●杜若【カキツバタ】
デジタル大辞泉
かきつばた【杜=若/燕=子=花】

1 アヤメ科の多年草。湿地に群生。葉は剣状で幅広く、基部は鞘(さや)になり茎を挟む。初夏、濃紫色の花を開く。外花被3枚は垂れ、中央に黄や白の斑紋がある。内花被3枚は小さく、直立する。園芸種には白花もある。古くは花汁で布を染め、書き付け花とよばれたという。かおよぐさ。《季 夏》「―べたりと鳶(とび)のたれてける/蕪村」
2 襲(かさね)の色目の名。表は二藍(ふたあい)、裏は萌葱(もえぎ)。一説に、表は薄萌葱、裏は薄紅梅。
3 紋所の名。カキツバタの葉と花を図案化したもの。

1 花の美しさから、「にほふ」「丹(に)つらふ」にかかる。
「―につらふ君を」〈万・二五二一〉
2 花が咲くところから、「さき」にかかる。
「―佐紀沼(さきぬ)の菅を」〈万・二八一八〉
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かきつばた【杜若】[謡曲]
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と‐じゃく【×杜若】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
杜若
かきつばた
能の曲目。三番目物。五流現行曲。世阿弥(ぜあみ)作か。出典は『伊勢(いせ)物語』。在原業平(ありわらのなりひら)の東下(あずまくだ)り、三河(みかわ)国(愛知県)八橋(やつはし)で詠んだ「からころもきつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞおもふ」、その杜若の精を美しい女人の姿で登場させ、業平をめぐる女性像と重ね合わせた能。『伊勢物語』の情緒の濃さと、初夏の季節感の鮮やかさが映り合って成功した作品である。八橋の杜若に見入る旅の僧(ワキ)に呼びかけた女(シテ)は、僧をわが庵(いおり)へと導く。高子(たかきこ)の后(きさき)の衣装をつけ、彼女の恋人である業平の形見の冠(かむり)を着た女は、『伊勢物語』の恋愛絵巻を舞い、歌に秀でた業平を極楽の歌舞の菩薩(ぼさつ)として賛嘆し、草木国土悉皆(しっかい)成仏の仏の力を得て、清澄な世界へ消えていく。草木の精をシテとする能、『梅』『藤(ふじ)』『芭蕉(ばしょう)』、紅葉の精の『六浦(むつら)』、『墨染桜(すみぞめざくら)』『西行桜(さいぎょうざくら)』『遊行柳(ゆぎょうやなぎ)』のなかでも、とりわけ華麗な幽玄味を主張する作品である。
[増田正造]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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動植物名よみかた辞典 普及版
杜若 (カキツバタ・カイツバタ;カキツ;カキツハタ)
植物。アヤメ科の抽水性多年草,高山植物,園芸植物,薬用植物
出典:日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」
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精選版 日本国語大辞典
と‐じゃく【杜若】
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