●散文【さんぶん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
散文
さんぶん
prose
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
世界大百科事典 第2版
さんぶん【散文】
出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.
日本大百科全書(ニッポニカ)
散文
さんぶん
prose 英語
prose フランス語
Prosa ドイツ語
普通の文章の意。散文の「散」というのは、この場合、制限がない、という意味で、詩歌のように字数や韻律やによって規制されることのない文のことである。日用の記述・説明の文をはじめとして、公用・私用のあらゆる文章から文学的な文章に至るまでが、ここに含まれる。なおproseには、平凡なこと、常套(じょうとう)事、または平凡な文章や議論、などの意味もあり、Prosaにも無趣味・殺風景の意味がある。さらに形容詞として「散文的」prosaic, prosaïque, prosaischという場合には、単に「散文の」というだけの意味で使われる場合もあるが、普通には、詩趣のない、趣味のない、とか、退屈な、平凡な、俗悪な、無味乾燥な、とかという意味で使われる。つまり、散文的ということばは、詩的な美しさや人間的な感情の高揚や奔放なイマジネーションなどとは、まったく対立的なものということになっている。「散文的な生活」という場合には、生活が前記のような意味で散文的だということである。
けれども、散文的ということばはそういうふうに使われようと、散文そのものは、つねにそういうふうに散文的だとは決まっていない。もちろん、散文のもっとも普通の形としては、非文学的な説明や記述による文書的表記一般としてのそれがあり、このほうが多いのだが、これに対して文学的表現(韻律の制約を受けぬ)としての散文が一方にあって、文学作品に限らず、諸種の文章表現のなかにそれはみいだされる。とくに小説のなかにそれは独特な形を示しており、『散文芸術の位置』(1924)での広津和郎(かずお)の散文精神論が示すように、散文による芸術を高く評価して、「結局、一口でいえば、沢山(たくさん)の芸術の種類の中で、散文芸術は、すぐ人生の隣りに居るものである。右隣りには、詩、美術、音楽というやうに、いろいろの芸術が並んでゐるが、左隣りはすぐ人生である。」とする。人生の、散文による客観的な追求がたいせつで、ロマンチックになるかわりに、泥まみれになり傷を負いつつも人生の真実をどこまでも掘り下げて明らかにしてゆく、というのがこの論である。これは日本独特のものだが、散文の性質の一面を存分に展開するとこうなる。こういうものを散文は潜めているということになろう。
[小田切秀雄]
『広津和郎著「散文芸術の位置」(『広津和郎全集 第9巻』所収・1974・中央公論社)』▽『河盛好蔵・桑原武夫責任編集『アラン/ヴァレリー集 芸術論集/他』(『世界の名著66』所収・1980・中央公論社)』▽『シクロフスキー著、水野忠夫訳『散文の理論』(1971・せりか書房)』
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
精選版 日本国語大辞典
さん‐ぶん【散文】
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
ちらし‐ぶみ【散文】
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
デジタル大辞泉
さん‐ぶん【散文】
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「散文」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●散文の関連情報