●政治小説【せいじしょうせつ】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
政治小説
せいじしょうせつ
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デジタル大辞泉
せいじ‐しょうせつ〔セイヂセウセツ〕【政治小説】
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世界大百科事典 第2版
せいじしょうせつ【政治小説】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
政治小説
せいじしょうせつ
明治10年代、政治思想の啓発を意図した文学。その消長は、1880年(明治13)の国会開設請願運動の盛り上がりから、89年の第1回帝国議会召集に至る自由民権運動の動向とほぼ一致する。もっとも早い作品は戸田欽堂(きんどう)の『民権演義情海波瀾(じょうかいはらん)』(1880)とみられているが、劇中劇である芝居の場面で、佐倉宗五郎が民権運動家の先駆者として賞揚されている点からみれば、小室案外堂(こむろあんがいどう)の『東洋民権百家伝』(1883)のような義民伝承発掘の仕事もこのジャンルのなかに入れることができよう。ただ、『民権演義情海波瀾』は近世戯作(げさく)の人情本の書き方を模倣し、和国屋民次なる青年実業家と芸妓(げいぎ)の阿権(おけん)が国府政文の世話で両国の会席において結ばれる(国民と民権が政府の助けで国会にて結ばれる)、という単純な寓意(ぐうい)小説でしかなかったが、政治小説の大半がこのような図式性を抜け出られなかった。
そのなかでも矢野龍渓(りゅうけい)の『斉武名士経国(けいこく)美談』(1883~84)は、古代ギリシアの史実に基づき、新しい人間像を描き出そうとした点で好評を博した。東海散士の『佳人之奇遇(かじんのきぐう)』(1885~87、88、91、97)は、西欧列強に侵略された民族の亡命革命家と日本の志士との国際的連帯を描き、漢文訓読体の荘重な文体と相まって、当時の青年に熱狂的に歓迎された。国際的危機感は対外的国権伸長の思想を生み、小宮山天香(てんこう)の『冒険企業聯島(れんとう)大王』(1887~88)という冒険的実業家を描いた作品や、矢野龍渓の『報知異聞浮城(うきしろ)物語』(1890)という、アジアの解放と新共和国樹立の理想のために日本国籍を捨てる冒険家たちを描いた作品が現れてきた。他方、国会開設が近づくにつれて、読者の目を現実に向けさせようとする末広鉄腸(てっちょう)の『政治小説雪中梅(せっちゅうばい)』(1886)や、その書き方もリアリズムを目ざし、現実認識にも優れている須藤南翠(なんすい)の『処世写真緑簑談(りょくさだん)』(1888)などが生まれた。
[亀井秀雄]
『『明治文学全集5・6 明治政治小説集(1)(2)』(1966、67・筑摩書房)』▽『柳田泉著『政治小説研究』上中下(1969・春秋社)』▽『松井幸子著『政治小説の論』(1979・桜楓社)』
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精選版 日本国語大辞典
せいじ‐しょうせつ セイヂセウセツ【政治小説・政事ジ小説】
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旺文社日本史事典 三訂版
政治小説
せいじしょうせつ
明治の自由民権運動を背景として1880年代に流行。矢野竜溪の『経国美談』,東海散士の『佳人之奇遇 (かじんのきぐう) 』,末広鉄腸の『雪中梅』『花間鶯 (かかんおう) 』などが代表作。文芸的価値は低いが広く読まれ,多大の影響を与えたが,国会開設ごろに急速に消滅した。
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