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民芸【みんげい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

民芸
みんげい
folk art; folkcraft
民衆工芸 (芸術) とも呼ばれる。芸術家によらない民衆による芸術であるが,一般の芸術作品と異なり鑑賞を目的とするのではなく,実用性を重視し,工芸に近い性格をもつ。本来,民芸のにない手は農民を中心とし,そのほか漁師,きこり,猟師などで,その作品は彼らの生活様式に密着している。しかも都市生活者に比べその生活感覚や様式はおおむね保守的で変化に乏しいため,民芸の様式ないし形式も長い伝統に従ったものが多く,ルネサンスやバロックといった一般的な芸術様式の枠外に立っている。民芸の様式的な特徴はこうした時代様式ではなく,それを支える階層の生活様式の変遷と場所的,地域的な特性のなかに求められる。一般的な特徴としては素朴,単純で,しかしまた装飾性を重視し,はなやかな色彩を用いることもある。民芸の対象となりうるものには,家具,焼物,織物,刺繍,レース,鋳物,木彫の食器あるいは装飾品,さらに玩具などがあるが,南ドイツなどにみられる農家や教会のファサードに描かれた絵のように純装飾的なものもある。民芸はその性格上,手作りを基本条件とし,したがって数量も限られ,機械的に大量生産される規格品とは区別される。民芸に対する関心が欧米で高まりはじめたのは 19世紀に入ってからで,その動機は産業革命の進行に伴う規格化された大量生産に対する一種の反発からでもあり,特に J.ラスキン,W.モリスらは中世の手工芸の復活を提唱してアーツ・アンド・クラフツ運動を起した。日本では昭和初年に柳宗悦民芸運動を起して 1936年には東京駒場に日本民藝館が設立され,民芸の保存,継承に努め,今日に引継がれている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」

民芸
「民衆的工芸」ので、思想家の柳宗悦(やなぎ・むねよし)らが1925年に提唱し始めた。焼き物漆器樹皮やつる植物で編んだかご・ざるといった自然の素材で作られた実用的な品々を指す。無名職人によって生み出された庶民の日用品にこそ「美」があるとする思想に基づく。
(2018-04-17 朝日新聞 朝刊 生活1)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

みん‐げい【民芸】
一般民衆の生活の中から生まれた、素朴で郷土色の強い実用的な工芸。民衆的工芸。大正末期、日常生活器具類に美的な価値を見出そうと、いわゆる民芸運動を興した柳宗悦(やなぎむねよし)造語。「民芸調の家具」
昭和22年(1947)~昭和24年(1949)の民衆芸術劇場を受け継いで、昭和25年(1950)に滝沢修・宇野重吉らによって結成された劇団リアリズム演劇確立を目ざし、創作劇翻訳劇などを上演正称劇団民芸

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世界大百科事典 第2版

みんげい【民芸】
〈民芸〉という言葉は大正時代末に初めて用いられた新造語である。外国語でこれにあたる言葉がないので,フォーククラフトfolk‐craftという言い方も日本で用い始められたのである。もっとも西洋にはフォーク・アートfolk‐artとか,ポピュラー・アートpopular‐artとかいう言葉は用いられているが,近ごろはピープルズ・アートpeople’s artという言い方も現れ始めた。アートは〈美術〉にも用いられるが,民芸という場合は,美術品ではなく民衆的工芸をさすので,西洋の用語と多少違う。

出典:株式会社平凡社
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みんげい【民芸】
第2次大戦後の日本における代表的な新劇団の一つ。正式名称は〈劇団民芸〉。1950年,〈民衆芸術劇場〉(1947創立)を解消・発展するかたちで,宇野重吉(1914‐88),滝沢修(1906‐ ),森雅之(1911‐73),岡倉士朗(1907‐59),北林谷栄(1911‐ )らによって創立された。久保栄,三好十郎,木下順二らの創作劇や,A.ミラー《セールスマンの死》,《アンネの日記》,イプセン《民衆の敵》,A.N.アルブーゾフイルクーツク物語》などの翻訳劇で地歩を固め,昭和20年代,30年代を通じ,新劇界の中枢的劇団として多くの人々に親しまれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

