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損益計算【そんえきけいさん】

日本大百科全書(ニッポニカ)

損益計算
そんえきけいさん
income determination 英語
Erfolgsrechnung ドイツ語

一般にいわれる損益計算の語は、営利企業会計の原理に従って、経営活動の成果たる利益、場合によっては損失の額を測定することを示すことが多い。なぜならば、公共的あるいは公益的な事業や一般の家庭では、通常は営利を目的とした行動はなく、もっぱら合目的な消費活動の実態を的確に把握するために会計を行い、そのような会計は、損益計算というより収支計算や資金計算を中心に展開されるからである。近代の営利的企業は、永続的に存在することすなわち継続企業(ゴーイング・コンサーン)を仮定して経営されるから、会計は、その期間を人為的にくぎって実施されなければならない。したがって、今日の損益計算概念は、1回限りの投機的な事業いわゆるベンチャーにおける口別的損益計算と区別され、期間損益計算と称されている。

 この期間損益計算、通常は年度損益計算は、損益計算書と貸借対照表とからなる財務諸表にまとめられて、企業外部の利害関係者もしくは情報利用者に報告される。一般にこの行為は、商法・会社法や金融商品取引法などの法規によって強制的に制度として実施され、この結果を受けて、利益分配などの現実的な財産移動がなされるから、現代の期間損益計算は、社会的な意味をもった重要な行為の一つである。もっとも、経営管理技法の発展から、管理目的をもって部分的および分析的に実施される内部的な採算計算なども、広い意味で損益計算とよばれることがある。この種の計算には、長期的な観点からの設備投資の経済計算、短期的な観点からの製品の組合せ決定計算などがある。しかし、これらも究極的には、予算という事前の期間損益計算に総括され、さらに実績としての期間損益計算と対比され分析されなければならない。外部報告のための損益計算は財務会計、内部管理のための損益計算は管理会計という領域に属するとされている。会計の国際化に伴って、不良性ある資産や早めの債務の把握に力が注がれ、損益計算の意義は、現在の企業の実態を的確に測定する方向に加速している。

[東海幹夫]

方法

利益または損失の測定方法には、財産法と損益法とがある。

 財産法とは、資産と負債との差額たる純資産(資本)を、期首と期末の2時点において算出し、純資産の増減額をもって純損益とするものである。このような損益計算法は、いわゆる財産目録と同じような意味をもつ貸借対照表の作成によって実行される計算である。この源流は、19世紀後半のドイツ商法典にさかのぼり、時価主義を基調とした静態的な会計観と密接な関係をもっている。

 しかし、このような損益計算方法だけでは、どのような経緯によって当期の純損益が生じたかを明らかにすることはできない。そこで、近代会計の損益測定方法としては、複式簿記原理を利用したもう一つの方法、すなわち損益法が重視されるに至っている。つまり、損益法とは、一定期間における収益とその獲得のために犠牲となった費用とを、帳簿記録に基づいて把握計算し、これらの比較の結果たる差額をもって純損益とする方法である。複式簿記によれば、このような方法で算出された損益と財産法によって計算された損益とは、原則として一致しなければならない。ここで収益とは、経営活動の努力によって獲得された成果であり、活動内容の相違によって、売上高、受取報酬、受取手数料などに分類される。これに対して、費用には、売上品の仕入原価あるいは製造原価である売上原価と、給料や交通費などの販売費および一般管理費がある。この段階で算出された損益を営業損益という。さらに、主として財務的な活動から生ずる営業外の収益と費用とを加減していわゆる経常損益が確定される。この段階を損益計算の終結とする立場を当期業績主義という。これに対して、さらに臨時的あるいは超期間的な利益と損失を加減して、当該期間にかかわるすべての価値の増減を計算しようとする立場がある。これは包括主義とよばれ、現行の会計制度は、この考え方に統一されている。

[東海幹夫]

『渡邉泉著『損益計算の進化』(2005・森山書店)』『平井克彦・石津寿惠・稲葉知恵子著『損益計算と情報開示』6訂版(2007・白桃書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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