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浮彫り【うきぼり】

日本大百科全書(ニッポニカ)

浮彫り
うきぼり
浮け彫り、浮き上げ彫り、レリーフreliefなどともいう。元来は、丸彫りや透(すかし)彫りに対応する彫刻の形式あるいはその技術の意であるが、転じて事物を際だたせて表現することの意味にも用いられる。
 浮彫りの起源は彫刻とともに古く、線刻画から発展し肉づけされたものと考えられる。これは、絵画と彫刻の中間形式とみられるから、その主題も丸彫り彫刻よりは広く、風景描写や遠近表現技法も取り入れられ、物語的展開も容易である。その浮き出し部分の高低に応じて、高(肉)彫り、浅(薄肉)彫り、その中間の半肉彫りに分類できる。また、図柄の輪郭部を彫り込んでから盛り上げる沈(しずみ)彫り(彫り込み浮彫り)、同じく薄肉の肉合(ししあい)彫りなどがあり、彫金などによくみられる。さらに、図柄部分を盛り上げる通常の浮彫りを陽刻とよぶのに対し、彫り込んで窪(くぼ)ませる形式のものを陰刻といい、装飾物の彫鏤(ちょうる)技術では前者をカメオcammeo、後者をインタリオintaglioと区別する。
 古代エジプトには浅浮彫りや沈彫りが、古代ギリシアでは、パルテノン神殿破風(はふ)彫刻に代表される高浮彫りが多く見受けられる。また、ルネサンス期のフィレンツェ洗礼堂(サン・ジョバンニ洗礼堂)第二扉の塑造によるブロンズの浮彫りは、作者ギベルティがブルネレスキとコンテストで競って制作したものとしてとくに有名である。
 現代美術では、彫って肉づけしたものではなく、各種の素材で構成した半立体作品もレリーフの名でよぶ。それは構成主義者のタトリンが木片や金属板を用いて壁面から突出した「反レリーフ」(1914)や、室の隅に釣り渡す「コーナー・レリーフ」(1915)を試みて以来、盛んになった形式である。その後、モアレを用いたオプチカルなレリーフ、光や動きを取り入れたレリーフも一般的となり、さらに絵画とレリーフの中間形式とでもいうべきコンバイン・ペインティングなども現れ、レリーフの概念はいっそう広がりつつある。[三田村右]
 日本でも石彫(せきちょう)、木彫(もくちょう)、金工品などに重要な作品例が少なくない。古くは古墳時代の横穴石室の壁面や石棺の文様などに浮彫りがあり、仏教芸術が渡来すると、仏像の光背などにこの技法を用いたものが各時代にみられ、とくに透彫りと併用することにより、その効果を高めている。奈良時代には磚(せん))に仏像や飛天などを表したものがある。奈良・壺阪寺(つぼさかでら)(南法華寺(ほっけじ))の鳳凰(ほうおう)磚、岡寺(おかでら)の天人文磚、川原寺(かわらでら)をはじめ各地で出土している磚仏(仏)などはその代表例。また薄い銅板を原形に当てて、たたき出した押出し仏(おしだしぶつ)が法隆寺、法隆寺献納宝物、唐招提寺(とうしょうだいじ)などにある。さらに石製浮彫りに、奈良・頭塔(ずとう)石仏がある。平安時代に入ると木彫りの浮彫り像があり、興福寺の板彫十二神将像はそれである。このころ各地に磨崖(まがい)の石仏磨崖仏がみられるが、栃木県の大谷寺(おおやじ)、大分県の各地の石仏などは石の浮彫りの代表的なものであろう。そのほか浮彫りの技法は工芸、建築などの装飾として、古今を問わず盛んに用いられている。[佐藤昭夫]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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