●松本清張【まつもとせいちょう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
松本清張
まつもとせいちょう
[没]1992.8.4. 東京
小説家。本名,清張 (きよはる) 。高等小学校卒業後,給仕,印刷所の版下工その他の職を転々とし,1937年朝日新聞西部本社に入り広告部員。 50年『西郷札』が『週刊朝日』の懸賞小説に入選,『或る「小倉日記」伝』 (1952) が芥川賞を受けて文壇にデビュー。『啾々吟』 (53) ,『菊枕』 (53) ,『断碑』 (54) ,『石の骨』 (55) など学問,芸術に執念を燃やした人々の生涯や歴史物に新境地を開いた。次いで『張込み』 (55) ,『顔』 (56) など推理小説に手を染め,『点と線』 (57~58) ,『眼の壁』 (58) の成功によって社会派推理小説ブームの推進者となった。『日本の黒い霧』 (60) ,『昭和史発掘』 (64) など歴史の暗黒面をえぐる作品も多い。ほかに『黒の画集』 (58~60) ,『球形の荒野』 (60~61) ,『砂の器』 (60~61) などが推理小説の代表作。その後,考古学,古代史学への関心を深め,『古代史疑』 (66~67) ,『遊史疑考』 (71~72) などの著書もある。
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デジタル大辞泉
まつもと‐せいちょう〔‐セイチヤウ〕【松本清張】
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus
松本清張 まつもと-せいちょう
明治42年12月21日生まれ。印刷版下工などをへて朝日新聞西部本社に入社。「三田文学」に発表した「或る「小倉日記」伝」で昭和28年芥川賞。32年から雑誌「旅」に連載した「点と線」で社会派推理小説の新分野を開拓する。42年第1回吉川英治文学賞。日本現代史や古代史のノンフィクション分野でも活躍。平成4年8月4日死去。82歳。福岡県出身。本名は清張(きよはる)。著作はほかに「ゼロの焦点」「昭和史発掘」など。
【格言など】慢性になった常識が盲点をつくる(「点と線」)
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世界大百科事典 第2版
まつもとせいちょう【松本清張】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
松本清張
まつもとせいちょう
(1909―1992)
小説家。明治42年12月21日、福岡県小倉(こくら)市に生まれる。小学校卒業後、給仕、印刷の版下工を経て、1939年(昭和14)朝日新聞西部本社広告部勤務。処女作『西郷札(さいごうさつ)』(1950)が懸賞三等に入選し、翌年直木賞候補作となる。52年(昭和27)9月『或(あ)る「小倉日記」伝』で芥川(あくたがわ)賞受賞。54年東京本社勤務。56年退社、文筆生活に入る。初期のモデル(伝記)小説『或る「小倉日記」伝』、『菊枕(きくまくら)』(1953)、『断碑』(1954)、『石の骨』(1955)は、才能がありながら世に認められず、それゆえに執念を燃焼させてやまない屈折した生に、作家の生の共感がある。一方、犯罪の動機の重視、社会性の導入による推理小説『点と線』(1957~58)、『ゼロの焦点』(1958~60)で、「社会派推理小説」という新分野を開いた。また推理的伝記『鴎外(おうがい)の婢(ひ)』『文豪』や時代小説も注目される。さらにノンフィクションの分野は『日本の黒い霧』(1960)をはじめ、山県有朋(やまがたありとも)を描く『象徴の設計』(1962~63)、中江兆民(ちょうみん)を描く『火の虚舟(きょしゅう)』(1966~67)、菊池寛賞受賞の『昭和史発掘』(1964~71)へと拡大する。その後古代史に注目し、『古代史疑』(1966~67)、『火の路(みち)』(1973~74)を著す。歴史に対する洞察は、『清張通史』(1976~78)へと発展し、NHKテレビ番組『ミツコ――二つの世紀末』の製作と並行して同じ素材で小説『暗い血の旋舞』(1987)を発表した。
[山崎一穎]
『『松本清張全集』全56巻(1971~84・文芸春秋)』▽『『現代文学読本 松本清張 文学編』(1978・清山社)』▽『中谷博著『大衆文学――その本質、その作家』(1973・桃源社)』
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精選版 日本国語大辞典
まつもと‐せいちょう【松本清張】
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