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校内暴力【こうないぼうりょく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

校内暴力
こうないぼうりょく
school violence
学校内における生徒暴力行為。「対教師暴力」と「生徒間暴力」,学校の施設や備品を損壊する「器物損壊」に分けられる。校内暴力が教育問題として特に注目されるようになったのは 1970年代後半からで,発生件数は 1982年から減少に転じたが,87年以降再び増加している。 99年度には公立学校の場合,中学校で3校に1校,高等学校では4割以上の学校で発生しており,かつてのように注目はされなくなったが,内実はむしろ慢性化,凶暴化しつつあるといえる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

こうない‐ぼうりょく〔カウナイ‐〕【校内暴力】
学校生活における児童・生徒の非行。対教師暴力・校内器物破壊・生徒間暴力に分けられる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

こうないぼうりょく【校内暴力】

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

校内暴力
こうないぼうりょく

学校内における中・高校生の教師に対する暴力行為、集団による、または集団の威力を背景とした生徒間の暴力行為、学校施設や備品などに対する損壊行為をいう。そのほか、原因や動機が学校と密接な関係にある校外での暴力行為も含まれる。

[坂本昇一]

発生状況

文部省(現文部科学省)の調査によると、1996年度(平成8)は、対教師暴力は中学校1316件、高等学校227件で、ともに前年度に比べて1.2%の増加。他方、生徒間暴力は中学校4682件(前年度比2%減)、高校1971件(前年度比1%減)である。加害生徒数は中学校1万1653人(約30%増)、高校4081人(約15%増)で、ともに各学年で増加している。このように校内暴力は増加の傾向にある。加えて、生徒間暴力の変質した形とみられるいわゆる「いじめ」の問題が陰湿な様相で明るみに出ている。1996年度、小学校2万1733件、中学校2万5862件、高校3771件で、中学校は1校当り2.5件、小学校、高校は0.9件である。

[坂本昇一]

特徴的傾向


〔1〕教師に対する暴力事件の約半数が授業時間中の教室内で大ぜいの生徒を前にして行われている。

〔2〕暴力の手段として、ナイフ、木刀、鉄パイプ、モデルガンなどを使用したり、脅迫のことばも暴力団まがいであるなど、凶暴性をもっている。

〔3〕喫煙、シンナー乱用、授業妨害、校則違反などで教師から注意を受けたのに激高して暴力をはたらくことが多いが、他方、普段の厳しい生徒指導に対する恨みや仕返しとして、計画的で、執拗(しつよう)に暴力を振るう事件もある。

〔4〕校内の粗暴集団の背後には、その学校の卒業生の元番長や暴走族、地域の不良グループなど、校外の粗暴集団が存在していて、これらの影響を受けて校内暴力を起こす場合が多い。

 「いじめ」は生徒間暴力のなかでも、自分より弱い立場にある者に対して、肉体的、心理的な攻撃を一方的に繰り返し行って、相手に深刻な苦痛を与える問題行動である。おもないじめ方は、(1)ことばでの脅し、嫌がらせ、(2)仲間はずれ、無視、(3)理由もないのに、殴る、ける、こづく、転ばす、(4)ひやかし、からかい、(5)物をとる、隠す、汚す、などである。

[坂本昇一]

校内暴力の背景

〔1〕子供自身の問題 学校教育において日常の授業についていけず、自分の将来に希望や目標をもてない生徒が、力の誇示というゆがんだ形で欲求不満を解消し、自己顕示欲を満たそうとしているものと考えられる。

 いじめでは、学級内に見て見ぬふりをする傍観者や笑って見ている観衆などがいて、それらがいじめを抑止する力として働かない。幼いときからの対人関係が狭くて、人とよりよい人間関係を結ぶ資質を育てることが不十分で、人間関係の調整能力が弱い。

〔2〕家庭の問題 親の養育態度が放任であったり、親子の対話がほとんどなかったりして子供の好きかってにさせたり、過度に甘やかしたりしている。これらの生徒の家庭では、基本的なしつけを小さいうちからきちんとせず、親自身もしつけのたいせつさに対する認識を欠いている場合が多い。

〔3〕学校側の問題 いじめについての教師の見方と生徒の感じ方との間にずれがあって、いじめについての生徒の訴えを、教師は、ふざけ、からかいとみて見過ごすことが多い。また、被害を受けた教師は、生徒指導担当教師や指導に厳しい教師に多い。校長以下教頭、教師の間に生徒指導についての明確な意志統一ができていないで、生徒の非行に対する学校全体としての対応がないためとみられる。また、生徒の非行を学校内で処理しようとして適時に適切な対応をとらず、これが逆に暴力行為を助長してしまい、事態を悪化させている場合も多い。

〔4〕社会的風潮の問題 暴走族の問題にみられるように、社会の一部に暴力的な風潮や、社会の秩序やしきたりに反抗するといった傾向があり、それらが心身の未成熟な生徒に悪い影響を与えているという一面も指摘できる。

 校内暴力ではないが、1990年代後半、中学生による連続児童殺傷事件、生徒間でのバタフライナイフを使用した殺傷事件などの事件が相次いだ。校内暴力は、とくに中学校においては、大人社会や学校、家庭がかかえる、これまでとは異なった問題になってくるといえよう。日本の社会が機能主義的、能力主義的になればなるほど、子供への社会的圧力がこのような校内暴力を助長する条件を醸成するからである。

[坂本昇一]

防止対策

事件の発生後の対応は、まさにケース・バイ・ケースで、それぞれ対応の仕方は独自であろうと思うが、未然に防止するための主要なこととして、教師と生徒・保護者との信頼関係を高めること、親が子供のしつけをしっかりすること、過度の受験競争を改め、すべての子供が人生の目標をもてる教育をすること、そして、教師が一体となって暴力に毅然(きぜん)とした姿勢で対処すること、などがあげられている。

