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杜鵑・時鳥・子規・郭公・不如帰【ほととぎす】

精選版 日本国語大辞典

ほととぎす【杜鵑・時鳥・子規・郭公・不如帰】
[1] 〘名〙
① カッコウ科の鳥。全長約二八センチメートル。背面は灰褐色で、腹は白地に横斑がある。尾羽が長く、白斑が混じる。カッコウによく似るが、はるかに小さく、腹面の横斑は幅が広く、数が少ない。中国東北地方からヒマラヤにかけてと、インドネシアおよびマダガスカルに分布し、北方の鳥は南アジアで越冬する。日本には五月に各地に渡来し、八~九月に南方へ去る。山林に単独ですみ、自分で巣は作らないでウグイスなどの巣に五~八月頃托卵し、仮親に育てさせる。古来、春のウグイス、秋のカリとともに、夏の鳥として親しまれ、文学にもよく登場する。現代では、鳴き声が「テッペンカケタカ」「特許許可局」と聞こえるとされる。蜀王の霊の化した鳥とか、冥土との間を往来する鳥とか、種々の伝説や口碑も多い。あやめ鳥・いもせ鳥・うない鳥・さなえ鳥・しでの田おさ・たちばな鳥・たま迎え鳥・時つ鳥・夕かげ鳥など、異名もすこぶる多く、あてられる文字も、ほかに杜宇・田鵑・沓乞・催帰・蜀魂・帝魂など多種類にのぼる。《季・夏》
※万葉(8C後)一八・四一一六「保止々支須(ホトトギス) 来鳴く五月の あやめぐさ」
② (杜鵑草・油点草) ユリ科の多年草。関東および福井県以西の湿った林内などに生える。高さ三〇~六〇センチメートル、斜上する褐色の毛を密生する。葉は長楕円形で長さ六~一〇センチメートル、基部で茎を抱き、両面に毛がある。夏から秋にかけ、葉腋に上向きの漏斗状鐘形をした濃い紫斑のある花が咲く。花被に紫色の斑点があるのを鳥のホトトギスの腹の横斑に見立ててこの名がある。漢名に油点草をあてる。《季・秋》
※花壇地錦抄(1695)四「郭公(ホトトキス) 花せんやうなり。さらさの見事或はかの鳥のはねのごとし」
③ 動物昔話の一つ。弟が山芋を掘って、よいところは兄にやり自分はまずいところを食べたが、兄は疑って弟の腹を割いてみたところ、芋の筋ばかりだったので兄は後悔して杜鵑になり、毎日「弟恋し」と鳴くという型の話。
[2] 杜鵑が飛ぶ意で、「飛ぶ」と同音を含む地名「飛幡(とばた)」にかかる。
※万葉(8C後)一二・三一六五「霍公鳥(ほととぎす)飛幡の浦にしく波のしくしく君を見むよしもがも」
[3]
[一] (ホトトギス) 俳句雑誌。明治三〇年(一八九七)正岡子規の援助下に、柳原極堂が松山で創刊。翌年高浜虚子が東京で発行。子規の写生説を受け継いだ虚子の花鳥諷詠(ふうえい)を中心理念として、近代俳壇に大きな影響を与えた。河東碧梧桐・村上鬼城・渡辺水巴・飯田蛇笏・水原秋桜子・山口誓子・富安風生・中村草田男らの同人を輩出。夏目漱石の「吾輩は猫である」をはじめ、虚子・伊藤左千夫・長塚節・寺田寅彦・鈴木三重吉などの小説・小品を掲載して、写生文の発達にも貢献。
[二] (不如帰) 小説。徳富蘆花作。明治三一~三二年(一八九八‐九九)発表。海軍少尉川島武男の出征中に肺結核を理由に姑に離縁される妻、浪子をめぐる悲劇を描く。封建的家族制度と新旧世代のぶつかり合いの中に夫婦の純愛が描かれ、あまねく人口に膾炙(かいしゃ)し、しばしば新派劇で上演された。
[三] (ほととぎす) 山田流箏曲。加藤千蔭作詞。山田検校作曲。文化年間(一八〇四‐一八)頃の成立。初夏の隅田川を背景に、杜鵑の声を訪ねる風流を題材とした歌詞。長い合の手に「六段」の初段がテンポを速めて合奏される。
[語誌](1)「ほととぎす」の「す」は、「からす」「うぐいす」などに見られる「す」と同じく鳥を表わす語で、「名告り鳴くなる保登等芸須(ホトトギス)」〔万葉‐四〇八四〕とあるように、鳴き声からついた名とされる。
(2)「万葉集」では、(一)①の挙例のような万葉仮名表記と共に「霍公鳥」という表記が多用される。中国では、「霍公」はカッコウを指す「郭公」と同音なので、やや小型で姿の似ているホトトギスに流用されたと考えられる。また、上代語「ほととぎす」はカッコウをも含む呼称であったため、こうした流用が可能になったとする説もある。
(3)中古になると「新撰字鏡」「新撰万葉集‐上」等で「郭公」「郭公鳥」が「ほととぎす」と訓まれるようになり、以後この表記が定着する。その他の漢字表記「子規」「杜鵑」「杜宇」「蜀魂」等は、中国では蜀王の魂が変じたとされている鳥のことで、やはりホトトギスを指すと見てよい。

出典:精選版 日本国語大辞典
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