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慢性硬膜下血腫【まんせいこうまくかけっしゅ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

慢性硬膜下血腫
まんせいこうまくかけっしゅ
chronic subdural hematoma
脳の表面 (硬膜と脳の間) に静脈性の出血が生じて頭痛や軽いまひを起こすもので,頭部外傷 (ごく軽い打撲でも) の後や,抗凝血薬療法 (血栓をつくりにくくする薬) 中の人に起こりやすい。外傷後,約1ヵ月 (ときに3ヵ月以上) たってから症状が出現することが多い。 CTで確実に病巣を発見でき,手術も簡単で予後はよい。外傷後すぐの CTで異常なしと出ても,ある時期から頭痛が続いて治らないといった場合は,CT検査を受けたほうがいい。なお頭部外傷後の最も恐ろしい合併症頭蓋骨骨折による硬膜外血腫であるが,こちらは動脈性のため受傷後すぐの CTでも発見される。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

まんせい‐こうまくかけっしゅ〔‐カウマクカケツシユ〕【慢性硬膜下血腫】
軽度の頭部打撲から数週間から数か月の間に、硬膜の間に血液が溜まっていく病気。高齢者の男性に多い。外傷以外に、アルコールの多飲・動脈硬化などで発症する場合もある。血腫の増大にともなって、頭痛・体の片側の麻痺・言葉のもつれ・物忘れ・失禁などの症状が見られる。手術などにより血腫を除去すれば、一般的に予後は良好。→硬膜下血腫急性硬膜下血腫

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

まんせいこうまくかけっしゅ【慢性硬膜下血腫 Chronic Subdural Hematoma】
[どんな病気か]
 脳は、外側から硬膜(こうまく)、くも膜(まく)、軟膜(なんまく)の3層の膜で包まれています。このうちの硬膜とくも膜の間の静脈が切れて出血し、血腫(けっしゅ)をつくる病気です。頭の左右両側におこることもあります。
[症状]
 血腫によって脳が圧迫されるために、頭痛、手足のまひ、ぼけ症状、尿失禁(にょうしっきん)などが現われ、放置すると血腫はどんどん大きくなり、脳圧(のうあつ)が亢進(こうしん)して意識障害がおこり、生命にかかわります。
 症状が似ているので脳卒中(のうそっちゅう)とまちがえやすいのですが、CT、MRI、脳血管撮影で診断がつきます。
[原因]
 頭部に外傷を受けてから1~2か月後に症状が現われてくることが多く、記憶に残らないほど軽い外傷でもおこります。
 また、認知症のある人や酒飲みの人では、頭を打ったことを覚えていないことも多く、症状が現われた時期がはっきりしないのが特徴です。
[治療]
 頭に小さな孔(あな)をあけて血腫を吸引し、洗い流します(血腫吸引術(けっしゅきゅういんじゅつ))。場合によっては開頭して、血腫を取り除きます。
 発見が遅れなければ、たいていは後遺症を残さずに治ります。

出典:小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)

慢性硬膜下血腫
まんせいこうまくかけっしゅ

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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六訂版 家庭医学大全科

慢性硬膜下血腫
まんせいこうまくかけっしゅ
Chronic subdural hematoma
(脳・神経・筋の病気)

どんな病気か

 脳の周囲をおおう硬膜とくも膜の間に血液がたまる病気です。多くの場合は脳の片側にだけたまりますが、両側に起こることもあります。

原因は何か

 男性に多く、中年以上のアルコール多飲者に多くみられます。ささいな頭部外傷の1~2カ月後に起こります。また外傷がない場合には、肝障害や抗凝固薬の使用による凝固能の低下がある人に起こりやすいといわれています。

