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模倣(文学・芸術)【もほう】

日本大百科全書(ニッポニカ)

模倣(文学・芸術)
もほう
imitation

文学・芸術における模倣は一般に「自然模倣」と「古代模倣」に大別される。自然模倣の自然とは日本人のいう花鳥風月ではなく実物の意で、外界の実物によく似せてつくることは古来芸術の必須(ひっす)の条件であった。古代ギリシアでは「ミメーシスMimesis」(模倣)がすなわち今日いうところの芸術であり、芸術家は自然をよく模倣する者と考えられていた。アリストテレスは「人間最初の知識は模倣を通じてなされる」といい、レッシングは「芸術は自然の完成である」といった。近代の写実主義や自然主義や、それらを深化させ内在化させたシュルレアリスムなどもこのミメーシスの流れをくむ。また古代模倣とは、古典主義美学の中枢をなす考え方で、ギリシア・ローマの完成された文学・芸術作品に対する憧憬(しょうけい)が、その模倣を創作規範として義務づけるまでになったものである。泰西の芸術は古代ギリシア・ローマ以来の伝統なしには考えられず、それは近代人にとっても前述の自然そのものを凌駕(りょうが)するものでさえあった。そこから芸術を自然・人間の上位に置く、いわゆる芸術至上主義の立場が生じ、「自然は芸術を模倣する」というワイルドの有名な逆説を生むことにもなった。

[小林路易]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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