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洗骨【せんこつ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

洗骨
せんこつ
遺体を埋葬あるいは納したのち,一定年月を経て取出し,遺骨を洗い清めて骨壺に納める葬礼の一種。日本では沖縄奄美群島に多く行われている。さらに台湾,中国大陸南部や南西部,朝鮮南部,東南アジア島々などでも行われる。沖縄では,普通3~7年後には棺を取出して洗する。それを行うのは女性と決められ,海水湯水,酒などで洗い清め,足骨から順次骨壺に入れて,最後に頭蓋骨を納める。普通夫婦関係にあった者たちは,同じ骨壺に納められている。遺体は,洗骨されないうちはまだ死者であり,それまではの期間でもある。洗骨を媒介として初めて者は祖先となり,その霊魂は仏の世界に行くとされる。洗骨は日本本土や東・東南アジアに広範にみられる複葬の一種である。この地域にはまた風葬両墓制などの葬法がみられるが,この洗骨の習俗と歴史的にも宗教的にも関連があると考えてよいであろう。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」

洗骨
沖縄や奄美地方の風習で、与論島沖永良部島粟国島波照間島などで行われていた。土葬した遺体を3〜5年後に掘り起こし、骨を海水や水で洗ってに入れる。骨を洗うことで、海のかなた浄土に行かれると信じられている。儀式をするのは旧暦の3月と8月の27、29日と決まっている。立ち会えるのはごく近親者に限られ、早朝人目に付かないように行う。近親者以外は「けがれがある」とされて立ち会うことができず、その様子が報じられたはあまりない。
(2006-05-07 朝日新聞 朝刊 2社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

せん‐こつ【洗骨】
埋葬または曝葬(ばくそう)した遺骸を数年後に取り出し、骨を洗い清めて改めて墓地に葬る風習。沖縄・東南アジアなどで行われる。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

せんこつ【洗骨】
死後一時的に埋葬(必ずしも地中に埋められるとはかぎらない)した死体を,一定期間を経た後に,掘り起こすなどして骨を洗い改葬する葬法。最初の死体処理を一次葬といい,改葬を二次葬,葬制の全体を複葬と呼ぶことがある。一次葬には,土葬のほか,住居のなかに安置しておく屋内葬,一時的に簡単な小屋風よけを設けて安置する台上葬,洞窟や森に放置する風葬などが一般的であるが,まれには火葬を行う民族もある。二次葬は洗骨の後,なんらかのかたちで遺骨を保存するのが普通であるが,これに先立って死体を焼くボルネオのマアンヤン・ダヤク族の例もある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

せんこつ【洗骨】
埋葬後、一定期間を経た遺骨をとり出し、洗い清めて改葬すること。日本の南西諸島やアジア・オセアニアで行われる民俗慣行で、このあと死者の霊が他界に移り、喪が明けるとされる。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

洗骨
せんこつ
死者の葬法の一種。二重葬で、死の直後に葬った遺骸(いがい)を、ある期間が過ぎたのち、取り出して骨を洗浄してまとめ、改葬する葬法。遺骨を重んじる形式で、日本および朝鮮、中国、東南アジアなどに広く分布するほか、アメリカ・インディアンの一部の部族にもみられる。東アジアの洗骨葬については、『列子』など中国の古い文献にみえ、『後漢書(ごかんじょ)』(5世紀前半)には東沃沮(よくそ)(朝鮮半島北東部)の洗骨葬の具体的な記述がある。
 日本では琉球(りゅうきゅう)諸島の葬法の基本形態として知られている。沖縄の首里、那覇(なは)を中心とした地方の洞窟(どうくつ)墓や、それが発展した亀甲(かめのこう)墓では、横穴式の空洞の中央に棺を安置し、その奥や左右に、洗骨後の遺骨を納めた厨子(ずし)〔骨壺(こつつぼ)〕を置くようになっている。またいちばん奥には三十三年忌を済ませた遺骨をまとめて納める場所がある。洗骨は遺骸が白骨化するのを待って行う。七年忌が過ぎてからが普通であるが、その墓に納める新しい死者があると、三年忌が終わっていれば洗骨する。死者が続いたときは、仮墓や他家の墓に葬る。洞窟墓のほかに、地上葬として、小屋墓、石囲い墓、岩陰墓、露地墓もあった。かつて露地墓であった久高(くだか)島では、12年に一度、寅(とら)年に洗骨を行っていた。死後1年以内には洗骨を行わないというのは、宗教的には、遺骸供養が終わっていないからであろう。洗骨はすべて、死者の妻や娘など近親者の女性によって行われる。洗骨をする所が太陽にさらされるのを忌み、傘などで日よけをする。本来は日が落ちたあと行ったともいう。洗浄には水のほか焼酎(しょうちゅう)も用いる。頭蓋骨(ずがいこつ)を丁重に扱い、骨のいちばん上にのせて厨子に納める。夫婦は一つの厨子に入れる。
 琉球諸島でもっとも古い紀年のある厨子は中国年号の弘治7年(1494)で、1534年の冊封使(さくほうし)、陳侃(ちんかん)の『使琉球録』には、洗骨の習俗の記事がみえる。先祖の遺骨を祀(まつ)る聖地を崇拝する風習もあり、村の先祖の遺骨を祀ったという伝えがある御嶽(おたけ)も各地にある。沖永良部(おきのえらぶ)島には、祭りのときに、世之主(よのぬし)(統治者)墓にある厨子の遺骨に焼酎を注ぐ行事があった。琉球諸島の洗骨葬には、死者の処理という問題を超えた、深い宗教的意義があった。土葬した遺骸の骨だけを集めて改葬する葬法は、日本の他の地方にも点在する。洗骨葬は日本文化の古層の一面を伝えるものであろう。なお琉球諸島でも、祝女(のろ)など神事をつかさどる職にあった人は土葬にし、洗骨はしなかった村もある。[小島瓔
 中国では洗骨までの第一次葬を単なる本葬前の事前処置とみて凶葬といい、洗骨後の第二次葬を本葬=吉葬とした。世界各地に多くみられたが、沖縄、台湾、中国東南部では現在までこの風習が残っている。1914年(大正3)に喜田貞吉(きたさだきち)が日本にも古くからこの葬制があることを指摘して以来研究が進み、縄文時代にすでにこの風習が僅少(きんしょう)例ではあるが確認されている。縄文文化の伝統が強い関東・東北南部では弥生(やよい)時代にも洗骨を伴う再葬墓が多く知られている。洗骨葬は縄文・弥生時代でも特殊例であることから、貴人や巫女(みこ)のような霊力のあるものに限って行われたものともみられる。古墳時代以後の殯(もがり)も、埋葬前の第一次葬であり、洗骨を伴う儀礼であったと推測される。[久保哲三]
『最上孝敬著『詣り墓』(1956・古今書院)』

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精選版 日本国語大辞典

せん‐こつ【洗骨】
〘名〙 遺骸の処理法の一つ。遺骸をある期間保存し、軟部を除き、骨を洗浄し改めて埋葬するもの。縄文時代末期に類例がみられ、東日本を中心とした彌生時代の再葬墓も、この葬法に基づくものといわれる。また、民俗学的に日本全国にのこる両墓制は、この葬制に起源するものと考えられている。最近まで沖縄県や奄美大島などで行なわれた。

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