症状の現れ方

 頭痛、意識障害などの頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)症状と、片麻痺(かたまひ)失語症(しつごしょう)などの脳の局所症状が組み合わさって現れます。軽微な頭部外傷から1~2カ月たったころ、頭痛、片麻痺、認知症、意識障害などが徐々に起こってきます。本人が頭部外傷を覚えていない場合でも、週、月の単位でこのような症状が進行してきたら、本症が疑われます。

検査と診断

 頭部CTで頭蓋骨の内側に沿って三日月状あるいは凸レンズ形の異常な信号領域があれば、本症と診断できます。高吸収域(白く描出される)であれば、比較的新鮮な出血を示します。両側に血腫がある場合には診断しづらい場合もあります。頭部MRI(図15)では血腫の部分は白くはっきりと描き出され、診断が容易です。

治療の方法

 神経症状が出ている場合、あるいは出ていなくても血腫が大きい場合、脳への圧迫が強い場合などには、原則として手術を行います。穿頭(せんとう)血腫除去術といって、頭蓋骨に孔をあけ、血腫を除去し、さらに血腫のスペースをよく洗浄する方法です。症状が改善しない場合や再発を繰り返す場合には、開頭血腫除去術や硬膜下­腹腔シャント術を行うこともあります。

 神経症状がなく、血腫が小さく、脳への圧迫がない場合は、手術をせずに内科で抗脳浮腫薬(こうのうふしゅやく)を点滴注射して経過をみていく場合もあります。

病気に気づいたらどうする

 ただちに脳神経外科の専門医の診察を受けてください。

髙木 繁治

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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慢性硬膜下血腫
まんせいこうまくかけっしゅ
Chronic subdural hematoma
(外傷)

どんな外傷か

 頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜と脳の間に、徐々に血がたまって血腫になったものです(コラム頭部の解剖図)。

 中高齢者(おおむね50~60歳以上)に多い特徴があります。

原因は何か

 軽微な頭部打撲(だぼく)をきっかけにして、脳の表面(脳表)に微量の出血あるいは脳脊髄液(のうせきずいえき)がたまって、その反応でつくられる膜から少しずつ出血が繰り返され、血腫が大きくなると考えられています。きっかけになる頭部外傷がはっきりしないこともまれではありません。

症状の現れ方

 契機となる頭部外傷の直後は無症状か頭痛程度の症状しかないことが多く、このため、病院を受診しない人がほとんどです。このあと通常は3週間~数カ月かけて血腫がつくられて、頭蓋骨の内側の圧が高まり(頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん))、頭痛や吐き気・嘔吐が現れます。

 また、血腫による脳の圧迫症状として半身の麻痺(片麻痺(かたまひ))、言語障害などが初発症状のこともあります。

 軽度の意識障害として、元気がなかったり(自発性の低下)、ぼけ症状(認知症症状)がみられることもあります。血腫が増大していけば意識障害が進行して昏睡(こんすい)状態になり、さらに血腫による圧迫が脳ヘルニアの状態にまで進行すると、深部にある生命維持中枢(脳幹(のうかん))が侵され(呼吸障害など)、最終的には死に至ります。

検査と診断

 きっかけになる頭部外傷の直後では、頭部CTで異常が認められないことがほとんどです。症状が現れれば血腫によって脳が圧迫されているので、CTで診断されます。

 血腫はCTで白く映ります(高吸収域)。慢性の血腫では血液濃度が薄い場合があり、CTでは灰色(等吸収域)あるいは黒く(低吸収域)映ることもあります。また、慢性の血腫はMRIで特徴的な所見を示すので、頭部MRIも診断に有用です。

治療の方法

 血腫が少量で症状も軽微な場合は、自然吸収を期待して経過観察とすることもありますが、通常は局所麻酔下の手術が行われます。慢性の血腫はさらさらした液状のため、大きく頭蓋骨を開けなくても小さな(あな)から取り除けるので、穿頭血腫除去術(せんとうけっしゅじょきょじゅつ)あるいは穿頭血腫ドレナージ術が行われます。

