●治水【ちすい】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
治水
ちすい
river training
氾濫などの害を防ぎ,灌漑,運輸,用水の確保など,その利用目的にかなうように水を統制すること。狩猟生活や原始的焼畑耕作生活から離れて平地での生活を行うようになって以来,人類はときに増水して氾濫する川との戦いを余儀なくされ,治水事業に重大な関心を払ってきた。すでにエジプトでは前 2000年頃の中王国時代からモエリス湖を貯水池として利用することによりナイル川の水を調節することを行なっており,インドや中国でも古代から大規模な治水事業が行われている。日本では鎌倉時代以後,特に戦国大名たちによって本格的な治水事業が行われた。武田信玄,加藤清正,豊臣秀吉らが治水に努めたことは有名であるが,彼らの治水技術は,水勢に逆らわない洪水遊水策であった。明治以降は西欧技術の導入と近代的な資材の使用によって,河川に連続堤を築き,洪水を河道の中に閉じ込めて流下させる方式が多くとられるようになった。現代は堤防の嵩 (かさ) 上げ,河幅の拡大,河床の掘削,放水路の開削などの河道処理方式と,洪水量そのものを人工的に調節するダム,遊水池,調節池など立地条件に合せて多様な洪水調整方式が併用されている。
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デジタル大辞泉
ち‐すい【治水】
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世界大百科事典 第2版
ちすい【治水】
治水は文字どおり水を治めることであるが,河川の氾濫や高潮による被害から住屋,集落,耕地などを守るために堤防を築いたり,河川の流路そのものを変えたり,河川の水流・水量を制御調整するための諸工事を行ったり,河底の土砂をさらえ,流水に障害となる岩石を除去することなどがあげられる。また河川交通の安全や発展のため,河川流路を整備したり運河を開削することもその一つである。さらに水田の開発や安定的経営のために池,溝,堰などを設けることも治水であり,農業生産における基本的な事業である。
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精選版 日本国語大辞典
ち‐すい【治水】
〘名〙 (「ぢすい」とも) 水害を防いだり、運輸・灌漑(かんがい)の便をはかったりするために、水流、水路の整備・改良・保全を行なうこと。
※史記抄(1477)三「禹の治水とてつよくあるいたほどに、足が偏枯して」
※東京日日新聞‐明治二五年(1892)一月八日「治水の急施」 〔水経注‐済水〕
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日本大百科全書(ニッポニカ)
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