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歯髄炎【しずいえん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

歯髄炎
しずいえん
pulpitis
歯髄に起る炎症で,う蝕虫歯)に続発することが多いが,辺縁性歯周炎顎骨骨髄炎などから根尖孔を経て感染することもある(上行性髄炎という)。症状により,急性慢性とに分ける。急性で,歯髄が化膿したり,壊疽に陥っている場合には,拍動性の痛みや,咀嚼による痛みが強い。う蝕部を髄室まで削り,歯髄腔を開放すると歯髄に充満したガスが抜けて痛みは減じる。その後は根管治療に準じる。慢性では,髄室が開放している場合に,歯髄が増殖して歯髄ポリープを形成することがあり,赤みを帯びたポリープをう窩内にみることができる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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家庭医学館

しずいえん【歯髄炎 Pulpitis】
[どんな病気か]
 C2のむし歯(「むし歯(う蝕症)」)に引き続いておこる病気で、歯の神経に細菌が感染したり、物理的な刺激(打撲(だぼく)など)で炎症がおこっている状態です。
 もっとも多いのは、むし歯を放置しておいたために、歯髄に炎症がおよんでしまうものです。
[症状]
 炎症の軽いものでは、冷水に接したり空気を吸い込んだときなどにも痛みますが、これはふつう一時的で、すぐにおさまります。しかし、進行したものでは、お湯でズキズキした耐えがたい痛みがおこり、いつまでも続くようになります。
 歯髄は硬い象牙質(ぞうげしつ)に囲まれているので、少しの炎症でも歯髄が腫(は)れると疼痛(とうつう)を感じるのです。歯の穴が大きかったり、充填(じゅうてん)してあっても冷水に敏感に反応し、持続的に疼痛があるとき、就寝時に痛むときなどは、進行している可能性が高いので、早く歯科医の治療を受ける必要があります。
 また慢性になると、歯の穴に食べ物が入ったときに痛み、自然におさまるといったようなくり返し症状があり、がまんをくり返しているうちにC4となって、取り返しのつかないことになりかねません。
[治療]
 治療としては、歯髄の一部または全部を除去し(抜髄(ばつずい))、歯髄のあった場所を人工物で緊密に埋めます。その後、歯牙(しが)の欠損状態に応じて金属やレジンで土台をつくり、その上に金属による補綴(ほてつ)(冠をかぶせる)を行ないます。
 治したはずなのに歯が痛んだり、水にしみたりすることがあります。その原因はいくつか考えられますが、治療直後は、すぐには歯髄の炎症がおさまらず、数日~数週間、症状が残ることがあります。また数年後では、つめた金属の下や金属のまわりにむし歯ができている場合があります(二次う蝕)。つまり、歯質とつめられた金属の間はセメントで接着したりレジンで置き換えられているため、金属やレジンの膨張率と歯牙の膨張率のちがい、セメントの溶解などによってすき間(微小漏洩(びしょうろうえい))ができて、そこからまた、むし歯が発生するのです。
 最近では、接着性の材料が開発され、金属と歯牙との間にすき間ができないようになってきました。

出典:小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

世界大百科事典 第2版

しずいえん【歯髄炎】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

しずいえん【歯髄炎】
歯髄に起こる炎症。疼痛とうつうを伴う。多くは虫歯の細菌感染が原因。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

歯髄炎
しずいえん

歯髄の炎症をいう。原因としては、物理的、化学的および細菌学的原因が考えられる。物理的には、歯に急激に大きな外力が加わって歯周組織が傷害されたり、歯が折れたり亀裂(きれつ)が入ったために生じることもあれば、歯の治療の際のエンジン使用時の摩擦熱、セメントが固まるときの化学反応熱、あるいは熱伝導のよい金属を充填(じゅうてん)したときにみられる飲食物の熱刺激等によって生じることもある。また、隣接している歯あるいは対合関係にある歯に種類の異なる金属を充填したときに、異種金属の接触により生ずるガルバーニ電流によって歯髄炎を生じることもある。

 化学的には、歯に填塞(てんそく)する歯科材料中に含まれる酸レジン等によって炎症を生じることがある。細菌学的には、う蝕(しょく)(むし歯)をつくった細菌がさらに深く進み、歯髄に感染を生じて歯髄炎をおこしたり、ときには悪化した歯周病(歯槽膿漏(のうろう))によって歯の周囲から根尖(こんせん)の小孔を介して細菌が感染し、歯髄炎をおこすこともある。歯髄炎の原因としてもっとも多いのは、う蝕に継発して生じる細菌感染である。