 症状が重い(意識障害のある時など)場合は緊急手術、それ以外は症状に応じて通常は数日以内に手術が行われます。脳ヘルニアの症状が現れるほど進行している場合を除き、予後は良好で、ほとんどは社会復帰が可能ですが、軽い後遺症(片麻痺、言語障害や認知症症状など)が残る場合もあります。

 また、高齢者では術後の合併症に注意が必要です。

 経過が順調ならば手術直後から症状が改善し、1~2週間以内で退院できます。ただし、血腫の再発率は約10%とされ、再手術が必要になることがあります。

並木 淳

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

慢性硬膜下血腫
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 脳は外側から順に、硬膜(こうまく)、くも膜、軟膜(なんまく)の3つの膜で覆われています。慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)は、このうち硬膜の内側(下)に、じわじわといつのまにか血がたまる病気です。
 頭部の軽い打撲(だぼく)から2週間以上、場合によっては1~3カ月くらいたってから発見されることがよくあります。
 たまる血液が少量なら症状はありません。たまる血液が多いと、頭痛に始まり、手足の麻痺(まひ)、歩行障害それに思考力の低下、記憶力の低下など認知症の症状がみられます。お年寄りの場合は記憶力の低下が最初の症状となることもあります。手術で完全に治る病気です。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 原因は頭部の軽い打撲によるものと、肝機能障害や腎透析(じんとうせき)によって血液が固まりにくくなっていることによるものに大別されます。打撲が原因の場合は、ドアに頭をぶつけたといった程度のごく軽いものでもおこることがあります。また、肝機能障害はアルコール類の飲みすぎによるものがほとんどです。打撲とアルコール類の飲みすぎが重なっていることも珍しくありません。

●病気の特徴
 60歳以上の男性に多い病気です。アルコールをよく飲む人に多いのも特徴です。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

■保存療法の場合
[治療とケア]副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬を用いる
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 症状がほとんどなく、硬膜下に出血が少ない場合や、全身状態がよくないため手術を控えざるを得ない場合には、副腎皮質ステロイド薬を使用し、経過を観察することがあります。小さい血腫は自然に吸収されてなくなり、数年後には、その部分が石灰化して落ち着きます。ただし、ある程度大きな血腫では、自然に吸収されるまでに長期間かかり、また完全に吸収されないこともあります。(1)(2)

[治療とケア]脳圧降下薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 脳圧降下薬の効果は臨床研究によって確認されていませんが、専門家の経験から用いられることがあります。手術をせずに脳圧降下薬を用いても、血腫が縮小、消失するまでに長期間かかります。そのため、症状がなかなかよくならないことが多いので、症状がある場合には早期に手術をすることが必要です。症状がなく、偶然に発見された場合は、手術をせずに経過をみることがありますが、この場合も手術が必要になることが少なくありません。

[治療とケア]止血薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 止血薬は、専門家の経験から用いられることがあります。手術をせずに止血薬などを用いても、血腫が縮小、消失するまでに長期間を要します。そのため、症状がなかなかよくならないことが多いので、症状がある場合は早期に手術をすることが必要と考えられます。

■手術の場合
[治療とケア]穿頭(せんとう)ドレナージ術を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 慢性硬膜下血腫による麻痺や意識障害などの神経症状がある場合は、手術で血腫を取り除くことが最善の治療であることが臨床研究によって確認されています。頭蓋骨に小さな穴をあけて硬膜を切開し、そこから管を入れて血腫を取り除く方法が、穿頭ドレナージ術です。血腫の中身は多くの場合液状なので、管を入れるだけで自然に流れでてきます。この手術は脳神経外科の手術のなかでももっとも安全な手術の一つです。局所麻酔で行えるので、お年寄りであってもよほど全身状態が悪くない限り行うことができます。手術を行うことで症状は速やかに消失します。入院期間は1週間程度です(最近は術後2、3日で退院することも多くなっています)。ただ難点は、血腫がまたできて再手術が必要となる場合が全体の10パーセント程度あることです。それでも穿頭ドレナージ術後の再発率は、穿頭洗浄術よりも低いといわれています。(3)

