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新型転換炉【しんがたてんかんろ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

新型転換炉
しんがたてんかんろ
advanced thermal reactor; ATR
重水を減速材とした熱中性子炉一種で,濃縮ウランのみに依存せず,天然ウランプルトニウムなど多様な燃料が使用できる。また,エネルギーを生産しながら,それ自身では燃料にならないウラン 238に中性子をむだなく吸収させて,核燃料のプルトニウム 239により多く変えられるようにつくられている。普通の軽水ガス冷却炉では,燃料のウランのうち,わずか1%ほどしか燃やせないが,新型転換炉ではこの有効利用率 (転換率) を3~4%に高めることをねらっている。日本が 1978年完成した重水減速・沸騰軽水冷却型炉の「ふげん」もその一つ。プルトニウム富化天然ウラン燃料を使うユニークな炉だったが,軽水炉でのプルトニウム利用 (→プルサーマル ) が進むにつれ,開発意義を失い,2003年運転停止,廃止措置が開始された。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版

しんがたてんかんろ【新型転換炉】
advanced thermal reactor,略してATRという。日本で開発されている原子炉の一種。日本の動力炉開発計画を検討していた原子力委員会は,濃縮ウランに依存せず,ウラン資源を有効に利用できること,原子力発電体系を多様化できることの見地から重水炉を開発することとし,これをナショナルプロジェクトに決定し,1977年から原型炉〈ふげん〉の開発を進めてきた。その後,軽水炉利用の急速な進展とウラン濃縮事業の国際的拡大によりその位置づけは若干変化し,軽水炉から生じるプルトニウムの有効利用の手段として,資源の有効利用の観点から,ユニークな役割を果たすことが期待されたが,軽水炉においてプルトニウムを利用する計画が進むにつれて,巨費を投じてこれを実用化する必然性が失われ,95年に原子力委員会はこれの実証炉建設計画を中止した。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

新型転換炉
しんがたてんかんろ

原子炉の炉型の一つ。発電用の熱中性子炉のなかで、転換率の高い、中性子の利用効率のよい原子炉をいう。原子炉の中で核分裂性物質が消費される一方、親物質が中性子を吸収して核分裂性物質に転換される。この割合を転換比というが、軽水炉の場合には0.6、増殖炉の場合には1よりも大きい。新型転換炉では、軽水炉と増殖炉の中間の値を示す。

 動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が開発した新型転換炉は、沸騰軽水冷却型重水炉で、「ふげん」と名づけられ、1979年(昭和54)から2003年(平成15)まで運転した(動燃は1998年9月に解団し、同年10月核燃料サイクル開発機構が事業を継承。2005年10月より核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所が統合して発足した日本原子力研究開発機構が管理)。これは電気出力16.5万キロワットの原型炉である。この原子炉は軽水炉の炉心構造と大きく異なり、減速材の重水タンクの中に224本の圧力管が24センチメートルの格子間隔で垂直に配置され、その中に28本の燃料棒で構成された燃料集合体が収められた。燃料棒の被覆管は、軽水炉と同じくジルカロイであった。

 燃料は、微濃縮ウラン、あるいはプルトニウム富化天然ウランが用いられる(再処理回収ウランや劣化ウランも利用される)。冷却材の温度は軽水炉の場合よりも低く、炉入口温度277℃、炉出口温度284℃である。圧力は約68気圧である。「ふげん」の特徴は、転換比が高く、また燃料としてプルトニウム239が使えることにあった。軽水炉の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを抽出しても、いまのところ利用法がない。一つの利用法は軽水炉にリサイクルすること、他は「ふげん」のような新型転換炉で積極的に燃やすことである。新型転換炉は、軽水炉と高速増殖炉のつなぎの役目を果たす原子炉と位置づけられてきたが、経済性をあげることができなかったため、原型炉までで開発を中止した。

[桜井 淳]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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化学辞典 第2版

新型転換炉
シンガタテンカンロ
advanced thermal reactor

略称ATR.基本的には,重水減速-沸騰軽水冷却型原子炉.発電用軽水炉で蓄積されるプルトニウムの処理とウラン資源依存度の低下を視野に入れて,天然ウラン,低濃縮ウラン燃料やプルトニウム富化燃料の使用可能な原子炉のタイプとして,日本で自主開発された.動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)が敦賀市に建設した「ふげん」が新型転換炉原型炉である.「ふげん」は熱出力557 MW,電気出力165 MW で,燃料は1.5% 濃縮ウラン-0.5% プルトニウム混合酸化物燃料(MOX)である.1978年7月から電力供給を開始したが,1995年,原子力委員会で経済性の観点から後続の実証炉の建設中止が決まり,2003年3月末で運転を終了した.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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