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教育政策【きょういくせいさく】

日本大百科全書(ニッポニカ)

教育政策
きょういくせいさく

教育政策は、政治的権力の行使者である国・地方自治体・政党などの教育に関する意思の具体的表現である。

概要

国の教育政策は、政権を担当する政府(内閣、実質的には文部科学省)ならびに議案の提案権をもつ国会議員によって、国会に提案され、審議に付され、最終的には法律、予算、決議の形で決定される。教育政策の立案、審議、決定の過程における各段階の機構(官公庁の諮問機関、政党の文教部会、衆参両院の文教委員会など)の人的構成、機構相互の関係、国民一般・政党・利害団体などとの関係、および生み出された政策内容やその影響などが、教育政策を考察するうえで重要である。国会によって立法化され、制度化された国の教育政策は教育行政によって実施に移される。政党の教育政策は選挙や国会審議を通じて国の教育政策に影響を与え、地方自治体の教育政策は地方自治確立の実態に応じて実質的な意味をもつ。

[岩下新太郎]

課題

第二次世界大戦後の日本の教育政策課題は、大きく以下の2系統に分類できる。

(1)明治時代以降に構築された身分・階級性の存続を許す複線型・分岐型学校体系の抜本的改革、すなわち、複線型・分岐型学校体系の徹底した単線型化を図る系統。

(2)学校外の教育制度、すなわち、教化を重視した通俗教育・社会教育の質の改革を図る系統(通俗教育とは、正規の学校教育を受ける機会に十分に恵まれなかった人々に対して、補完的に行われた教育。日本では、明治から大正の時期にかけて、文部省が通俗教育行政として管轄していた)。

 前掲の二つは互いに補完しあうものである。(1)の教育政策課題については、能力に応じた教育の保障と教育の機会均等徹底のため、試験制度が改められるなどしたが、内容の精緻(せいち)化が深刻な病理現象を生み、新たな視点からの複線型化が提起されている。(1)(2)を通じての教育政策の目的は、第二次世界大戦前の臣民・公民・皇民教育を民主化することにあり、主権在民(国民主権)の実現が究極の理念であった。この理念は、国民の投票行動のあり方(投票率の低さなど)等からも、いまだ達成されたとはいいがたく、今日も政策課題であり続けている。

 今日の教育政策は、グローバリズムの拡大とともに、世界的規模で共通の問題をかかえつつ展開されている。たとえば、家庭、学校、職場、地域社会における教育・学習の総合的整備、生涯学習の基盤整備、男女共同参画社会基本法成立の動きなどがその例である。これらの政策の動向は、「自他の敬愛と協力により」「人格の完成を目ざす」といった理念への国民の共鳴度、政策の担い手たちの社会性を示すことになるだろう。

[木村力雄]

『市川昭午編『現代教育講座2 戦後日本の教育政策』(1975・第一法規出版)』『田村栄一郎・潮木守一編『現代社会の教育政策』(1976・東京大学出版会)』『市川昭午著『臨教審以後の教育政策』(1995・教育開発研究所)』『鈴木英一・平原春好編『資料 教育基本法50年史』(1998・勁草書房)』『中留武昭著『学校経営の改革戦略――日米の比較経営文化論』(1999・玉川大学出版部)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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