●扇面画【せんめんが】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
扇面画
せんめんが
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世界大百科事典 第2版
せんめんが【扇面画】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
扇面画
せんめんが
扇、または扇形の画面に描いた絵。「扇絵(おうぎえ)」ともいう。日本の扇には檜(ひ)扇と蝙蝠(かわほり)(紙張りの扇)があり、ともに古くから用いられ、中世以後は後者の使用が広がり一般化される。普通それぞれの表面(または裏面にも)に意匠や描絵を施すが、特殊な扇形の画面に独特な構図を案配したこれらの画(扇絵)は、絵画史上一つのジャンルを形成している。また、平安貴族の間では「扇絵合せ」なども行われ、鑑賞画の主要な一領域をなしていた。
蝙蝠の場合は、扇子として実用に供するものもあるが、単に扇形をかたどった折り畳みのない装飾本位のものも存する。平安時代の遺品には、厳島(いつくしま)神社の『歌絵檜扇』や『小形檜扇』、また四天王(してんのう)寺伝来の『扇面法華経(ほけきょう)』(扇面古写経、国宝)などがある。扇面画は平安末期から室町時代にかけ、日本の特産として大陸へ輸出されたが、室町以降、扇子も輸出商品として重要となり、また国内の需要も増大するにつれ、扇面画も和漢の各種の画題を扱うなど、多彩な発展を遂げる。中世末から近世にかけては屏風(びょうぶ)に並べて貼(は)り合わせ、あるいは散らして貼付(てんぷ)したものが流行し、これらを扇面貼交(はりまぜ)屏風、扇面散(ちらし)屏風などとよぶ。
また流水の図に扇が流れるように配されたものを扇面流(せんめんながし)図屏風という。南禅寺の扇面貼交屏風は室町時代(16世紀)にさかのぼる。近世には狩野(かのう)派をはじめ各派の画家が扇面画を描いているが、なかでも江戸初期の俵屋宗達(たわらやそうたつ)は、湾曲した扇形画面を十分に活用した扇絵の傑作を多く残している。
[村重 寧]
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