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抵当権【ていとうけん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

抵当権
ていとうけん
Hypothek; hypothèque
民法によって認められる担保物権の一つ。債務者または第三者物上保証人)が債務担保に供した物につき,債権者が所有者(抵当権設定者)からその占有を奪うことなくその使用収益にまかせておきながら,債務が弁済されない場合には,その物を競売にかけ,その売却代金から優先弁済を受けることができる(369条)。約定担保物権である点で質権と同じであるが,担保物の引渡しを必要としない点で異なる。そのため,抵当権は非占有担保,質権は占有担保といわれる。不動産取り引きの安全を保護するため,抵当権は登記によって公示されなければ,第三者に対抗することができない。抵当権の対象となるのは,登記によって公示することに適している不動産所有権地上権および永小作権である(369条)。このほか動産であっても登記,登録の可能なもの(船舶,航空機,自動車,建設工事用機械,農業用動産など)については,特別法により動産抵当権が認められる。(→根抵当

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ていとう‐けん〔テイタウ‐〕【抵当権】
担保となっている物を債務者もとに残しておきながら、債務弁済されないときにはその物から債権者が優先的に弁済を受けることを内容とする担保物権不動産地上権永小作権のほか、船舶・自動車や特殊な財団などについて認められる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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事業再生用語集

抵当権
担保の目的物を債務者に残したまま、債務不履行の場合には債権者が優先して債務者から弁済を受け得る権利。目的物の範囲は、登記・登録の制度のあるものに限られ、不動産・地上権・永小作権のほか、立木・船舶・自動車・特殊の財団など。

出典:(株)セントラル総合研究所

リフォーム用語集

抵当権
債権の担保として提供された物件の所有権や使用権はそのままにしておくが、債務が返済されない場合は、担保物件から優先的に返済を受ける権利。

出典:リフォーム ホームプロ
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世界大百科事典 第2版

ていとうけん【抵当権】

意義
 担保物権の一つで,債務者または第三者(物上保証人)が債務の担保に供した物を,担保提供者の使用収益にゆだねておき,しかも債務が弁済されない場合にその物の価額から優先的弁済を受けることができる権利(民法369条以下)をいう。抵当権は,質権とともに,契約によって成立する約定(やくじよう)担保物権であり,競売の売得金から優先的に弁済を受ける権利(優先弁済権)を有する点でも質権と同じである。しかし,抵当権は,目的物を引き続き設定者の占有にとどめておく点において質権と異なる。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ていとうけん【抵当権】
担保の目的物の使用収益権を債務者に残したままにしながら、債務不履行の場合には債権者が優先してその目的物の金銭的価値から弁済を受けることができる権利。目的物の範囲は、不動産・地上権・永小作権のほか、立木・船舶・自動車・特殊の財団などに及ぶ。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

抵当権
ていとうけん
担保となっている不動産などを債務者または第三者のもとに残しておきながら、債務が弁済されないときにはその不動産の価額から債権者が優先的に弁済を受けることのできる権利(民法369条~398条の22)。[高橋康之・野澤正充]

特質

契約によって生じる担保物権である点において、抵当権は質権と異なるところがなく、抵当権を生じさせる契約を抵当権設定契約、質権を生じさせる契約を質権設定契約とよぶ。しかし、質権の場合には、担保となる物が債権者の手元に移されるのに対して、抵当権の場合には、担保となる物は債権者に移されることなく、債務者(または第三者)のもとに残されている。債務者は、質権を設定するとその物を使用・収益することができなくなるが、抵当権を設定した場合には、その物の使用・収益を従来どおり続けることができる。この点に、質権と抵当権との大きな違いがある。
 たとえば、農民が田畑を担保に銀行から資金を借り入れる場合に、銀行が田畑を担保として取り上げてしまうと、一方では、農民は生産の根拠を失い、資金の返済が困難になり、銀行としても資金が返済される機会を自ら少なくするだけでなく、その田畑を管理するという負担を負うことになる。これに対して、田畑を農民の手元に残しておくと、農民は生産を続けることができ、それだけ資金返済が容易になり、他方、銀行は田畑の管理をする必要がない。このように、抵当権は、従来の利用関係をそのままにしておき、そうすることによって債務者にその物を収益させ、債務者の弁済を容易にすると同時に、債務不履行の場合に優先的に弁済を受ける債権者の権能を十分に確保するものである。この点で、抵当権はもっとも合理的な担保制度であるといえる。しかし、抵当権の目的物が債務者(または第三者)の手中に残されたままであるので他人には抵当権の存在がはっきりわからず、そのために、抵当権の存在を知らない者が思わぬ損害を被る可能性がある。そこで、抵当権を設定しうる物は、抵当権の存在が公に示される手段(登記)のある不動産(民法369条1項)および船舶(商法848条1項)に限定された。したがって、登記の手段のない動産や集合物(たとえば企業設備全部)などには抵当権を設定することはできなかった。[高橋康之・野澤正充]

