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文献学【ぶんけんがく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

文献学
ぶんけんがく
philology
ある民族の残したあらゆる種類の文献を研究し,その民族の,特に古い時代の文化を知ろうとする学問。そのためには,言語学,考古学歴史学,民族学,書誌学など,多くの関連諸学の助けが必要であり,さらに文献の種類からいっても,文学宗教哲学,法律,歴史をはじめとする多方面の莫大な知識を必要とする。こうしたものをすべて含んだ統一的文化学を文献学といい,ドイツでは伝統的に盛んである。しかし他の国では文献学というときには,文献の解釈批判の学問をさすことが多い。言語そのものを対象とする言語学とは目的も方法も異なるが,両者は互いに補い合うものである。なお英語の philologyは言語学 linguisticsと同じ味で用いられてきたが,現在は次第に用いられなくなりつつある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ぶんけん‐がく【文献学】
《〈ドイツ〉Philologie》文献の真偽の考証・本文の確定・解釈などを行い、民族や文化を歴史的に研究する学問。書誌学との関連が深いことから、その意に用いられることもある。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

ぶんけんがく【文献学 Philologie[ドイツ]】
一般的に文献をあつかう学問をいい,書誌学テキストクリティックを主とするもの,あるいは,中国でいう〈目録学〉の同意語として使用されることもあるが,厳密には,ドイツの古典学者A.ベックの《文献学の総覧と方法論》(1877)にいう〈人間精神によって生産されたもの,すなわち認識されたものを認識すること〉とすべきである。ドイツ語のPhilologieは,ギリシア語philologia(学問好き)から出るが,それがしだいにことばの学問(博言学)に限定され,英語のphilologyはその意味で使用される。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

文献学
ぶんけんがく
grammatike ギリシア語
philologia ラテン語
Philologie ドイツ語

文書に残って伝承されていることばの総体を理解しようとする学問分野および方法論。現実には対象となる文献はもっぱら古代ギリシア語、ラテン語で書かれた古典作品であり、そのなかでもとくに文芸作品が中心となる。言語学とは異なり、あくまでもまとまった意味のある言説として古典古代の文献を理解することを目的とし、その前提として、文書の本文(テクスト)の伝承過程を検討し、個別箇所における真正な読みを多様な異読のなかから確定する手続を重視する。したがって、専門分化した近代以後の名称としては、「文献学」は本文校訂論とほぼ同義となり、古典作品の解釈という側面は、本文確定のための一手段としてのみ位置づけられる。

 古代ギリシアにおける文献学の起源は、書物の普及と密接に関連していた。古典期が過ぎると、後世に伝達すべき古典となる文学作品が整い、書物が普及していった。そのなかでアリストテレスは、あらゆる学問分野について体系的に文書資料の収集を行い、古代ギリシアにおいて確認できる最初の収書家となった。ヘレニズム時代に入り、プトレマイオス王朝下にエジプトのアレクサンドリアがギリシア世界の政治的中心を占め、異民族間に浸透したギリシア文化の植民地としても重要になると、書物はもはや単なる覚え書きではなくなり、正統な古典ギリシア文化の伝統のよりどころとして尊重されるようになった。とくにギリシア文化の基盤をなしていたホメロスの叙事詩は、もともと口誦(こうしょう)文学であったという事情を反映して、本文が流動的状態にあり、ギリシア各地に多種の異本が認められた。王家の庇護(ひご)によりアレクサンドリアには大規模な図書館を伴った研究機関ムーセイオンが設立され、「グランマティケー」(書かれたものに関する学)の専門家である文献学者が出現した。ホメロスの本文を確定するために尽力した学者たちのなかで、ゼノドトス、アリストファネス、アリスタルコスが著名である。

 ローマ時代および中世には、もっぱら古典の継承が重視され、文献学もおもに古典の解説に終始したが、ルネサンス時代に至ると、源泉への回帰が志向されるなかで、古典作品もその原状態の回復が重視されるようになった。この時代に「フィロロギア」の名称が文献学のみならず文学研究全般をさすようになったが、ポリツィアーノ、スカリジェルを経て、19世紀のラハマンKarl Lachmann(1793―1851)に連なる本文校訂論の確立は、ルネサンスの源泉回帰を発端としている。

 他方、近代ドイツの「新人文主義」の潮流においては、総合への志向が強調された。諸学の総合としての文献学という理念は、元来はヘレニズム時代の万学の学者エラトステネスの自己弁護から生じたものだが、ルネサンス時代にもビュデが教養理念として掲げた例がある。ウィンケルマンの説いた古典古代文化の総合的理解の理想は、ドイツの古典学者ウォルフFriedrich August Wolf(1759―1824)やベックAugust Böckh(1785―1867)によって旧来の文献学と区別された「古代学」Altertumswissenschaftの理念へと受け継がれた。あくまで文献学に主眼を置いたうえではあるが、この教養理念は、20世紀の古典学者ウィラモウィッツ・メーレンドルフUlrich von Wilamowitz-Moellendorff(1848―1931)によっても理想として掲げられた。

 近代ヨーロッパ諸言語を系統ごとにまとめて、スラブ語、ゲルマン語、ロマンス語等のそれぞれの「文献学」を学問分野として設定することがあり、さらには非ヨーロッパ系言語を対象とするものにも「文献学」の名称が転用されることがある。

[片山英男]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ぶんけん‐がく【文献学】
〘名〙 (Philologie の訳語) 言語で記された文献を材料として、民族や文化を研究する学問。日本には明治末年、古典文学の本文校訂や成立、解釈の研究分野に導入された。言語と密接に関連するので、言語学の意に、また、国書の科学的調査研究というところから、書誌学の意に用いられることもある。

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