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日照権【にっしょうけん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

日照権
にっしょうけん
ある土地上で一定以上の期間妨害されることなく日照を利用して快適な生活をおくることができる権利。法律上保護に値する利益であり,違法な妨害に対しては差止め,損害賠償などの救済が与えられる。損害賠償について 1972年最高裁はこれを認めている。建築基準法もある程度隣地への日照の確保を目的とする建築規制をしている。イギリスでは財産法上,家屋所有者がその窓口から太陽光線を受ける権利をいう。家屋の所有者がその窓口を 20年間以上採光のために用いていた場合,隣接地の所有者はこれを妨害するような建造物の建築その他一切の行為をしてはならない。この法原則は 1663年に始ったもので,土地保有者は,制定法上定められた期間,窓口を採光のために利用してきたのであって,採光地役権を取得するという理論に基づいている。アメリカの裁判所ではいまだ日照権は広く認められるにはいたっていない。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」

日照権
日本では1920年以降、建物の高さは原則31メートル以内に制限されてきた。地震に強い高層ビル建設が可能になり、高さ制限は60年代に撤廃。一方で、ビルにより日差しが遮られる周囲とのトラブルが多発するようになった。77年の改正建築基準法で、高層建築により生じる日影を規制するようになった。住宅地域の権利保護を優先するとし、商業工業地域は規制から除外された。
(2018-02-16 朝日新聞 朝刊 名古屋・1地方)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

にっしょう‐けん〔ニツセウ‐〕【日照権】
日照を確保する権利。高層の建物などによって日当たりが妨げられて被害を生じた場合に、損害賠償・妨害排除などの請求根拠として主張される。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

にっしょうけん【日照権】
日照を享受して快適で健康な生活を送る権利。都市への人口集中,地価高騰は,土地の高度利用,建築物の高層化をもたらし,昭和40年代には,これに伴って生じる日照・通風妨害,電波障害等が,深刻な問題となった。日照は人間が快適で健康な生活を送るために欠くことのできない生活利益であり,他方法令の制限内であれば土地を最大限有効に利用することも所有者に認められた権利である。したがって,日照の確保は,いわば権利対権利の衝突をもたらし,両者利害をどのように調整するかが問題となった。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

にっしょうけん【日照権】
日照を享受する権利。隣接する建築物によって日当たりが妨害され不利益をこうむった場合、損害賠償・妨害排除などを請求する際の根拠として主張される。建築基準法による日影規制および地方公共団体の条例により日照権の保護が図られている。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

日照権
にっしょうけん
住居の日照(太陽の光)を確保する権利。「日照権」は、高層建築物によって日当りや採光の障害が社会常識上がまんの許容量を超えた場合に、損害賠償・建築工事差止めなどを行う根拠として主張される権利である。高層建築物が建てられる場所(地域性という)や被害の程度によって差止めや損害賠償が決められる。
 日照権は、1970年代、都市への人口集中と地価の高騰により、住居の隣に営利を目的としたマンションなどの高層建築物が建てられ、日照妨害・プライバシー侵害などの被害が生じることに対する反発から始まった。当初、それは事業者と近隣住民の話し合いから始まったが、事業者はあくまで建築基準法に違反していない合法建築だとして譲らず、住民も日照を受けるのは基本的人権であると主張し、戦術的にも裁判に訴えたり、自治体に調整を求めるなどエスカレートさせていった。裁判所は住民の訴えを認め、すでに建ってしまったマンションに対しては損害賠償を、工事中の建築物については差止めを命じた。自治体も住民と協議しなければ建築を認めないという宅地開発指導要綱を定めてブレーキをかけようとした。しかし住民はさらに自治体に対し、行政指導というあやふやな規制ではなく、法的拘束力のある「日当り条例」を定めるよう直接請求を行うまでになった。
 これを受けて政府は1977年(昭和52)、日照は都市生活のなかでも重要な生活利益であり、「住居系地域」(建築基準法・都市計画法では、住居系、商業系、工業系など12種類の用途地域を定めている)は、日照を確保するため日影を規制する必要があるとして、建築基準法の改正を行った(建築基準法第56条の2日影による中高層の建築物の高さの制限)。具体的にどの地域にどの程度の日影規制を行うかは、自治体が条例で定めている。そのため現在では、事業者が建築をするために必要な建築確認を申請した時点で日影規制基準をクリアしているかどうかを自治体がチェックするようになり、住民は自動的に一定の日照を得られるようになっている。これを公法的基準という。しかしこれで問題がすべて解決したわけではなく、事業者と住民の争いは絶えない。それは、日本では日影規制のない商業、工業系地域にも住宅があり人が住んでいる場合が多く、また日影規制のある住居系地域でも日照の保護が甘く、十分に日照が確保されないといった事情があるからである。そこで住民は公法的基準をクリアした建物についても裁判所に訴えるようになり、裁判所も、被害が大きいと認める場合には、日影規制基準をクリアしていても民法上違法であるとして、損害賠償や差止め請求を認めている。これを私法的基準という。日照権は現在のところ「公法」と「私法」という二重の基準で審査されている。[五十嵐敬喜]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

にっしょう‐けん ニッセウ‥【日照権】
〘名〙 太陽光線を確保する権利。建物などで日当たりがさまたげられて生じた身体的、精神的もしくは財産上の被害に対する損害賠償や妨害排除などの請求の根拠として主張される。
※白く塗りたる墓(1970)〈高橋和巳〉七「社会部による日照権および騒音公害の調査」

出典:精選版 日本国語大辞典
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