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構造的暴力【こうぞうてきぼうりょく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

構造的暴力
こうぞうてきぼうりょく
structural violence
1969年に J.ガルトゥングによって提示された暴力についての概念。社会システムのなかで構造化されている不平等 (資源配分に関する決定権の不平等) を,構造的・間接的な暴力と規定し,その発現である搾取浸透分断および辺境化を通して,第三世界における貧困飢餓抑圧疎外などの社会的不正義が繰返し生み出されているとしたもの。この概念は,社会的不正義の国際的・国内的な構造の連鎖を明らかにして除去することこそが,戦争不在という「消極的平和」以上に「積極的平和」実現の本質的課題であるとする平和研究の新方向を確立させた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

構造的暴力
貧困、飢餓、抑圧、教育機会の喪失などは社会制度や国際システムの所産だと考え、人間が本来持っているはずの寿命、可能性、活動領域などが、社会構造や南北格差の中で損なわれ制限されている状態を「構造が暴力をふるう」と比喩的にとらえた概念。J.ガルトゥング(1930〜)は、暴力とは「人間が潜在的に持つ可能性の実現の障害であり、取り除きうるにもかかわらず存続しているもの」と、概念の拡張を試みた。彼は通常の暴力を直接的暴力(direct violence)と呼び、それのない状態を消極的平和と規定した。これに対し、例えば工業国で牛肉の消費が増え、途上国から大量の飼料を輸入するようになり、そのため途上国の作付けが、自国民の消費用穀物から輸出用飼料に切り替えられ、子供たちの食糧が失われて飢餓に苦しむという場合には、結果は直接的暴力と同じだが、因果関係は複雑で暴力行使の主体は特定できず、しかも他者から食物を奪ったはずの人々はその自覚を持たない。このように、社会関係の非対称性を介して間接的に生命や人間の可能性を奪い去るような行為をガルトゥングは構造的暴力と呼び、制度や構造に内在した暴力の解消を積極的平和と定義して広範な論議を呼んだ。◇Johan Galtung(1930〜)オスロ生まれ。平和研究創始者の1人。59年オスロ国際平和研究所創立。著書『構造的暴力と平和』(1991年、中央大学出版部)など。
(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2008年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

こうぞうてき‐ぼうりょく〔コウザウテキ‐〕【構造的暴力】
貧困・飢餓・差別・抑圧などの不公正な状況を生み出す社会構造によってもたらされる、行為主体が明確ではない暴力。ノルウェー平和学ヨハン=ガルトゥングが1970年代に提唱間接的暴力。→積極的平和

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

こうぞうてきぼうりょく【構造的暴力】

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