●構造異性【こうぞういせい】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
構造異性
こうぞういせい
structural isomerism
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栄養・生化学辞典
構造異性
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世界大百科事典 第2版
こうぞういせい【構造異性 structural isomerism】

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日本大百科全書(ニッポニカ)
構造異性
こうぞういせい
structural isomerism
分子式は同じであるが、構造式が異なる場合におこる異性現象で、いくつかの種類が知られている。
鎖形異性
おもに有機化合物でみられる。たとえば、炭素原子数4の脂肪族飽和炭化水素には、直鎖状のブタンC4H10と、分鎖したイソブタン(2-メチルプロパン)(CH3)3CHの2種類がある。
[岩本振武]
位置異性
同じ骨格の炭素連鎖構造あるいは環状構造に置換基が結合する際に、その位置の違いによっておこる異性。たとえば、プロピルアルコール(1-プロパノール)CH3CH2CH2OHとイソプロピルアルコール(2-プロパノール)CH3CH(OH)CH3は、互いに炭素原子数3の直鎖構造で、OH基の結合する炭素が末端(1-位)か中央(2-位)であるかの差による構造異性体である。ベンゼン環に2個の置換基が導入されるときには、オルトo-、メタm-、パラp-の3種の異性体が存在する。置換基の個数が増え、その種類も互いに異なるときには、考えうる異性体の種類はさらに多数となる。
[岩本振武]
官能基異性
官能基の違いによっておこる異性。たとえば、エタノール(エチルアルコール)C2H5OHとメチルエーテルCH3OCH3の場合がそうである。両者とも分子式はC2H6Oである。
[岩本振武]
メタメリズム
官能基異性の一種とも考えられるが、互いに化学的性質が類似しているときにいわれることが多い。プロピルアミンCH3CH2CH2NH2、イソプロピルアミン(CH3)2CHNH2、エチルメチルアミンC2H5NHCH3、トリメチルアミンN(CH3)3の場合がその例となる。
[岩本振武]
核異性
おもに脂環式化合物でみられ、環構造の結合様式の違いによって生ずる異性であり、カンファンとピナンの場合がその例となる。位置異性で例にあげたベンゼンの二置換体などにみられる異性を核異性とよぶこともあり、また、次に述べる環異性に含めることもある。
[岩本振武]
環異性
狭義には、複素環式化合物における原子の結合順序の差による異性をいい、イミダゾールとピラゾールがその例となる。
錯体における構造異性は複雑であるが、見かけの構造式の差に限定すれば、次のような例がある。
ジイソチオシアナト-ビス(チオ尿素)水銀(Ⅱ) [Hg(SCN)2(SC(NH2)2)2]と
テトライソチオシアナト水銀酸(Ⅱ)アンモニウム (NH4)2[Hg(SCN)4]
ペンタアンミン(ニトリト-κN)コバルト(Ⅲ)塩化物 [Co(NO2)(NH3)5]Cl2(黄色)と
ペンタアンミン(ニトリト-κO)コバルト(Ⅲ)塩化物 [Co(ONO)(NH3)5]Cl2(赤色)
ペンタアンミンニトリトコバルト(Ⅲ)塩化物のニトリト配位子NO2-は、前者ではN原子、後者ではO原子で配位しており、結合異性とよばれている。
ペンタアンミンクロリドコバルト(Ⅲ)硫酸塩 [CoCl(NH3)5]SO4(赤紫色)と
ペンタアンミンスルファトコバルト(Ⅲ)塩化物 [CoSO4(NH3)5]Cl(バラ色)
これはイオン化異性の例でもある。
[岩本振武]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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化学辞典 第2版
構造異性
コウゾウイセイ
structural isomerism
二つ以上の化合物が同じ分子式をもちながら構造式を異にするとき,この現象を構造異性といい,それぞれの化合物を構造異性体という.構造異性体は,立体異性体以外の異性体の総称で,分子のなかの原子の配列順序を異にしている.たとえば,C3H8Oには1-プロパノールCH3CH2CH2OH,2-プロパノール(CH3)2CHOH,およびエチルメチルエーテルCH3OC2H5の3種類の構造異性体がある.一つの分子における原子数が多くなると,その構造異性体の数は急速に増大する.アルカンの炭素原子数と構造異性体の数の関係を表に示す.
構造異性体をさらに,
(1)ブタンとイソブタンのように炭素鎖の枝分れの違いによる炭素鎖異性,
(2)1-プロパノールと2-プロパノールのように官能基の位置の違いによる位置異性,
(3)エタノールとジメチルエーテルのように官能基の種類の違いによる官能基異性,
(4)トリエチルアミンとエチルメチルプロピルアミンのように置換炭化水素基の違いによるメタメリー,
(5)ピリダジンとピリミジンのように原子または基の核における位置の違いによる核異性,
などに分類する場合もあるが,これらの区別は本質的な意味に乏しいので,現在はあまり用いられていない.
出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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