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永字八法【えいじはっぽう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

永字八法
えいじはっぽう
yong-zi ba-fa
漢字の書法の8つの基礎点画を「」の字によって示したもの。後 邕 (さいよう) が嵩山 (すうざん) の石室で神人から授かり,のち魏の鍾 繇 (しょうよう) ,王羲之などを経て,の張旭あたりまで伝わったといわれるが疑わしく,実際は唐代に行われた筆法伝授の一つとみられる。「 (ろく) , (,ど) ,てき,策,,啄 (たく) , (たく) 」の八法を意味し,この八法を応用すればすべての漢字の書法が達成されるとする。唐の開元,天宝の頃から後半期にかけて流行し,後世にも書法の基本とされ,明代には 72法の応用された筆法として,広く書の学習に取入れられた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

えいじ‐はっぽう〔‐ハツパフ〕【永字八法】
書法伝授の一。「永」の一字に含まれ、すべての文字に応用できる運筆法。側(点)・勒(ろく)(横画)・努(ど)(縦画)・趯(てき)(跳ね)・策(短横画)・掠(りゃく)(左へはらう)・啄(たく)(左へ短くはらう)・磔(たく)(捺(なつ)、右の方へはらう)の8種。

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世界大百科事典 第2版

えいじはっぽう【永字八法 yŏng zì bā fǎ】
楷書の基本的点画8種が永の1字に包含されているとして,〈永〉字によって運筆法を説いたもの(図)。その来源には張旭説,智永説,蔡邕(さいよう)・王羲之説の3通りある。一般には,後漢の蔡邕が嵩山(すうざん)の石室で書を学び,神授されたと伝えられ,蔡邕から崔瑗(さいえん),張芝,繇(しようよう),王羲之を経て,王羲之7代の孫,隋の智永に伝わり,彼はこれを虞世南に授けて今日に伝わったとされる。おそらく,唐代に楷書様式が定まるにつれて考案されたものであろう。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

永字八法
えいじはっぽう

「永」の字の各点画が、書法(用筆法)上のすべての基本を包含している、という解釈から、古くから「永字八法」の名で、書法伝授や手習いの初歩的段階の一方法として用いられてきた。各部の名称は筆順に従って、(1)側(そく)(第一筆の点)、(2)勒(ろく)(第二筆の横画)、(3)努(ど)(第三筆の縦画)、(4)趯(てき)(第四筆の撥)、(5)策(さく)(第五筆、左から右上に引く画)、(6)掠(りゃく)(第六筆、続いて左下へ引く画)、(7)啄(たく)(第七筆、右から左下に引く画)、(8)磔(たく)(第八筆、左から右下に向かって引く画)の8法。上下左右に放射する筆画に、実に的確な名称を冠している。唐時代の韓方明(かんほうめい)の説によれば、その起源はすでに隷書(れいしょ)体の生まれたころにあり、後漢(ごかん)時代の崔瑗(さいえん)より鐘繇(しょうよう)、王羲之(おうぎし)、智永(ちえい)に伝えられ、さらに唐に入り張旭(ちょうきょく)に相伝されたという。また「八法乃蔡邕(さいよう)所書古人用筆之術多於永字取法以其八法之勢能通一切勢也」(『和漢三才図会』巻27)とあり、漢時代の蔡邕(133―192)の考案ともいうが、確かな創案者は不明である。わが国には江戸時代に輸入され、手習いの初学者へ指導の便法として流行した。

[神崎充晴]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

えいじ‐はっぽう ‥ハッパフ【永字八法】
〘名〙 書法伝授法の一つ。「永」の一字で、すべての文字に共通する八種の筆法を示すもの。中国漢代の蔡邕(さいよう)が考案したといわれる。図中の(イ)側(そく)、(ロ)勒(ろく)、(ハ)努(ど)、(ニ)趯(てき)、(ホ)策(さく)、(ヘ)掠(りゃく)、(ト)啄(たく)、(チ)磔(たく)の八画をいう。永字八画。
※舞正語磨(1658)下「筆道にも、永字八法の中にも、むすびすて或は引捨てたる其筆勢」
[語誌]これで、楷書の用筆すべてが包含されるというものではないが、初学者向きに用筆法を説く便法とされたもので、唐宋以来盛んに行なわれた。

出典:精選版 日本国語大辞典
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