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散文【さんぶん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

散文
さんぶん
prose
文章形式の一つ。形式的には,韻律をもたない点で韻文と対比される。主として簡明で理性ないし事実に即した内容をもち,この点で詩と対比されるが,詩的内容をもった散文もあるので,両者の区別は必ずしも明確でない。修辞よりも意味が重視され,文法的な正確さが要求される。したがって通常の会話は散文とはいえない。ギリシアでもローマでも,散文は歴史,地誌,哲学など主として非純文学的な内容をもつものに用いられた。ギリシアではヘロドトス,ツキジデス,プラトン,アリストテレス,ローマではキケロ,カエサル,リウィウスなどが代表的散文家である。イギリスやフランスでは散文はまず法律文書に用いられ,次いで年代記,旅行記,さらに聖書の翻訳や説教書などにも用いられるようになった。ルネサンス期に入ると,文学にも使われはじめ,ラブレーの『ガルガンチュアとパンタグリュエル』,T.モアの『ユートピア』などの作品が現れた。劇はもとは韻文で書かれるのを原則とし,散文は下層階級の人物,道化,狂人など,通常の規範からはずれた人物のせりふに限られていたが,18世紀以後,まず喜劇が,次いで悲劇が,散文のみで書かれることが多くなった。一方,散文による文学論やエッセーなどの形式も 17世紀から盛んになり,モンテーニュらがすぐれた作品を残した。しかし,散文と最も密接に結びついた文学形式は,18世紀以後に急激に発展した小説である。現代では詩の多くが韻文で書かれているのを除けば,内容が文学的であるか否かを問わず,あらゆる文章表現は散文の形をとるのが通例である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

さん‐ぶん【散文】
韻律や定型にとらわれない通常の文章。⇔韻文

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

さんぶん【散文】
定型や韻律をもった文章,すなわち韻文に対して,定型や韻律にとらわれず,屈折自在で端的に事実を記述する文章をいう。英語のプローズproseにあたるが,その語源はラテン語プロルススprorsusで,〈まっすぐ〉〈平明〉の意である。したがって〈散文的〉といえば,語感抑揚に富み,感情や心象躍動に満ちた詩に対して,しばしば無味乾燥で陳腐な事物形容に用いられる。ヘーゲルはこの意味の散文的現実の出現に,近代社会の一特徴をみており,ルカーチもその思想を受け継いで,資本主義社会における散文的現実と詩的理想の分裂に,近代芸術の困難な運命と課題をみている。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

さんぶん【散文】
韻律・字数・句法などに制限のない通常の文章をいう。小説・随筆・日記・論文・手紙などに用いられる文章。 ⇔ 韻文

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

散文
さんぶん
prose 英語 フランス語
Prosaドイツ語
普通の文章の意。散文の「散」というのは、この場合、制限がない、という意味で、詩歌のように字数や韻律やによって規制されることのない文のことである。日用の記述・説明の文をはじめとして、公用・私用のあらゆる文章から文学的な文章に至るまでが、ここに含まれる。なおproseには、平凡なこと、常套(じょうとう)事、または平凡な文章や議論、などの意味もあり、Prosaにも無趣味・殺風景の意味がある。さらに形容詞として「散文的」prosaic, prosaque, prosaischという場合には、単に「散文の」というだけの意味で使われる場合もあるが、普通には、詩趣のない、趣味のない、とか、退屈な、平凡な、俗悪な、無味乾燥な、とかという意味で使われる。つまり、散文的ということばは、詩的な美しさや人間的な感情の高揚や奔放なイマジネーションなどとは、まったく対立的なものということになっている。「散文的な生活」という場合には、生活が前記のような意味で散文的だということである。
 けれども、散文的ということばはそういうふうに使われようと、散文そのものは、つねにそういうふうに散文的だとは決まっていない。もちろん、散文のもっとも普通の形としては、非文学的な説明や記述による文書的表記一般としてのそれがあり、このほうが多いのだが、これに対して文学的表現(韻律の制約を受けぬ)としての散文が一方にあって、文学作品に限らず、諸種の文章表現のなかにそれはみいだされる。とくに小説のなかにそれは独特な形を示しており、『散文芸術の位置』(1924)での広津和郎(かずお)の散文精神論が示すように、散文による芸術を高く評価して、「結局、一口でいえば、沢山(たくさん)の芸術の種類の中で、散文芸術は、すぐ人生の隣りに居るものである。右隣りには、詩、美術、音楽というやうに、いろいろの芸術が並んでゐるが、左隣りはすぐ人生である。」とする。人生の、散文による客観的な追求がたいせつで、ロマンチックになるかわりに、泥まみれになり傷を負いつつも人生の真実をどこまでも掘り下げて明らかにしてゆく、というのがこの論である。これは日本独特のものだが、散文の性質の一面を存分に展開するとこうなる。こういうものを散文は潜めているということになろう。[小田切秀雄]
『広津和郎著「散文芸術の位置」(『広津和郎全集 第9巻』所収・1974・中央公論社) ▽河盛好蔵・桑原武夫責任編集『アラン/ヴァレリー集 芸術論集/他』(『世界の名著66』所収・1980・中央公論社) ▽シクロフスキー著、水野忠夫訳『散文の理論』(1971・せりか書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

さん‐ぶん【散文】
〘名〙 押韻や一句の字数のきまりのない文章。詩、和歌、俳句など、韻律に規制されたり字数に制限があったりする韻文に対して、通常の文章をいう。散語。⇔韻文
※土井本周易抄(1477)二「対文には父の字は生たをやぞ。死したには、考の字をかくぞ。然れども散文には、どれをもかくぞ」
※操觚字訣(1763‐73)一「散文と云は、字数不定、平仄韻章、もとより、かまひなし」

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ちらし‐ぶみ【散文】
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第一二「水はの字をきっぱりと〈吟行〉 月の色なを染出してちらし文〈西習〉」

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