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海水魚【カイスイギョ】

デジタル大辞泉

かいすい‐ぎょ【海水魚】
海水域にすむ魚。海にいる魚。鹹水魚(かんすいぎょ)。⇔淡水魚

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

かいすいぎょ【海水魚】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

海水魚
かいすいぎょ
sea fish
marine fish
saltwater fish

一生またはその大部分を海で生活する魚類。淡水魚の対語として用いる語。海水魚は熱帯海域から南北の極海、また表層から8000メートルぐらいの深海まで生息する。分類上も、ほとんどすべてのグループの種類が含まれる。

 海水には多くの無機塩類が含まれており、塩分は河口域では5‰(パーミル)前後、外洋で40‰近くある。したがって、海水魚の体液よりも海水の浸透圧が高いので、つねに体内の水分が体外に失われやすい仕組みになっている。このため、硬骨魚類では口から多くの海水を飲み込み、濃い尿を少量排出することで、水分を体内に保持するようにしている。このような調節作用は、間腎(かんじん)(哺乳(ほにゅう)類の副腎皮質に相当する器官)で生産されるコルチゾールというホルモンの働きに支配される。また、サメ類やエイ類では、代謝の最終生成物であるアンモニアをできるだけ体内に保留し、これで体液の浸透圧を高めて、周囲の海水の浸透圧とほぼ同じくらいに保っている。

 海水魚は全魚類数を2万8000種として、その約58%の1万6000種あまりを占めている。生息場所により水平的分布と垂直的分布に大別される。

[落合 明・尼岡邦夫 2015年3月19日]

水平的分布

水平的分布区分は、さらに南北方向と岸から沖方向への区分に二分される。南北区分は、北半球では北緯62度以北は極帯(寒帯)で、ニシン、タラ類、カレイ類が代表種である。北緯62~42度は冷帯北部(亜寒帯)で、サケ・マス類、タラ類、ホッケ類がみられる。北緯42~34度は冷帯南部(温帯)で、サンマ、シマガツオなどが生息し、カツオ、マグロなどが来遊する。北緯34度~23度は温暖帯(亜熱帯)で、カツオ、マグロ、トビウオ類が生息し、沿岸ではチョウチョウウオ類、スズメダイ類、ベラ類などがすむ。熱帯域は北回帰線と南回帰線の間の海域で、カツオ、マグロ・カジキ類、サメ類が帯状に分布する。沿岸では複雑な環境を反映して多種多様な魚類が7000~8000種生息しているといわれている。

 岸から沖方向への分布では、海水魚は沿岸魚、外洋表層魚、深海魚、および河川と海の両水域で生活する両側(りょうそく)回遊魚に大別される。水深200メートル以浅の海域(大陸棚)にいるものを沿岸魚といい、イワシ類、アジ類、サバ類、ブリ類、タイ類、カレイ類などが代表的な種類である。沿岸は餌(えさ)が多く、地形も複雑で、生息場所としても恵まれており、種類も9100種ほどで、全魚種の42%を占める。サンゴ礁など高温の水域ほど種類の数は多いが、北極や南極の冷水域でも1000種以上の種類が生息している。

 外洋表層魚は、水深200メートル以深の沖合いの表面から水深200メートルあたりまでに生息する魚類で、カツオ・マグロ類、サンマ、ある種のトビウオ類などが代表的である。外洋は塩分濃度が高いので、この水域にすむ魚類はそれに耐える能力があり、また遊泳能力も優れ広い範囲を回遊するものが多く、なかには太平洋や大西洋を横断するものもある。しかし、環境がほぼ均一で、餌が少ないために種類数は少なく、250種余りにすぎない。

 深海魚は、水深200メートルよりも深いところに生息する魚類で、アンコウ類、タラ類、イタチウオ類、ハダカイワシ類などがその代表魚であり、1300種余り知られている。

 両側回遊魚は、降海性のチョウザメ類、サケ・マス類、ボラ類などで、いずれも一時的に河川や湖沼に入って生活するが、その大部分は海で成育する。

[落合 明・尼岡邦夫 2015年3月19日]

