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教材教具【きょうざいきょうぐ】

日本大百科全書(ニッポニカ)

教材教具
きょうざいきょうぐ

教師と児童・生徒を媒介して教授・学習を成立させる材料や道具。教育的関係を教師―教育内容―児童・生徒という図式で示せば教育内容の領域をさすし、教育作用を教育目的―教育内容―教育方法という図式で示せば同じく教育内容にかかわる用語である。英語のsubject matter, teaching instrumentである。

 この用語は、不明確なままで使用されており、厳密な定義をすることは困難である。教材と教具とが、ほぼ同一の対象を指示するものとして教材教具と連語でよぶ場合もあれば、教育目的を達成するための材料(内容)を教材といい、教材を効果的に児童・生徒に習得させるための道具を教具とよんで、両者を区別する場合もある。今日では、教材と教具とを明確に区別して使用する場合が多いが、教科によっては両者を区別しにくいこともある。さらに現在では、教材と教科内容(教育内容)とを峻別(しゅんべつ)して使用する傾向も強くなっている。

[伊東亮三]

教具について

学校外の一般人は、教材とか教具とかという用語をあまり使用しない。しかし、子供を通じて学校から請求される「教材費」という形で、教材という用語には触れる。この場合の教材とは、子供が学校で使用する副読本・ワークブック・楽器・図画工作の道具や材料、理科の実験道具などの「もの」をさしていることが多いが、これらの「もの」が教具である。教具がなくても授業はできるが、効果的に学習を進めるための道具という性格を教具はもっている。

 教具の発達は、民衆教育の拡大による一斉教授の始まりと、直観・直接経験の教授学的意義の認識を契機としている。コメニウスの『世界図絵』に始まり、実物、黒板、掛け図などの教具を利用して、一度に、多くの子供たちに、効果的に学習内容を教授しようとしたわけである。近代学校が始まり、科学技術の発達と相まって、教科書が作成されて主要な教具となり、また図表、標本、模型、実験器具、工作用具、体育用具などの教具の使用も盛んになった。今日では、映画、テレビ、ビデオ、パソコンなどの視聴覚機器が大幅に普及している。

[伊東亮三]

教材について

教師たちは、今週の社会科の教材は「大工場と中小工場」、理科の教材は「てこのはたらき」、国語の教材は「最後の授業」、などという。ここでいう教材とは、ある一まとまりの学習内容である単元の題名である。

[伊東亮三]

教材研究

教師たちは、このような単元の「教材研究」をするという。教材研究というのは、その教科の目標を踏まえ、教授方法を予想した内容全般の研究である。たとえば、「大工場と中小工場」の単元では、教科書の記述を検討しながら、大工場と中小工場の違いについての諸事実、すなわち総工場数、総生産額の比較、従業員1人当りの生産額の違いなどについての諸事実を確かめる。またそれらの諸事実を子供に知らせる資料などを探索する。さらに、大工場と中小工場の格差という事実・現象の生じる原因を説明する理論を研究する。そのうえで、実際の授業では、写真や統計グラフから、大工場と中小工場の格差の事実を読み取らせ、さらに、そうした格差の生まれた原因を推理させるという過程を踏む。

 理科の「てこのはたらき」の教材研究では、子供に学習させたい原理や法則、ここでは「つりあいの法則」を確認する。次にこの法則はどんな事実・データが明らかにされれば導き出されるかを検討し、最後にこの事実・データが集められる実験器具を考える。授業の過程はもちろんこの逆の方向を踏む。

 国語の「最後の授業」では、教科書に記述された物語の展開を追い、最後にこの物語の主題を明らかにする。

[伊東亮三]

教材教具の3領域

以上の例にみられるように、一般に教材教具といわれるものも分析してみると、(1)実物、写真、実験器具、教科書などの「もの」と、(2)その「もの」から知覚によって認識される自然や社会の事実・現象、物語の内容など、(3)さらにそれらの事実・現象を説明したり、事実・現象から導き出されたりする理論・法則・原理・意味・価値など、三つの質的に異なった内容に区分されることがわかる。この(1)が教具であり、(2)が狭義の教材であり、(3)は教科内容あるいは教育内容とよばれる。

 教授学研究の分野で、教材と教科内容を区別する試みは比較的新しい。1950年代後半からの「科学と教育の結合」「教科内容の現代化」運動のなかで、現象をはい回る経験主義の教材観や事実的知識だけを教材内容とする教科観の克服を目ざして、学問の一般理論・法則・概念などを教材内容の中心に置こうとする課題が、教材と教科内容との区別を必要としたわけである。

[伊東亮三]

『奥田真丈編『現代学校教育全集14 教科書・教材教具』(1980・ぎょうせい)』『大隅紀和著『教材教具の研究と活用技術』(1981・第一法規出版)』『中内敏夫著『教材と教具の理論』新版(1990・あゆみ出版)』『水越敏行・熱海則夫編『新学校教育全集16 教科書・教材教具』(1995・ぎょうせい)』『永野和男・田中喜美監修、村松浩幸ほか編『ITの授業革命「情報とコンピュータ」』(2000・東京書籍)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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