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杞憂【キユウ】

デジタル大辞泉

き‐ゆう〔‐イウ〕【×杞憂】
《中国古代の杞の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配したという、「列子」天瑞の故事から》心配する必要のないことをあれこれ心配すること。取り越し苦労。杞人の憂え。「杞憂に終わる」

出典:小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)

杞憂
きゆう

無用の心配、取り越し苦労をいう。中国、周の時代の杞の国(現河南(かなん/ホーナン)省開封(かいほう/カイフォン)のあたり)に、いまにも天が崩れ落ちて、身の置きどころがなくなると心配し、寝食を忘れて憂えた人があり、この人を心配して、天が落ちてくることなどはないと、いろいろ説明して、ようやく納得させた人がいた、と伝える『列子』「天瑞篇(てんずいへん)」の故事による。「杞人の憂」ともいう。

[田所義行]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

き‐ゆう ‥イウ【杞憂】
〘名〙 (「杞」は中国古代の国名。その国の人が、天のくずれ落ちることを心配して寝食をとらなかったという「列子‐天瑞」の故事から) 必要のないことをあれこれ心配すること。無用の心配。とりこし苦労。〔漢語便覧(1871)〕
※条約改正論(1889)〈田口卯吉〉「先づ第一に此の如き杞憂を抱く方々は」

出典:精選版 日本国語大辞典
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故事成語を知る辞典

杞憂
心配する必要のないことを、あれこれ心配すること。

[使用例] 察するに、世間で好く云うやみつきということがありはすまいかとおおもひなすったのだろう。それは杞憂であった[森鷗外*ヰタ・セクスアリス|1909]

[使用例] 余には子種はないものか、との家光の杞は一度に雲散霧消し、翌寛永十四年閏三月五日、お振の方は姫君を産み奉ったのであった[松本利昭*春日局|1988]

[由来] 「列子てんずい」に載っている話から。春秋時代の中国でのこと。杞という国に、天地が崩れ落ちるんじゃないかと憂えて、夜も眠れず、食事ものどを通らない人がいました。そこへ、彼のことを心配した友人がやって来て、「天は空気だから落ちて来ないよ」と言います。すると、「だったら、太陽や月や星はどうして落ちないんだい?」。「あれも、空気が輝いているだけなんだ」。「じゃあ、大地の方は?」。「分厚い土の層だから崩れはしないよ」。というわけで、不安で眠れなかった人もすっかり納得して、二人して大喜びしたということです。

[解説] ❶隕石や地滑りを知っている私たちからすれば、ちょっと甘い議論。ただ、「列子」の真意は、そこにはありません。この話には続きがあり、そこでは、天地が崩れる可能性を説く人物が登場し、最終的には、崩れるかもしれないし崩れないかもしれない、だから心配してもしかたがない、という結論に達しています。❷現実には、心配する必要のないことなど、なかなか存在しません。とはいえ、希望的観測の上に立って使ったり、後の経過を踏まえて「杞憂に終わった」というふうに用いることができます。

〔異形〕杞人の憂い/杞人、天を憂う。

出典:故事成語を知る辞典
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