 それとともに、学校はひとりひとりの子供をたいせつにする価値観にたち、生徒が存在感、充実感をもって学校生活を送ることができるように、学級や学校生活全体の活性化を図って、集団のもつ活力により、校内暴力やいじめを追放する。このためには、生徒の自主的、自立的な活動を促進するとともに、学校教育のなかに奉仕活動や社会参加活動を取り入れて、生徒に幅の広い生活体験を与えて社会性を育て、豊かな情操を養う。さらに、学校全体の雰囲気を思いやりや助け合いの精神で満たし、正義をゆきわたらせることもたいせつである。とくに、いじめる子供はもとより、いじめを見てそれをはやしたり、見て見ぬふりをする観衆や傍観的存在をなくし、彼らが正義と勇気に目覚めるような学級会活動や学級指導などで指導する。校内暴力やいじめの当の生徒に対する指導においては、一方的な説諭や叱責(しっせき)などによるのでなく、受容的な態度で接して、生徒が自分の心を開いて教師と接する関係を結ぶことが必要な条件である。

 なぜならば校内暴力やいじめの加害者になる生徒たちは、そのおもな動機として「欲求不満のうっぷん晴らし」「気がすっとする」「おもしろいから」などをあげる。生徒のなかにある欲求不満を解消することが、指導において必要な条件になる。他方、家庭においては、日ごろから子供の生活に十分な目配りをする。とくに、子供の生活上のちょっとした変化を見逃さず、また、日ごろから子供との対話を重視して、子供が悩みを打ち明けやすい雰囲気づくりに努める。校内暴力やいじめの一つの背景として、親が子供に学力についての過重な期待をかけている面があげられる。このため、本来、友達との間で生き生きとした交流をもって社会性を養う時期にそれがもてず、加えて勉強に追い立てられてさまざまな欲求不満に子供が陥るという面がある。親は、子供に対して、単一の尺度ではなく、その子の個性・特性を十分に伸長させるよう配慮することが必要である。対教師暴力やいじめを含む生徒間暴力などの指導では、日常の健全育成を基盤にして、学校、家庭、地域社会が密接に連携して行われることがたいせつである。

[坂本昇一]

世界の校内暴力

校内暴力はわが国だけに発生している問題ではなく、世界の各国が共通に悩んでいる教育の荒廃現象の一つである。校内暴力は、まず1960年代のアメリカで多発し始め、1970年代から1980年代にかけて世界の多くの国々でも発生し、大きな社会問題となった。

 世界の校内暴力には、四つの類型が認められる。第一は、対教師暴力、器物破壊暴力、生徒間暴力の三つが顕著に認められる「重症国」であり、アメリカ、イギリス、日本などがこれに属する。第二は、器物破壊暴力と生徒間暴力が中心で、対教師暴力がきわめて少ない「中症国」であり、これに属する国としてはフランス、ドイツ、イタリア、カナダ、オーストラリア、インド、イスラエル、ガーナなどがある。第三は、生徒間暴力が中心で、対教師暴力や器物破壊暴力のほとんど発生していない「軽症国」であり、韓国、インドネシア、メキシコ、エジプトなどがこれに属する。第四は、対教師暴力、器物破壊暴力、生徒間暴力のいずれも、ほとんど起こっていない「無症国」である。これには、中国をはじめとする社会主義諸国、スペイン、ポルトガル、パラグアイなどのカトリックの優勢な国々などが属している。

 以上のように、世界の校内暴力は主として先進自由主義諸国を中心として発生しており、開発途上国やかつての社会主義諸国には少なかった。それは、OECD(経済協力開発機構)加盟国の85%が重症国または中症国に属していることでも明らかである。したがって、校内暴力を世界的視野からみると、それは自由主義社会の一種の病理現象であるといってよい。自由を謳歌(おうか)するあまり、とかく規律の重要性を忘れ、子供に対してあまりにも許容的、黙認的、放任的であるところに、校内暴力を生み出す大きな根源があるといってよい。

 校内暴力の原因としては、一般に、家庭のしつけの喪失、学校規律の欠如、マスコミの過度の暴力描写、地域社会の連帯感の欠如、攻撃的性格などの生徒の特性、などがあげられている。各国の校内暴力の対策は、その状況や国柄を反映してさまざまであるが、これを大別すれば、「生徒尊重路線」と「厳罰主義路線」とがある。前者は、生徒を信頼し、興味と関心をもって学習させ、学校運営に積極的に参加させ、自主的に責任のある行動をとるように指導すれば、校内暴力は克服できるとする考え方である。これに対し後者は、無秩序な学校よりも秩序の維持された学校において学校教育の目的はよりよく達成できるという観点から、校則と規律を重視し、その違反者には力による厳罰もやむをえないとする考え方である。一般に、軽症国ほど前者の路線がとられ、カウンセリングやガイダンスが重視され、重症国ほど後者の路線がとられ、校則や規律が重視される傾向がみられる。そのほか、反暴力教育、学校規模の縮小、教師に対する傷害保険など、各国では多様な対策が実施されている。

[沖原 豊]

『沖原豊著『校内暴力――日本教育への提言』(1983・小学館)』『柿沼昌芳・永野恒雄編著『校内暴力――戦後教育の検証2』(1997・批評社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

こうない‐ぼうりょく カウナイ‥【校内暴力】
〘名〙 学校における児童・生徒の非行のうち、暴力に訴えるもの。教師や他の児童・生徒に対する暴行、校内の器物破壊などがある。昭和五〇年代後半から顕著になった。

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