@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

時効硬化【じこうこうか】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

時効硬化
じこうこうか
age-hardening
合金を焼入れしたのち,適当な温度にある時間放置しておくと硬くなる現象金属は通常,高温なほど溶質の溶解度が上がるため,高温に保持した合金を急冷すると過飽和な状態を得ることができる。このような状態の合金を原子の拡散が可能な温度にある時間保持すると,過飽和に蓄えられていた溶質が集合しはじめる。この時形成される溶質濃度の高い原子集合体 (化合物となる場合もある) を析出物というが,この析出物が転位の運動に対して障害物として作用することによって材料が硬化する。時効硬化は温度による溶質の再分配によって起こるため,種々の合金組成の材料に対して,最適な熱処理条件が標準熱処理として規格されている。例としては,アルミニウム系およびマグネシウム系の軽合金G-P帯形成によって生じる硬化,加工した軟鋼や焼入れ鋼における炭素および窒素の化合物による硬化,さらにはベリリウム青銅やニッケル青銅などの銅合金にもみられる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

じこう‐こうか〔ジカウカウクワ〕【時効硬化】
熱処理および加工などによって不安定状態にある金属の性質が、時間の経過とともに変化し、硬度を増す現象。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

じこうこうか【時効硬化】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

時効硬化
じこうこうか
age hardening

金属材料を急速に冷却した場合には材料内部に不安定な組織が生じ、これを常温で放置したり、または常温より高い温度に長時間保っておくと、安定な組織や状態に移行しようとして材料の性質が変化する現象がある。この現象あるいはこの現象を生じさせる操作を時効といい、そのなかで時間の経過によって金属材料の硬さが増すものが時効硬化である。この硬化が常温で放置してもおこる場合を常温時効または自然時効といい、いくらか加熱する必要のある場合を高温時効または人工時効という。

 金属材料の内部組織が不安定な状態にあって安定な状態に移行しようとするとき、金属の結晶中で原子が動くことになる。それには熱エネルギーが必要であり、常温でも十分であれば常温時効がおこるが、いくらか加熱することで金属中の原子の移動が可能になる場合が人工時効である。

 時効硬化の現象は20世紀初めにドイツ人ウィルムにより発見された。彼はアルミニウム合金(ジュラルミン)を鋼と同じように焼入れしようとして失敗したが、その副産物としてこの現象をみいだした。ジュラルミンの時効硬化は常温でおこり、夏季で2~3日、冬季でも1週間ぐらいで相当硬化する。時効硬化が常温でおこるものはアルミニウム合金や鉛合金など融点の低い金属の合金であり、銅合金では加熱により時効硬化がおこる。人工時効硬化の場合には、一定に保たれる温度により硬化の過程や最終硬さの値が異なる。また、硬化に伴って材料の強さ(引張り強さや疲れ強さ)がどのように変化するかは人工時効を行ううえで重要な事柄である。

[林 邦夫]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

じこう‐こうか ジカウカウクヮ【時効硬化】
〘名〙 合金が時間の経過とともに、かたくなること。ジュラルミンなどにみられる性質。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

化学辞典 第2版

時効硬化
ジコウコウカ
age-hardening

固溶体となっている合金を高温から焼入れすると,溶質原子の移動が抑制され,過飽和に溶質原子を含む固溶体が得られる.この過飽和固溶体は非平衡状態であるので,常温あるいはやや高い温度に置くと,時間の経過とともに溶質原子が移動して平衡状態に移行する.その過程で溶質原子が集まって数十 nm 程度以下の集合体(Guinier-Preston集合体:G.P.ゾーン)を形成したり,溶質原子の化合物相が析出する.これに伴って合金の物理的,化学的,機械的性質に変化が起こる.とくに硬さや強さにいちじるしい増加が見られる場合があり,これを時効硬化という.常温での時効を自然時効(natural aging),またやや高い温度での時効を人工時効(artificial aging)という.時効硬化はアルミニウム合金であるジュラルミンで詳細に研究されている.この現象を利用して強化された実用金属材料の代表的なものに,ジュラルミン,ベリリウム青銅,析出型ステンレス鋼などがある.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

Copyright © MORIKITA PUBLISHING Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

時効硬化」の用語解説はコトバンクが提供しています。

時効硬化の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation