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曲芸【きょくげい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

曲芸
きょくげい
acrobatics
高度の熟練によって得られた肉体の柔軟性や敏捷性を応用して,人間の力学的行動性を見せる能。内容は,空中ぶらんこ,綱渡り,曲乗り,足芸,力技など多様。エジプト,インド,ギリシア,中国をはじめ,古代からさまざまな芸があり,日本でも,奈良時代に中国から渡来した散楽雑技のなかに,一足,高足 (たかあし) ,擲剣,品玉 (しなだま) などがあった。これらは散楽師から田楽師,猿楽師,傀儡 (かいらい) 師などの手に渡り,中世では放下 (ほうか) 師などによって演じられた。江戸時代は非人頭や香具師 (やし) たちの手によって,見世物芸,大道芸として盛んに演じられたが,明治以後西洋のサーカスや奇術に圧倒され,一部が寄席演芸に吸収されて残っている。そのほか曲馬曲鞠曲独楽,枕返し,太神楽 (だいかぐら) ,また動物や鳥の曲芸もある。ヨーロッパでは,中世には旅芸人による大道芸能として,17,18世紀には市 (いち) の娯楽として人気があったが,19世紀以後はサーカスの演目やミュージックホールの演芸に組込まれた。 (→軽業 , 曲馬 )  

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デジタル大辞泉

きょく‐げい【曲芸】
常人にはできない、身軽さや熟練を必要とする離れ業。軽業(かるわざ)。アクロバット

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

きょくげい【曲芸】
見世物の一種。〈曲〉には変化のあるおもしろ味とか,わざの変化といった意味があり,手や足を用いて主にその敏しょうな動きを見せる芸を称したが,のちには軽業と同義の言葉になった。奈良時代に散楽の一部として大陸から伝来した曲芸・軽業的技術が,中世にいたって放下(ほうか)師()によって専門的に演じられる芸となる。その種目は長さ30cm内外,太さ1cmくらいの竹の棒2本を持って打ち合わせたり曲取りをする〈筑子(こきりこ)〉や平安時代から盛んに行われていた曲芸で,の形をして中央のくびれた部分に紐を巻き,回転させたり,空中高く飛ばせて曲取りをしたりする〈輪鼓(りゆうご)〉,田楽芸の高足(たかあし)から転化した〈連飛(れんとび)〉とか〈曲鞠(きよくまり)〉〈品玉(しなだま)〉などがあり〈放下〉はこれらの総称ともなった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

曲芸
きょくげい
大道芸あるいは見せ物興行として演じられる、おもに練達した高い技術をもって人の目を驚かせる芸能。「つまさきで歩く」というギリシア語に語源をもつアクロバットacrobatに代表されるように、西欧でも曲芸の類は非常に古くから行われているが、本項では日本の曲芸に限定して叙述するので、外国のそれについては「大道芸」などの項を参照されたい。
 日本の曲芸は、宗教的な呪術(じゅじゅつ)としての山伏の火渡り、太刀(たち)渡り、湯立(ゆだて)といった技術から発生した系統に加え、奈良時代に大陸から伝来した散楽(さんがく)系の諸芸、一足(いっそく)、高足(たかあし)、輪鼓(りゅうご)、独楽(こま)、呪師(じゅし)、侏儒(しゅじゅ)、傀儡(かいらい)、戯縄(ぎじょう)、縁竿(えんかん)、品玉(しなだま)、擲剣(てきけん)などといった芸能のすべてがその源流となったといってよいであろう。これらが散楽戸の廃止(782)以来、散楽法師から田楽(でんがく)法師、傀儡師に伝えられ、猿楽(さるがく)、中世の放下師(ほうかし)の手を経て、江戸時代には大道芸、見せ物芸として人気を集め、多くの芸種を生むに至り、いわゆる近世雑芸(ざつげい)群の主流を占めた。
 曲芸を大きく分けると、(1)人間の肉体(おもに手足)を用いてその修練の成果たる技術をみせるもの、(2)道具や品物を扱う技術をもって芸をなすもの、(3)動物を使うもの、に分類できる。肉体訓練を重ねて行われる曲芸を総称して「軽業」ともいう。軽業は蜘舞(くもまい)という散楽芸からおこった綱渡りが源流で、のちに一本綱、一本竹、二本竹など「渡り物」ともいえる一ジャンルを形成した。ほかに、籠(かご)抜け、蓮飛(れんとび)、刃渡り、人馬(ひとうま)、ぶらんこ、足芸などといった芸が数えられる。
 次に器物を用いる曲芸のいくつかについてその内容を記してみよう。[織田紘二]