[治療とケア]穿頭洗浄術を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 穿頭洗浄術は、頭蓋骨に小さな穴をあけて硬膜を切開し、そこから管を入れて血腫を生理食塩水で洗い流す方法です。この手術も脳神経外科の手術のなかでももっとも安全な手術の一つです。手術を行うことで症状は速やかに消失します。入院期間も1週間程度です(最近は術後2、3日で退院することも増えてきています)。ただし、血腫が再びたまって再手術が必要となる場合もあります。再発率は穿頭ドレナージ術より高いといわれています。(3)


よく使われている薬をEBMでチェック

脳圧降下薬
[薬名]グリセオール(濃グリセリン・果糖配合液)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 臨床研究によって効果は確認されていませんが、専門家の意見や経験から支持されています。ただし、手術をせずに脳圧降下薬を用いても、血腫が縮小、消失するまでに長期間を要します。そのため、症状がある場合には早期に手術をすることが必要と考えられます。

止血薬
[薬名]トランサミン(トラネキサム酸)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 専門家の意見や経験から用いられることがあります。ただし、手術をせずに止血薬などを用いても、血腫が縮小、消失するまでに長期間を要します。そのため、症状がなかなかよくならないことが多いので、症状がある場合は早期に手術をすることが必要と考えられます。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
症状がある場合は手術で血腫を取り除く
 慢性硬膜下血腫の症状は、脳卒中や認知症の症状と似ていることが多いのですが、CTやMRIなどの検査で診断がつきます。正確な診断のもと、手術で血腫を除去しさえすれば、ほぼ完全に症状は消失します。
 麻痺や意識障害などの神経症状がある場合は、穿頭ドレナージ術や穿頭洗浄術で血腫を取り除くことが最善の治療です。これらの手術は脳神経外科のなかでももっとも安全な手術の一つで、入院期間も数日~1週間程度ですみます。

症状が軽い場合などは経過観察をすることも
 症状がほとんどなく、硬膜下滲出(しんしゅつ)物が少ない場合や、全身状態がよくないため手術を控えざるを得ない場合では、薬を用いずに経過を観察することもあります。小さい血腫は自然に吸収されて消失し、数年後には、石灰化して落ち着きます。
 ただし、ある程度大きな血腫では、自然に吸収されるまでに長期間を要し、また完全に吸収されないこともあるため、症状や兆候が完全には消えないこともあります。
 このような場合には、手術の負担をできるだけ小さくするよう工夫しながら血腫を吸引除去します。

薬物療法の有効性は現段階では不明
 脳圧降下薬や止血薬がよく使われますが、手術をせずにこれらの薬を用いても、血腫が縮小、消失するまでに長期間を要し、症状が思うように改善しないことが多くあります。これらの薬が慢性硬膜下血腫に対してなんらかの効果があるかどうかについては、説得力のある臨床研究はいまのところ行われていません。

(1)Almenawer SA, Farrokhyar F, Hong C, Alhazzani W, Manoranjan B, Yarascavitch B,Arjmand P, Baronia B, Reddy K, Murty N, Singh S. Chronic subdural hematomamanagement: a systematic review and meta-analysis of 34,829 patients. Ann Surg.2014 Mar;259(3):449-457
(2)Zarkou S, Aguilar MI, Patel NP, Wellik KE, Wingerchuk DM, Demaerschalk BM.The role of corticosteroids in the management of chronic subdural hematomas: aCritically appraised topic. Neurologist. 2009 Sep;15(5):299-302.
(3)Liu W, Bakker NA, Groen RJ. Chronic subdural hematoma: a systematic review and meta-analysis of surgical procedures. J Neurosurg. 2014 Sep;121(3):665-73.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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