●水星【すいせい】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
水星
すいせい
Mercury
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知恵蔵
水星
(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
すい‐せい【水星】
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版
すいせい【水星 Mercury】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
水星
すいせい
Mercury
太陽にもっとも近いところを公転している惑星。公転軌道の長半径は0.3871天文単位(5790万キロメートル)、軌道の離心率は0.2056でかなりはっきりした楕円(だえん)であり、太陽からの距離は、およそ4600万キロメートルから6980万キロメートルの間を変化する。軌道面の傾斜角も約7度と、8惑星のなかでいちばん大きい。公転周期は88日である。水星は太陽の近くを回るので、観察に好条件の最大離角のときでも見かけの角度28度しか太陽から離れない。日没後の西の空か日の出前の東の空にわずかな時間見られるだけなので、水星を実際に見たという人は少ない。しかしもっとも明るくなるときにはマイナス2.4等に達し、天体暦などで東方最大離角の日を調べておけば、日没直後の西空低く明るいオレンジ色の輝きを目にすることができる。
水星は、いわゆる地球型の小型岩石惑星に属する。赤道半径は2440キロメートルで惑星中ではもっとも小さく、質量も地球の0.055倍、表面重力は地球の0.38倍である。水星の自転周期は、力学的考察と表面の模様の観測から地球と月の関係と同様公転周期と等しいと考えられたこともあるが、レーダーによる観測の結果、公転周期の3分の2にあたる58.65日と判明した。これも太陽による潮汐(ちょうせき)作用がもたらす力学的な準安定状態の一つである。この自転と公転の周期が組み合わさって、水星の一昼夜の長さは176日となる。つまり1日が2公転周期(2年)に相当するという、奇妙な世界である。水星表面が受ける太陽熱は、太陽との距離の変化によって地球の4.6倍から10.6倍にもなる。そのうえ昼・夜がそれぞれ88日間と長く、また重力が小さく大気がほぼ完全に失われているので、表面温度は昼の430℃から夜間のマイナス230℃まで大きく変化する。こうした厳しい環境にあるため、水星の世界では生命の存在はまったく考えられない。
水星の表面地形については、地上望遠鏡での観測ではいくらか薄黒い模様が観測されただけだったが、1973年に打ち上げられ1974年に初めて水星の近くを通過したアメリカの惑星探査機マリナー10号による写真で、その姿がほぼ明らかになった。マリナー10号は太陽の周りを回る公転軌道に投入されたため写真撮影ができたのは水星面の半分弱だったが、月面によく似た多数のクレーターなど複雑な地形を認めた。カロリス盆地と名づけられた直径1000キロメートルに及ぶ巨大な同心円状の地形は、太古の巨大衝突の跡と考えられた。水星はその後大きな関心をもたれなかったが、2004年にNASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた水星探査機メッセンジャーは2011年に水星周回軌道に入り、2015年に水星表面に落下するまで水星全面の写真撮影、表面物質の分光探査、磁場の計測などを行った。水星のクレーターには著名な芸術家などの名がつけられたが、そのなかには「ムラサキシキブ(紫式部)」「セイショウナゴン(清少納言)」など13名の日本人の名がある。
水星はクレーターに覆われたきわめて古い表面をもち月と似てはいるが、地形も歴史も若干異なる。地形は大規模な収縮の影響を受けており、大規模なしわ状構造が多い。密度は5.43と小さな直径にしては高く、内部に巨大な鉄・ニッケル核の存在を示唆する。月と違って地球のような磁場が存在することから、核の少なくとも一部は溶融していることも予想される。そうした水星の表面や磁場を詳しく探査するため、ESA(イーサ)(ヨーロッパ宇宙機関)と日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))は協力して、2018年に水星探査機ベピ・コロンボを打ち上げる予定である。到着は数度のフライバイなど太陽重力に抗する複雑な減速過程を経て、打上げの7年後になる。
水星の公転運動では、近日点がわずかずつ移動するという観測事実がある。水星の内側に未知の惑星(バルカンという名も与えられた)があるためではないかとしてその捜索に熱中した学者もいたが、アインシュタインの一般相対性理論によって、太陽の重力場で水星軌道の空間に生じるわずかなゆがみでこの現象が説明できることがわかっている。
[海部宣男 2017年7月19日]
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精選版 日本国語大辞典
すい‐せい【水星】
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