曲独楽

散楽雑伎(ざつぎ)中の一種であった独楽(こま)の曲芸が見世物興行として行われるのは、1700年(元禄13)九州から大坂に上った初太郎の博多曲独楽(はかたきょくごま)であった。彼の弟子の金之助らは江戸に出て男色と曲独楽で名を売った。明和(めいわ)~天明(てんめい)(1764~1789)のころに博多永蔵によって大成され、弘化(こうか)(1844~1848)の竹沢藤治によって一時代を画し、江戸末期を全盛期とする。売薬売りの松井源水は代々が独楽の芸をもって業を営んだが、1866年(慶応2)には13代目が渡米し、西洋にも曲独楽を紹介した。[織田紘二]

曲搗き

粟餅(あわもち)の曲搗(きょくづ)きは寛政(かんせい)年間(1789~1801)に始まった。搗き手と捏(こ)ね手の2人が杵(きね)を空中に放り投げたり、餅をちぎったり丸めたりして投げる技をみせ、滑稽(こっけい)な口上や振りの大仰(おおぎょう)さで売ったものであり、文政(ぶんせい)・天保(てんぽう)(1818~1844)ごろに大坂、名古屋などで見世物になっている。[織田紘二]

曲吹き

飴細工(あめざいく)のことで、水飴をいろいろな形につくりあげる妙技を曲にのせて見せるもの。寛政(かんせい)年間(1789~1801)には見せ物になっている。[織田紘二]

曲鞠

散楽雑伎の一つとして中国から伝わったもので、美しい糸巻の鞠(まり)を蹴(け)って行う芸。寛永(かんえい)・正保(しょうほう)(1624~1648)ごろ、外良右近(うこん)という者が興行した記録が『卜養(ぼくよう)狂歌集』にあるが、蹴鞠(けまり)の本家飛鳥井(あすかい)家から訴えられている。天保(1830~1844)の菊川国丸が曲手鞠と名をつけて、乱杭(らんぐい)渡り、中吊(づ)り、文字書きなど19通りの演目を演じて高い評判をとったが、やはり召し捕らえられている。
 この種にはほかに、曲馬、居合抜き、皿回しなどがある。
 動物を用いての曲芸も多い。寛政ごろには鷹遣(たかつか)いが見せ物化しているし、海驢(あしか)の曲芸や大蝙蝠(こうもり)の綱渡り、九官鳥の物真似(ものまね)などがあった。現在でも一部でみられる山雀(やまがら)の曲芸は文化(ぶんか)・文政(1804~1830)ごろからのもので、賽銭(さいせん)拾い、那須与市(なすのよいち)扇の的(まと)、宮島詣(もう)でなどといった芸があったが、おみくじを引かせる芸は今日でもときどき目にすることがある。貞享(じょうきょう)(1684~1688)のころには江戸・湯島天神前に水右衛門なる者がおり、これら動物に芸を仕込む名人であったという。
 曲芸軽業師は、江戸では乞胸仁太夫(ごうむねにだゆう)、穢多頭(えたがしら)弾左衛門の配下に置かれていた身分の低い者たちとされていたが、それだけに修練を重ね、近代のサーカスにみるような高度に完成された芸の伝統をつくりあげたといえよう。[織田紘二]
『朝倉無声著『見世物研究』(1928・春陽堂) ▽小野武雄編著『江戸風俗図誌8 見世物風俗図誌』(1977・展望社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

きょく‐げい【曲芸】
〘名〙
① 普通の人にはできない、目先の変わった離れわざ。かるわざ、手品、曲馬、こま回しなどの見世物の類をいう。また、その人。
※拾玉得花(1428)「ただその一体(いってい)一体を得たらん曲芸は、又その分その分によりて」 〔李商隠‐詠懐寄秘閣旧寮詩〕
② (比喩的に) ふつうでは考えられないような言動をとること。また、その言動。芸当。
※自由学校(1950)〈獅子文六〉自由を求めて「最もいやなのは、社の新幹部たちが、〈略〉外国電報の入る度に、態度を変えるといったような、曲芸を演ずることである」

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