@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

核不拡散条約【かくふかくさんじょうやく】

知恵蔵

核不拡散条約
核保有国が米ロ英仏中以外に増えることを防止する条約核拡散を防止する体制の基軸。締約国は189カ国(2006年5月現在)。インドパキスタンイスラエルなどは未加盟。1968年調印、70年発効。同第9条は、核兵器国(nuclear‐weapon state)の地位を、67年1月以前に核兵器製造・爆発させた上記5カ国に限定。それ以外はすべて非核兵器国(non nuclear‐weapon state)。同時点以降、印パなどが事実上の核保有国になっても、条約上は非核兵器国のまま。それを加盟国は非核兵器国として取り扱う義務を負う。この条約は、(1)米ロ英仏中に核保有と新たな核開発を認めながら、非核保有国に核兵器の生産と保有を禁止し、(2)非核兵器国のみに保障措置を義務付ける、など基本的に差別的。(3)核保有国に軍縮の誠実な追求を義務付けているが、それが守られないことに非核保有国の非難が集中。また(4)未加盟の印パが、98年5月に核実験を実施し、イスラエルと共に事実上の核保有国となり、本条約の権威が損なわれた。
(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

核不拡散条約
核兵器保有国を増やさないことで核戦争の危険を回避することを目指した条約。正式には「核兵器の不拡散に関する条約」という。条約に加盟することによって、非核兵器保有国は核武装しないことを約束する。さらに、国内の核物質軍事に用いないことを保証するため、国際原子力機関(IAEA)による査察などの保障措置を受ける。義務だけでなく、権利としては原子力の平和利用について援助を受けることができる。これに対し、核兵器保有国(米国、ロシア、英国、フランス、中国)は核の軍事利用について非保有国を一切援助しない。ほとんどの国が加盟しているが、核兵器保有宣言をしているインドとパキスタン、核兵器の保有が半ば公然化しているイスラエルが未加盟なのが大きな問題点。また、北朝鮮が2002年に脱退宣言し、その撤回を求める6カ国協議が行われている。2007年7月時点で190カ国が締約国となっている。
(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

核不拡散条約
冷戦下の軍拡競争で核兵器を保有する国を増やさないことを目指し、1970年に発効した。現在、190カ国が加盟している。98年に核実験したインド、パキスタンと、事実上の保有国のイスラエルが未加盟。北朝鮮は03年に脱退を宣言したが、日本などからは認められていない。核保有は米ロ英仏中の5カ国だけに認める一方、これらの国には核兵器を減らす軍縮を義務づけている。
(2010-05-04 朝日新聞 朝刊 1総合)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

かくふかくさん‐じょうやく〔カクフクワクサンデウヤク〕【核不拡散条約】
《「核兵器の不拡散に関する条約」の通称核兵器を保有できる国を米国・ソ連(ロシア)・英国・フランス・中国の5か国に限定し、非核保有国が核兵器を新たに保有することや、保有国が非保有国に核兵器を供与することを禁止する条約。核兵器製造禁止義務の遵守を検証するため、国際原子力機関(IAEA)による保障措置核査察)の受け入れが義務づけられる。1968年署名、1970年発効。191か国が加盟(2017年7月現在)。日本は1976年6月批准核拡散防止条約核兵器不拡散条約NPT(Non-Proliferation Treaty)。→核兵器禁止条約
[補説]保有を認められた5か国以外にも、未加盟のイスラエル・パキスタン・インドや、2003年に脱退した北朝鮮が核兵器を保有している。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

かくふかくさんじょうやく【核不拡散条約】
核拡散防止条約とも呼ばれる。正式には〈核兵器の不拡散に関する条約Treaty on the Non‐Proliferation of Nuclear Weapons〉といい,NPTと略称される。核兵器国(核兵器保有国)が非核兵器国(核兵器非保有国)に核兵器とその材料技術などを提供・援助することを禁じ,非核兵器国が核兵器を開発,製造,保有せず,また核兵器国からそのための支援を受けることを防止しようとした条約。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

核不拡散条約
かくふかくさんじょうやく
Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons

正式には「核兵器の不拡散に関する条約」。核拡散防止条約ともいう。略称NPT。1960年のフランスの最初の核実験に続いて中国の実験も予想されるようになり、さらに西ドイツなどへの核拡散も懸念されたため、アメリカ、ソ連が1964~1965年ごろから軍備管理の主要課題として取り上げ始めた。最初に米ソ交渉によって条約草案を作成し、その後非核兵器国との交渉を行ったが、大きな修正はないまま、1968年6月12日国連総会本会議でこの条約の推奨決議が採択された。米ソの批准書寄託が完了した1970年3月に発効した。加盟国は2010年6月時点で、190か国。

 この条約は、アメリカ、ソ連(1991年のソ連解体後はロシア)、イギリス、フランス、中国を核兵器国と規定し、第1条で、これら核兵器国が非核兵器国に核兵器、その他の核爆発装置、その管理、あるいはその製造の援助を与えないこと、第2条で、非核兵器国が核兵器、その他の核爆発装置、その管理の受領、あるいはその製造について援助を受けてはならないこと、第3条で非核兵器国が義務の履行を確実にするため国際原子力機関(IAEA)と査察を含む保障措置協定を結ぶことを義務づけている。第4条は締約国の原子力平和利用が奪いえない権利であること、また第6条では締約国が核軍縮条約に向けて誠実に交渉を行うことを規定する。この条約の主たるねらいは第2条のいわゆる「横の核拡散」(核兵器国の増加)防止にある。この意味で冷戦時代にはこの条約は米ソ体制の法的な枠組みと性格づけられた。発効後5年ごと(1975年~)に条約の運用検討会議(当初は「再検討会議」とよばれたが、2000年前後からこの呼称が一般化)が開催されている。この会議の大きな焦点は「横の核拡散」禁止の義務を負う非核兵器国と、「縦の核拡散」(核軍備の増強)を続ける核兵器国の対立である。第6条に規定される核軍縮の遅れに不満を強める非同盟諸国などは、縦・横の拡散防止措置を連動させることを主張して毎回核兵器国と鋭く対立したが、冷戦期には核兵器国の譲歩はほとんど得られなかった。冷戦の終結期になり中距離核戦力全廃条約(1987)、第一次戦略兵器削減条約(START‐Ⅰ、1991年調印)など核軍縮の方向が見えたこと、並行して拡散が懸念されていたアルゼンチン、南アフリカ共和国などのほか、米ソ支配を嫌って未加盟だったフランス、中国も加盟し、NPT体制は強化されたかにみえた。