利用の範囲

抵当権の制度は、担保の制度としてもっとも合理的なものであるので、これを不動産、船舶だけでなく、それ以外にも活用したいという要求が生まれ、現在では、多くの特別法によってその利用の範囲が拡張されている。その第一は、不動産を中心とする大企業の施設を一括して抵当権の対象にしようとするもので、鉄道抵当法、工場抵当法、鉱業抵当法、道路交通事業抵当法などによる、いわゆる財団抵当である。第二は、いわゆる動産抵当である。農業用具の抵当化を目的とする農業動産信用法のほか、自動車抵当法、航空機抵当法、建設機械抵当法などによって認められた抵当権がこれに属する。これらの制度では、特殊の登記または登録の方法が設けられており、それによって抵当権の存在が公にされるようになっている。そのような特殊な抵当制度のない施設(たとえば、中小企業の企業施設)などは、今日でも抵当権の対象とすることはできず、それを担保とするには、譲渡担保(あるいは「売渡担保」)という、民法には規定されていないが広く行われている担保の方法によらなければならない。
 一つの不動産のうえに抵当権を二つ以上設定することも可能である。その場合には、抵当権設定の登記の順序に従って一番抵当、二番抵当などとよび、これは優先弁済の順序を表す。すなわち、二番抵当権者は、一番抵当権者が債権を満足させたあとに優先的に弁済を受けられるにすぎない。たとえば、甲の不動産に、乙が1000万円の債権につき一番抵当権を、丙が500万円の債権につき二番抵当権をもっていた場合に、甲の不動産が競売されて1300万円にしかならなかったときは、乙は1000万円、丙は300万円を取得することになる。一番抵当権者が債務の弁済を受けて一番抵当権が消滅すると、従来の二番抵当権が一番に、三番が二番にというように順次昇格する。[高橋康之・野澤正充]

効力

債務者が期日に債務を弁済しないときには、抵当権者は、抵当権の対象となっている物から優先的に弁済を受けることができる。これが抵当権の本質的な効力である。優先的に弁済を受けるというのは、甲に対して乙・丙・丁の3人がそれぞれ500万円の債権をもっていて、乙だけが甲の所有するある不動産に抵当権をもっている場合には、その不動産を競売して得られた代金がたとえば1000万円であったとすると、乙はまず自分の債権500万円の弁済を受けることができ、丙・丁は250万円ずつでがまんしなければならないことをいう。抵当権者が優先弁済を受ける方法は、競売(民事執行法180条以下)によるのが原則であるが、当事者間の契約で換価することにしたり、あるいは目的物をそのまま抵当権者の所有物とすることを約束してもよい。[高橋康之・野澤正充]

物上代位

抵当権の目的物が売却された場合にはその代金、賃貸された場合にはその賃料に抵当権の効力が及ぶ。抵当建物に付された火災保険金請求権にも抵当権の効力が及ぶとされている。抵当権者は、その金銭債権から優先的に弁済を受けることができる。これを物上代位という。ただし、そのためには、金が支払われる前に、その債権を差し押さえなければならない(民法372条・304条)。[高橋康之・野澤正充]

抵当不動産の利用と抵当権

たとえば、抵当権が登記されたあとに、目的不動産が賃貸されたとしても、賃借人は、抵当権者および抵当権の実行による買受人に対抗できない。ただし、その賃借人が一定の要件を満たす場合には、買受人の買受けのときから6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡さなくてもよい(民法395条)。
 また、抵当権の設定された不動産を賃貸し、賃貸借の登記をした場合において、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記をしたときは、その同意をした抵当権者に賃貸借を主張することができる(民法387条1項)。[高橋康之・野澤正充]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ていとう‐けん テイタウ‥【抵当権】
〘名〙 担保物権の一つ。債権者が債務の担保となっている物の引渡しを受けず、債務が弁済されないときにはその物から優先的に弁済を受ける権利。質権とならんで契約によって生ずる担保物権で、金融を得る手段として利用される。民法は不動産・地上権・永小作権の三者に限って認めたが、特別法の成立により、立木(りゅうぼく)・船舶・自動車・鉱業権、各種の財団などについて認められるようになった。
※民法(明治二九年)(1896)三七三条「同一の不動産に付き抵当権を設定したるときは」

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