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抱合語【ほうごうご】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

抱合語
ほうごうご
polysynthetic language
言語の類型の一つ。複総合語,輯合語 (しゅうごうご) ともいう。を構成する要素が密接に結びついて,あたかも全体で一語をなすかのようにみえる構造をもつ言語エスキモー語-liar-nerpise? (あなたがたは Nûk地名〉へ旅行しますか?) は,Nû-=Nûk,liar=「旅する」,nerpise=「あなたがたは…か」から成り立ち,各形態素単独で現れる形とは異なる連接形をとっている。「一語文」と呼ばれることも多いが,これらの形態素は事実上の単語に相当するものとみるべきであろう。なおアイヌ語の'a-kore (私は与える) に対する'a-'e-kore (私はあなたに与える) のように,一語のなかに目的語などを挿入する構造の言語を特に抱合語 incorporating languageと呼び,輯合語と区別することもある。ただし,いずれにしろ1つの言語の文構造がすべて抱合 (輯合) 的なものとはいえず,屈折語的,膠着語的な特徴もあわせもつ。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ほうごう‐ご〔ハウガフ‐〕【抱合語】
言語の類型的分類の一。さまざまな要素を連ねて、内容的には文に匹敵するような長い単語を形成しうる言語。エスキモー語やアメリカインディアン諸語など。輯合語(しゅうごうご)。

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世界大百科事典 第2版

ほうごうご【抱合語】
言語の類型論的分類の一つである,単語の構成という形態論的観点からの分類に基づくタイプの一つ。このタイプの言語においては,中心となる語幹に,目的語,補語や副詞的要素,あるいはさまざまな文法的関係をあらわす要素が結合して一つの単語を形成する。したがって1単語が数多くの形態素から成ることになり,他のタイプの言語にそれを翻訳した場合には,文のかたちになる場合もある。 たとえば旧アジア諸語(旧シベリア諸語)に属する東北シベリアのチュクチ語では,〈彼らは網をかけた。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

抱合語
ほうごうご

アイヌ語にみられるように、一つの単語のなかに別のことばを入れて抱合するような構造の言語をいう。しかし、これは、エスキモー語のように、文全体をあたかも一語のように複合成してしまう構造の一種と考えられるので、いまでは複合成語polysynthetic language(輯合(しゅうごう)語とも訳される)という言い方のほうが一般的になっている。その一例をあげれば、北米のアメリカ・インディアンのメノミニー人の話す言語(アルゴンキン諸語の一つ)では、語根akua(……から切り離すこと)に接尾辞-epi-(液体)、-en-(手の動作)、-am(第三人称行為者)がつくと、全体がakuapi:nam(彼は、それから水をとる)のように、あたかも一語であるかのごとくまとまって、一つの文をなす。したがって、それはある意味では、屈折語にみられる単語の曲用(語形変化)が、単に性や数や人称などにとどまらず、どんどん広がっていって、文全体にまで及んだものであるとみなしうる。つまり、一種の複合成と考えられるわけである。しかし、その点から、逆にほかの類型の言語を見直してみると、日本語における文節全体にわたるアクセント核の縮約、中国語の厦門(アモイ)方言にみられる文節全体にわたる声調(音節音調)の改組のように、程度の差こそあれ、似たような原理は他にみられないわけではない。

[橋本萬太郎]

『泉井久之助著『言語の構造』(1967・紀伊國屋書店)』『Y・R・チャオ著、橋本萬太郎訳『言語学入門――言語と記号システム』(1980・岩波書店)』『宮岡伯人著『エスキモーの言語と文化』(1978・弘文堂)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ほうごう‐ご ハウガフ‥【抱合語】
〘名〙 言語の形態的分類の一つ。文を構成する各要素が密接に結合して、全体として一語のようになっている言語。アメリカ‐インディアン語がその典型。輯合語(しゅうごうご)

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