●欠落【かけおち】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
欠落
かけおち
近代法における失踪,律令制における逃亡に比当される近世法の用語。町方,村方に欠落人が生じると,町村の役人はこれを管轄官庁に届け出る。官庁は,親類町村役人へ,たずね出しを命じ,180日を経て発見しえない場合には,永尋 (ながたずね) の命を下した。永尋は,捜索人の懈怠を責めるものであるが,裏面において,今日の失踪宣告とほぼ同様の効果を生ぜしめるもので,これによって,欠落人の財産は相続人に移転された。なお,以上の制度は明治初期においても,「逃亡尋」と名を変えて,日限その他,そのままに行われていた。ちなみに,江戸期の奉公人証文にも,「欠落」の文字がしばしばみえるが,これは奉公人が契約期間満了前に失踪することである。そして,この場合には,請け人が弁償義務を負うのが通例であった。
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デジタル大辞泉
けつ‐らく【欠落】
[名](スル)一部分が欠け落ちること。「金銭感覚が欠落 している」「記憶の欠落 部分」
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世界大百科事典 第2版
かけおち【欠落】
日本中世とくに戦国時代において,人々が軍役・貢租の負担や戦禍から逃れるため他領に流亡することを欠落といった。欠落人は被官(下級武士)から農民諸階層にわたった。農民層の場合,村ぐるみの組織的な逃散(ちようさん)とくらべて,とくに小百姓,下人など隷属的な階層の個別・散発的な家族ぐるみの欠落が著しく,欠落の行先は近隣の農村よりは他領の宿場や城下,門前など遠く離れた町場の例が数多く知られる。より自由な都市的な場への流入とみることができよう。
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精選版 日本国語大辞典
けつ‐らく【欠落】
〘名〙 一部分が欠け落ちること。比喩的にも用いる。
※蕉堅藁(1403)永青山廃寺「不レ識何人行道記、蛟龍欠落臥二花陰一」 〔拾遺録‐軒轅皇帝〕
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