垂直的分布

垂直的分布区分は、海底の8底帯と沖合いの7遊泳層に分かれる。

(1)潮間帯 高潮線から低潮線までの間で、干潮時には露出し、潮だまりができる。ハゼ類やイソギンポ類、磯魚(いそうお)などが生息する。

(2)上部浅海底帯と上部表層 水深60メートルまでの底帯と遊泳層で、サンゴ礁、岩礁、砂底、砂泥底、内湾、河口域などがあり、生育環境が複雑で、多種多様な魚類が生息する。岸近くではチョウチョウウオ類、ベラ類、スズメダイ類などが、遊泳層ではイワシ類、アジ類、サバ類、マグロ類などが生息する。

(3)下部浅海底帯と下部表層 水深120~200メートルの大陸棚縁辺までの底帯と遊泳層で、ほとんど太陽光が届かない。底帯にはタラ類、エソ類、ヒラメ・カレイ類、カサゴ類、タイ類などの水産上重要な種が多くすむ。遊泳層にはマグロ類が下りてくる。

(4)移行帯と中深層 水深700~800メートルまでで、底帯は大陸棚斜面の最上部である。太陽光がまったく届かないが、水温や塩分濃度は安定している。魚類の数は減少するが、底帯にはニギス類、アオメエソ類などがみられ、中深層ではムネエソ類、ハダカイワシ類、ワニトカゲギス類など、多くの発光魚が生息する。発光魚は夜間に浮上する動物プランクトンやアミ類などの餌を求めて表層近くまで上昇するものが多い。

(5)上部漸深底帯と上部漸深層 水深1500メートルまでで、大陸棚斜面の中上部。水温は4~3℃ぐらいまで低下し、底帯にはホラアナゴ、ソコダラ類、アシロ類などが多く、遊泳層にはチョウチンアンコウ類などいわゆる典型的な深海魚が生息している。

(6)下部漸深底帯と下部漸深層 水深3000メートルまでで、大陸棚斜面の中下部に相当し、水温は4~1.6℃ぐらいになる。魚類は中上部とほとんど同じであるが、異なる種がみられる。

(7)深海底帯と深海層 水深5000~6000メートルまでで、傾斜は緩くなる。水温は1.8~1.6℃まで低下し、水圧は300気圧を超える。アシロ類、ゲンゲ類、ソコダラ類、クサウオ類など、体が柔らかくゼラチン質で包まれ、目が退化するなど特殊化の進んだ種類が海底近くにまばらにすんでいる。

(8)超深海底帯と超深海層 水深5000~6000メートル(大洋底)以深で、水温は2~1.1℃である。500気圧を超える高圧のため、生息する魚も限られる。6500メートルからソコダラ科のシンカイヨロイダラ、6660~6770メートルからクサウオ科コンニャクウオ属のカレプロクタス・ケルマデセンシスCareproctus kermadecensis、7579メートルからクサウオ科のシンカイクサウオが発見された。8370メートルからとれたアシロ科のヨミノアシロは最深の記録である。

[落合 明・尼岡邦夫 2015年3月19日]

水産資源としての海水魚

海水魚は、水産資源としてもっとも重要であり、国連食糧農業機関(FAO)の漁業統計(2006)によると、世界で約6800万トンが漁獲され、魚類全体の漁獲量の68%に相当する。量的には、イワシ類、ニシン類、タラ類など、沿岸の表層水域で生活する魚類が多い。

 海水魚はアメリカ、ヨーロッパ、オセアニアでは漁獲量の大半を占めている。大河や大湖をもつアジア、アフリカでは、淡水魚の漁獲量が海水魚を上回ることがなかったが、1995年ごろから、内水面養殖が発達した国では海水魚の漁獲量を超えている。日本では、2013年(平成25)時点で漁獲量の98%以上、約473万トンが海水魚である。1980年ごろから、有用海水魚の人工孵化(ふか)や仔魚(しぎょ)・稚魚の育成など、いわゆる種苗生産の技術が著しく進歩し、サケ・マス類、タイ類など水産業上重要な魚類が放流され、生産力に大きな成果をあげている。

[落合 明・尼岡邦夫 2015年3月19日]

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精選版 日本国語大辞典

かいすい‐ぎょ【海水魚】
〘名〙 海水にすむ魚類。鹹水性(かんすいせい)魚類、半鹹水性魚類に分けられる。

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