 しかし冷戦終結後この条約は新たな挑戦を受けた。湾岸戦争(1991)後の査察でNPT加盟国であるイラクの核開発が発覚した。直後に北朝鮮の核開発疑惑も浮上し、さらにリビア、イラン、シリアなどが続くことが懸念されたのである。アメリカはじめ主要国はNPT体制の強化に動き、条約期限満了を迎えた1995年の運用検討・延長会議でNPTは無期限延長された。軍事転用防止の保障措置体制を強化するため、IAEA査察を核物質を扱わない未申告施設などに拡大し、核活動に伴う放出同位元素採取(環境サンプリング)などを可能にするモデル追加議定書(INFCIRC/540、1997年)も作成された(2009年1月、88か国加盟)。しかし決意して核開発に踏み出す国家にはNPT強化で対処することはむずかしい。湾岸戦争以来大量破壊兵器開発を阻止する国連査察が続いたイラクでは、査察への非協力を一つの理由に2003年、アメリカ中心の有志連合軍が進攻、サダム・フセイン政権を倒した。北朝鮮問題では1993年に米朝協議、2003年に米中朝協議を経て日本、韓国、ロシアを加えた六者会合の場が設けられた。また2002年8月にウラン濃縮が暴露されたイランに対してはイギリス、フランス、ドイツ(EU3)、ついで2006年安全保障理事会制裁が検討される段階からはアメリカ、ロシアを加えた6か国(安全保障理事会常任理事国P5+ドイツ)の枠組みが設けられ、対応は個別の交渉枠組みと国連安保理へと移った。しかし安保理による制裁はNPTを超える義務(ウラン濃縮放棄)をイランに負わせる画期的なものであるが、NPT第4条に基づいて平和利用を主張するイランの濃縮活動に歯止めをかけることはできていない。北朝鮮も2003年にNPT脱退を宣言、2006年、2009年には核実験を行った。

 もう一つの大きな挑戦は、1998年にNPT未加盟のインドとこれに対抗するパキスタンが核実験を行ったことである。未加盟国にNPTで対処することはできないが、5か国を核兵器国と規定するNPTの基盤を揺るがすできごとではあった。当初は非難し制裁を課した国際社会は、アメリカにおける「9・11同時多発テロ」、アフガニスタン戦争の後には態度を変え、アメリカはインドの平和利用分野にIAEA保障措置を適用するとしたうえで、2008年にインドと原子力協力協定を締結した。それ以降ロシア、フランス、カナダ、カザフスタン、韓国が続き、さらに日本も原子力協力のための作業グループを立ち上げ、インドを事実上の核兵器国として認知する流れができつつある。これに対し2010年6月、中国はパキスタンに2基の原子炉を輸出することを明らかにした。原子力供給国グループ(NSG)が反対しているとはいえ、印パ選別の論理をつくるのはむずかしく、長期的にはこの問題も核不拡散体制に深刻な影響を与えるであろう。

 このような厳しい挑戦の下で、2010年5月に8回目の運用検討会議が開かれた。前回2005年には手続問題に手間どったうえ、アメリカのブッシュ政権が核軍縮には意欲をみせない一方でウラン濃縮・プルトニウム再処理施設・技術の新規取得禁止などを主張して非核兵器国の反発を買い、最終文書を採択できなかったため今回は危機感があった。オバマ政権は「核なき世界」演説(2009年4月)に続き、アメリカ、ロシアの新戦略兵器削減条約調印(新START条約、2010年4月)、核戦力の削減と役割低下の姿勢を表明(核戦力態勢見直し(NPR)2010年4月)、準備を整え会議に臨んだ。条約の運用検討については議長作成の文書に留意がなされ、行動計画が採択されたことで危機にあるNPT体制はひとまず救われた。行動計画には、核廃絶の「明確な約束」(2000年最終文書)の再確認、核兵器国は核軍縮措置を検討し2014年の運用検討会議準備会合に報告、締約国には追加議定書への加盟の奨励、また2012年に中東非大量破壊兵器地帯設置の国際会議を開催することへの支持、などが盛り込まれた。しかし困難な問題を先送りしており、核不拡散体制強化に進展があったとはいえない。冷戦後20年間の動向は、時代環境が条約作成時とはさま変わりし、核不拡散問題はNPT体制を維持しながら、制度外での外交枠組み、危機管理体制、地域的な制度、安全保障理事会の活用、など多元的な補完体制に依存せざるをえない時代を迎えたことを示している。

[納家政嗣]

『納家政嗣・梅本哲也編『大量破壊兵器不拡散の国際政治学』(2000・有信堂高文社)』『浅田正彦・戸崎洋史編『核軍縮不拡散の法と政治』(2008・信山社出版)』『岩田修一郎著『核拡散の論理』(2010・勁草書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

かくふかくさん‐じょうやく カクフクヮクサンデウヤク【核不拡散条約】

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

核不拡散条約」の用語解説はコトバンクが提供しています。

核不拡散条約の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation