平易に短く表現し,二重否定や難解な専門用語などは避けるべきである(奥田秀宇,1987; 村井潤一郎,2009)。

1.サーストン法 サーストン法は,サーストンThurstone,L.L.ら(1929)が開発した。等現間隔法method of equal-appearing intervalsともよばれ,次のような手続きによって態度項目を作成する。まず,ある態度対象をポジティブからネガティブに記述する質問項目を40~50項目ぐらい収集する(Mueller,D.J.,1986)。その際,後述のリッカート法とは異なり,態度対象を中立的に評価している質問項目も含める。そして,各質問項目がどの程度態度対象をポジティブまたはネガティブに表現しているかを10~15人ぐらいの判定者に7~11個ぐらいのカテゴリー(態度対象を非常にネガティブに表現している~非常にポジティブに表現している)に分類させる。各カテゴリーのポジティブ度に応じて数値を割り当てたうえで,各質問項目に与えられた得点の中央値(または平均)をその質問項目の評価値とする。判定者の回答に分散が大きい質問項目を削除したうえで,各質問項目の評価値がほぼ等間隔になるように20~25項目を選択する。選択された質問項目をランダムに配列したものが最終的な尺度となる。その尺度を用いて個人の態度を測定する際には,回答者に各質問項目が自分の考えに当てはまるかどうか,2肢選択(賛成,反対)で回答させる。「賛成」と回答された質問項目の評価値の中央値(または平均)がその回答者の態度得点となる。

 サーストン法の長所としては,当初の質問項目数が多ければ,異なる表現を用いた,比較的等質な尺度を二つ作成することが容易なこと,中立点を設定しているため,リッカート法に比べれば,回答結果(態度得点)を絶対的に判断することが可能なことである。他方,短所としては,尺度の作成において判定者の判断を組み込むので,その分手間がかかること,中立的な質問項目を作成するのが比較的難しいこと,必ずしも質問項目間の評価値が等現間隔にならないことなどである。

2.ガットマン法Guttman scale ガットマン法は,ガットマンGuttman,L.(1944)が開発した。態度対象を記述する質問項目を単一次元上に配列させ,ある回答者の態度得点以下の比較的ポジティブな内容の質問項目に対してはすべて賛同し,態度得点以上のネガティブな内容の質問項目にはすべて反対するように質問項目を作成する。したがって,ある回答者の態度得点がわかれば,その回答者の回答パターンをほぼ再現できるようになっている。その再現性を示す指標が再現性係数であり,0.90であることが求められる。ガットマン尺度を作成するにはまず,態度対象について記述した,ポジティブ度の異なる複数の質問項目を収集し,回答者に各質問項目に対して賛成できるかどうかを2肢選択(賛成,反対)で回答させる。回答者ごとに「賛成」の項目,「反対」の項目を確認して,回答者を縦軸,質問項目を横軸に配したマトリックス(スケイログラムscalogram)上にその結果を記録する。そして,「賛成」回答者の多い項目,「賛成」回答の多い回答者の順に,回答者と質問項目の順番を入れ換えて,変換マトリックスを作成する。なるべく左上部分もしくは右上部分に「賛成」回答が集まるように順番を入れ換える。全体的な回答分布に基づいて,質問項目ごとに賛成と反対に分岐する点を求める。その分岐点よりも下部にある「賛成」回答はエラー回答となり,再現性を低下させる質問項目と判断でき,エラー回答が多ければ,削除して再現性係数を高める。再現性係数は「1-(全エラー数/全反応数)」で算出される。ガットマン法の場合は,リッカート法やサーストン法に比べ,態度対象をかなり限定的にとらえ,かなり厳密な形で単極尺度を用いて回答者の態度を測定することになる。

3.リッカート法 リッカート法は,リッカートLikert,R.(1932)が開発した。態度対象をポジティブまたはネガティブに表現する質問項目に対する賛成度を3~11点ぐらいの尺度(まったくそう思わない~非常にそう思う)上に回答させる方法であり,最近でも盛んに用いられている。リッカート尺度を構成するには,まず,態度対象をポジティブもしくはネガティブに表現する質問項目を収集する。その際,態度対象をポジティブに表現する質問項目とネガティブに表現する質問項目(逆転項目)の数をほぼ半々にする。上記の態度の3要素に対応させて質問項目を収集することも可能である。回答者には,各質問項目がどの程度当てはまるか,どの程度賛成できるかについて3~11点の間隔尺度上に回答させる。その尺度には「まったくそう思わない~どちらともいえない~非常にそう思う」などのことばを付して回答者の理解を促す工夫がされる。ただし,そうしたことばが必ずしも選択肢間の等間隔性を保証するものではないので,選択肢に数字も付して,等間隔性を回答者に認識させる場合が多い。選択肢数を偶数にするか奇数(「どちらともいえない」という選択肢を付加する)にするかの方法論的差異はあまりないようである。最近では,特定の長さの実線上に回答者が斜線を入れる自由評定尺度も使われている。その後,収集された質問項目の語法を確認した後,100人ぐらいの回答者の回答を得,そのデータを基に項目分析を行ない,尺度の信頼性,妥当性を確認する作業が行なわれる(小塩真司,2005)。項目分析の結果に基づいて取捨選択,修正した尺度項目を用いて,新たな回答者からデータを収集し,そのデータに基づいてさらに尺度を洗練させていくことになる。

 リッカート法の長所は,尺度構成とデータ収集の比較的容易なことである。逆に,短所は,他の尺度法にも当てはまることであるが,社会的望ましさの影響を受けやすいことである。

4.SD法semantic differential method 意味微分法ともよばれる。オズグッドOsgood,C.E.ら(1957)がことば,概念のもつ意味を測定するために開発した方法を態度測定に援用したものである。彼らはいろいろなことばを対にした形容詞(たとえば,良い-悪い,大きい-小さい)を用いて尺度上に回答させ,そのデータを因子分析したところ,どのことばを用いても三つの次元に形容詞対をまとめられることを見いだした。すなわち,評価性evaluation(良い-悪い,価値がある-価値がない),潜在性potency(大きい-小さい,強い-弱い),活動性activity(速い-遅い,積極的-消極的)である。態度測定の場合には,とくに評価性に関連する形容詞対を選択して(井上正明・小林利宣,1985),回答者に5~11点尺度上に回答させる。そして,次元ごとに得点を算出したり,形容詞対ごとに平均を算出してプロフィールを描いたりして態度対象に対する評価を把握する。SD法は,適切な形容詞対を選択するだけであるので,比較的構成しやすいというメリットがある。しかし,場合によっては,態度対象を評定しにくい形容詞対が選択されてしまったり,リッカート法やサーストン法よりも直接的に態度対象について測定する傾向があり,それが回答者の反応に影響を与えてしまったりすることが考えられる。

5.潜在連合テストimplicit association test(IAT) 以上の4種の測定法は,回答者の意識がかかわる範囲の態度(顕在的態度)を測定している。それに対して,近年,意識できないレベルの態度(潜在的態度)を測定する方法がグリーンワルドGreenwald,A.G.ら(1998)によって開発されている。それが潜在連合テストである。これは,脳内に記憶されている概念間の距離を反応時間で推測しようとするものである。もし「サッカー」と「楽しい」ということばとの結びつきが「サッカー」と「つまらない」との結びつきよりも強ければ(反応時間が短ければ),その回答者はサッカーをポジティブにとらえているであろうと推測できる。しかも,反応時間で測定しているため,回答者の意識できないレベルの態度を測定していることになる。

 「女性と文学,男性と科学」という関連性をどの程度強く認知しているかを明らかにする場合には,次のような手続きが用いられる。回答者は,パソコンのモニター上に提示された二つのカテゴリー(女性と男性)を具体的に表現したことば(女性の名前と男性の名前)がどちらのカテゴリーに入るかを判断し,指定されたキー・ボード上のキー(男性の名前なら「E」(左側)キー,女性の名前なら「I」(右側)キー)をできるだけ速く押すよう教示される。次に,文学と科学というカテゴリーについても,文学(たとえば,小説,日記)と科学(たとえば,実験,物理学)を連想させることばを用いて同様な課題を行なう。ここまでが練習課題で,次に測定対象となる本課題を行なう。回答者は,「女性-文学」と「男性-科学」というように二つの概念を結びつけた課題を行なう。「女性の名前」または「文学」に関係することばが提示された場合には「E」キーを押し,「男性の名前」または「科学」に関係することばが提示された場合には「I」キーを押す。その次の課題は,「女性-科学」と「男性-文学」というように,結びつきを逆にした課題である。キーの左右の位置が結果に影響を及ぼす可能性も考えて,キーの位置を逆にした課題も行なう。こうした一連の課題における反応時間を比較して,回答者がどの程度,「女性と文学,男性と科学」を連合させて認知しているかを推測する(Greenwald,Nosek,B.A.,& Banaji,M.R.,2003)。

 潜在連合テストの長所は,潜在レベルでの態度を測定していると考えられるため,社会的望ましさの影響を受けないことであり,逆にその短所は,リッカート法のように行動意図を測定することは不得手であるということである。