民芸
みんげい

民衆の工芸品の略語。民衆の間でつくられた日常の生活用具のうち、機能的で健康な美しさをもつ工芸品とその制作活動。大正末期(1920年代)に柳宗悦(むねよし)によって提唱された。それまで下手物(げてもの)とよばれて美術の分野から無視されていた日用雑器に光をあて、手仕事のよさと美的な価値を認めようというもの。朝鮮、沖縄や日本各地の江戸時代から昭和初期の民芸品が特集形式の雑誌『工芸』(1931~51、全120冊刊行)などに紹介され、1936年(昭和11)には東京・駒場(こまば)に日本民芸館が設立されて、民芸運動の拠点となった。この運動の代表的作家河井寛次郎(かんじろう)、浜田庄司(しょうじ)、芹沢銈介(せりざわけいすけ)らの国画会による実作活動や、バーナード・リーチら海外作家の共鳴によって人々の関心を集め、民芸運動は普及し、これに便乗した民芸調とか民芸趣味といった一種のブームを呼び起こした。しかし民芸運動の本旨は趣味やムードではなく、民芸品が本来の特性を明らかにし、その工芸美を認識し、技術の保存・普及・復興を図ろうというもので、その主張は次の諸点である。(1)実用性 一般生活に実際に使われる目的で制作されたもの。吟味された材料で正確かつ熟練した技術によってつくられ、使い勝手のよいものでなければならない。かつ、むだのないデザインの美しさと、堅牢(けんろう)で素朴な機能性が要求される。(2)民衆性 作者の銘を入れないこと。つくる者も使う者も一般民衆であって、特定の芸術家の作ではなく、また特定の個人のためにつくられたものでもない。したがって作品は原則として無銘であり、無私の美しさと力を備えているものが民芸品である。(3)手仕事であること 機械による大量生産品は民芸品とはいわない。日本の手仕事は初期においては中国や朝鮮からの影響を受けたが、時代の進むにつれて日本独自の材料や手法をもつに至り、とくに江戸時代300年の間に著しい発展を遂げた。現在は機械に頼る部分も多くなってはいるが、本来は手仕事から出発したものに限られる。(4)地方性 その地方の伝統と特色を生かしたものであること。歴史の古い城下町では藩公の保護のもとにいろいろな工芸が発達した。また日本は南北に長い地形をもっているため、地理的にも材料的にも、各地の自然は異なった様態を示し、それぞれの土地の気候風土によって素材や利用目的が影響を受け、多種多様な民芸品が生まれた。(5)多数性と低価格 民衆の日々の用にあてるためには、いつでも求められるという多数性は不可欠の要件である。一点主義の美術品のような希少価格は民芸品には通用しない。ある程度の量産によって技術は確実なものとなり、価格も安定し、買い求めやすくなる。しかし、多数安価であっても粗製乱造であってはならない。

 以上のほかに、材料は人造資材によらず、天然材料によることなどが条件にあげられる。

 柳宗悦が唱えた民芸運動は全国的な広がりをみせ、彼の造語になる「民芸」folkcraftの語は海外にも広く通用するようになった。その一方で、伝統的な手工芸の民芸品は、機械化と低廉な工場製品に押されて急速に姿を消し、昔ながらの手作りの民芸品は現在ではむしろ骨董品(こっとうひん)扱いされ、美術品なみの高値をよぶことさえあり、当初の安価多数供給の目的とはほど遠くなっている。材料的にも天然材料を入手すること自体が困難になってきている。民芸が単なる懐古趣味やレトロブームでなく、運動の対象目的をどのように社会に適応させていくかが、今後の課題であろう。

[永井信一]

『柳宗悦著『民芸四十年』(岩波文庫)』『岩井宏美・福田栄治編『日本の博物館2 民芸の美――伝統工芸博物館』(1982・講談社)』

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精選版 日本国語大辞典

みん‐げい【民芸】
[1] 〘名〙 庶民の生活の中から生まれ、その地方に特有の風土、風物、情緒、習慣などを表現した芸術。民謡・舞踊・祭礼装飾・建築装飾・玩具・各種工芸品の類。民俗芸能。郷土芸術。
※雑器の美(1926)〈柳宗悦〉七「民芸は必然に手工芸である」
[2] 劇団。昭和二五年(一九五〇)、築地小劇場、新協劇団などの流れをくむ滝沢修、宇野重吉らによって結成された。前身は民衆芸術劇場。正式名称は劇団民藝。

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