[吉野英明]

歯髄炎の分類

歯髄炎は、急性症状の有無によって急性歯髄炎と慢性歯髄炎とに分けられるほか、炎症が生じている範囲によって、一部性歯髄炎と全部性歯髄炎とに分けられる。また、歯髄への細菌の進入によって化膿が生じているか否かで漿液(しょうえき)性歯髄炎と化膿性歯髄炎とに分けられる。このほか、う蝕の拡大によって歯が崩壊し、歯髄が口の中に露出した状態を潰瘍(かいよう)性歯髄炎あるいは増殖性歯髄炎とよんでいる。

 急性歯髄炎では、激しい痛みを伴い、冷水あるいは温水を口に含むと、痛みが増強することが多い。一般に、急性漿液性歯髄炎では冷水によって痛みが増し、急性化膿性歯髄炎では温水によって痛みが激しくなり、冷水では和らぐことが多い。歯髄が口の中に露出した状態となっている潰瘍性歯髄炎あるいは増殖性歯髄炎では、慢性の経過を示すものが多く、冷水や温水が直接に触れたり、食事のときに物をかみ込んだりしない限り、ほとんど痛みを感じることはない。

[吉野英明]

治療

歯髄は周囲を硬い象牙(ぞうげ)質に取り囲まれているため、一度炎症に陥ると循環障害をおこしやすく、他の組織のような自然治癒をほとんど期待することはできない。歯髄炎では、炎症が急速に歯髄全体に広がり、多くの場合、激しい痛みが生じる。歯髄炎に罹患(りかん)した歯を治療せずに放置しておくと、歯髄はまもなく壊死(えし)に陥り、壊死歯髄組織中には細菌が増殖し、歯髄腔(くう)および根管内が汚染されていく。この汚染物質の刺激によって根尖部歯周組織に新たな炎症が生じる。これを根尖性歯周炎といい、急性状態の場合には激しい自発痛があり、歯が浮いた感じが強く、物をかむことはもちろん、痛みのため歯に触れることもできない。このような疾患を防止するためには、炎症歯髄組織を摘出除去することが必要であるが、炎症の波及の程度によって処置の内容は異なる。炎症が冠部歯髄のみに限局し、根部歯髄にまで及んでいない場合には、冠部歯髄のみを除去し、根部歯髄組織を保存する「断髄法」が施される。しかし、炎症が根部歯髄にまで広がっている場合には、歯髄組織をすべて除去しなければならない。このように全歯髄組織を摘出除去し、炎症が歯周組織に広がるのを防止する方法を「抜髄法」という。断髄法にしても抜髄法にしても、処置が正しく行われれば、一部または全部の歯髄組織を失った歯でも、歯自身の機能を十分に営ませることができる。しかしながら、口の中にはおびただしい数の細菌が生息しているため、それらの細菌の影響をすべて排除しながら正しく歯髄の処置を行うことは容易ではない。ときとして歯髄処置後に細菌感染を生じ、残された歯髄や根尖周囲組織にふたたび炎症がおこり、歯の痛みの原因となることがある。こうした現象によっても、歯を治療するときには、いかに消毒が重要かが理解できよう。

 歯髄炎によって歯髄を摘出された歯は、生活歯髄を有する歯と比べると、どうしても脆弱(ぜいじゃく)となるため、単に欠損部に他の材料を補填しただけでは、堅いものをかんだ際に破折するおそれがある。歯に破折を生じると、破折部位によっては抜去しなければならないこともあり、せっかくの治療もむだになってしまう。したがって、歯髄を摘出された歯は、かならず金属または陶材にて歯冠部全体を覆うような形で修復し、破折を予防する必要がある。

[吉野英明]

予防法

歯髄炎の多くはむし歯に継発しておこるため、その予防法の第一は、むし歯にかからないということにある。すなわち、フッ素の局所塗布、むし歯を引き起こしやすい食物の制限などといった家庭での口腔衛生管理を行うとともに、定期的な検診を受け、むし歯に罹患しやすい部分に予防的処置を施してもらうことである。さらに、むし歯の早期発見、早期治療を行うことによって、多くの歯髄炎は防止されるであろう。

[吉野英明]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

しずい‐えん【歯髄炎】
〘名〙 歯髄の炎症。主症状は痛み。多くは虫歯の原因となった細菌が歯髄に感染して化膿したもの。

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デジタル大辞泉

しずい‐えん【歯髄炎】
歯髄の炎症。主に虫歯が進行し、細菌が侵入して起こる。

出典:小学館
監修:松村明
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