【態度と行動との一貫性】 行動を予測するための仮説的構成概念である態度から,行動をどの程度予測可能なのであろうか。態度と行動との間に一貫性があるのであろうか。当初は,態度と行動とが一貫していないことを示す研究が行なわれた。たとえば,ラピエールLaPiere,R.T.(1934)は,アメリカ西海岸の人びとが東洋人に対してネガティブな感情をもっている状況を利用して,東洋人に対する態度が実際の行動と関連しているかどうかを明らかにするために,中国人夫婦を連れて,西海岸沿いを3ヵ月にわたって自動車旅行した。途中,250のホテルやレストランに立ち寄ったが,一度だけ中に入ることを拒否されただけであった。その後,ラピエールらが訪問したホテルやレストランの経営者宛てに,客として中国人カップルを受け入れるかどうかを回答させる質問紙を送付した。約50%の経営者が回答を返信し,そのうちの92%以上が中国人を受け入れないと回答してきた。似たような調査結果は,カトナーKutner,B.ら(1952)も示しており,経営者の態度と行動の間に一貫性がないことを示したといえる。

 しかし,こうした調査に問題点がなかったわけではない。つまり,質問紙において中国人に対する態度が直接測定されたわけではなく,経営者の行動的意図が測定されただけであり,また,実際に研究者たちと接した人が,アンケートや電話を受け取った個人と同一人物であるという保証はなかった。

 さらに,次のような指摘もできる。第1に,特定性のレベルの違いである。研究者は一般的なレベルで東洋人に対する態度を質問紙で測定したことになるが,実際の調査では,特定の中国人に対する行動が測定されたといえる(Weigel,R.H.,Vernon,D.T.A.,& Tognacci,L.N.,1974)。第2に,単一の行動と複数の行動の違いである。東洋人に対する態度と行動との一貫性を明らかにするにあたり,研究者はある一つの行動(ホテルに泊めるかどうか)のみを測定の対象としているが,東洋人に対する種々の行動を測定した方が,態度と行動の一貫性が見いだされると推測できる。第3に,実際の行動が生じる際には,態度以外の要因の影響も受けていると考えられる。エイゼンAjzen,I.(2006)が計画的行動理論theory of planned behaviorにおいて,行動に影響を及ぼす要因として,態度だけでなく,主観的規範やコントロール感という要因を挙げている。第4に,対象となる態度と行為者の自己関連度が関連していることである(Sivacek,J.,& Crano,W.D.,1982)。態度対象に対して,個人的に強い関心をもっている場合,あるいは,直接的な経験を通して形成された態度の場合は,態度と一貫した行動が生じやすい(Ajzen,1995)。第5に状況的な要因が考えられる。状況の力が強いと態度に基づいた行動は取られにくくなり(Ajzen & Fishbein,M.,1980),逆に,時間的圧力があると,態度と行動とが一貫しやすい傾向がある(Jamieson,D.W.,& Zanna,M.P.,1989)。さらには,われわれが自分の態度に合致した状況を選んでおり,結果として態度と結果とが一貫する傾向性も認められる(Snyder,M.,& Ickes,W.,1985)。最後に,行為者の個人的属性,とくにセルフ・モニタリング(Snyder,1979)の影響も考えられる。高セルフ・モニターに比べて,低セルフ・モニターは,自分のおかれた社会的状況に適合した行動を取ろうとする傾向が小さいために,態度と行動との一貫性は高い。

【態度の整合性】 われわれは,自分が注意を向けたり,関心をもったりしている対象に対して態度を形成するが,そうした複数の態度間および,それらと関連する信念や価値の間で整合性が成立することを求めている。それらが論理的に整合性を保つように認識しているということである。整合性が確保されないと,われわれは心理的不快感,緊張を感じ,なんとか整合性が確保されるように努力する。これを認知的一貫性cognitive consistencyとよんでいる。それに関連して,認知的バランス理論(Heider,F.,1946),A-B-Xモデル(Newcomb,T.M.,1956),認知的不協和理論(Festinger,L.,1957)が唱えられている。認知的不協和理論cognitive dissonance theoryによれば,態度,信念,価値などから構成される認知が一貫していないと,人は心理的緊張を感じる。そして,二つの認知が存在する場合,一方の認知が他方の認知の逆から論理的に導かれる程度に応じて,また,それらの認知が自分にとって重要であるほど認知的不協和を認識する。それは心理的に不快な状態なので,われわれは両者が協和な状態になるように動機づけられる。たとえば,一方の認知を変容させたり,新たな協和的な認知を補足したりする。認知的不協和理論では,態度間の一貫性だけでなく,態度-行動の一貫性についても言及しており,われわれが種々の対象に対する認知(態度)を論理的に整合した形で認識し,記憶し,それに整合した形で行動しようとすることを指摘している。 →価値 →尺度 →説得
〔今井 芳昭〕

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