●新プラトン主義【しんプラトンしゅぎ】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
新プラトン主義
しんプラトンしゅぎ
Neoplatonism
プラトンの伝統に立脚し,2~6世紀に西欧で盛んであったギリシア哲学の一派をさす思想史上の名称。その創始者はアンモニオス・サッカス (175頃~242) ,大成者はプロチノス (205~270) といわれ,他にアメリオス,ポルフュリオス,ヤンブリコス,テオドロス,プロクロスなどがよく知られている。万物の本源である「一者」からあらゆる実在が階層的に「流出」し,より低い階層はその上位のものの模像であり,より複雑,不完全である。また万物は「観照」によって一者へ階層的に回帰することを欲し,この上下2方向への運動が実在を構成するとした。人間もこの運動によって感覚的なものを脱して一者に向い,これとの直接的合一,すなわち「脱我」の境に達することを求むべきであるとした。このような思想は形成期にあったキリスト教に取入れられ,オリゲネス,ニッサのグレゴリウスなどの教父ばかりではなく,のちのキリスト教思想に重大かつ根本的な影響を与えた。
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世界大百科事典 第2版
しんプラトンしゅぎ【新プラトン主義 Neoplatonism】
後3世紀にプロティノスによって実質的に創始され,6世紀まで存続した哲学思潮。その後のヨーロッパ哲学史上にプラトン主義の伝統を定着させる働きをした。プロティノス自身かなり独創的な思想家であったが,自分の思想をすべてプラトン哲学からの帰結であると称していたので,この名がある。しかしプラトンにみられる政治的・実践的関心はあまりなく,もっぱら神学的・形而上学的局面に集中する。プロティノスに影響を与えたのはプラトン,アリストテレス,ストア学派,新ピタゴラス学派などの哲学であるが,ギリシア哲学ばかりではなく,その師アンモニオス・サッカスを介してオリエント,エジプトの神秘学からも多大のものを受け継いだ。
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旺文社世界史事典 三訂版
新プラトン主義
しんプラトンしゅぎ
Neoplatonism
プロティノスによって確立された古代哲学最後の学派。「ネオプラトニズム」
3世紀にアレクサンドリアで始まり,プラトンを始祖としながらも,ギリシア哲学の主要思想を総合し,東方の宗教思想をも加えて成立。神秘主義的傾向が強い。キリスト教に対して異教を弁護する役割を果たしたため,ユスティニアヌス帝により,529年アテネのアカデメイアを閉鎖された。同時にキリスト教教理の発展にも寄与し,中世の神学・哲学に大きな影響を与えた。ルネサンス時代にイタリアに復活。
3世紀にアレクサンドリアで始まり,プラトンを始祖としながらも,ギリシア哲学の主要思想を総合し,東方の宗教思想をも加えて成立。神秘主義的傾向が強い。キリスト教に対して異教を弁護する役割を果たしたため,ユスティニアヌス帝により,529年アテネのアカデメイアを閉鎖された。同時にキリスト教教理の発展にも寄与し,中世の神学・哲学に大きな影響を与えた。ルネサンス時代にイタリアに復活。
出典:旺文社世界史事典 三訂版
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