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渡り【わたり】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

渡り
わたり
migration
動物が遠く離れた地域間を季節的に往復することをいう。渡りは動物界に広くみられる現象であるが,特に鳥類においてよく発達している。一般に高緯度地方で繁殖するに渡りをするものが多く,環境条件のきびしい冬の間を暖かい地方で過す。しかし,熱帯地方の鳥にも渡りをするものが多く,また繁殖後長距離の回遊を行うものもある。渡りの典型的な例は海を越えた長距離の移動であるが,同一地方内における比較的短距離の移動や,山地の鳥が冬季に低地に移るのも一種の渡りである。最長距離の渡りを行う鳥は,北極圏で繁殖し,南極圏で越冬するキョクアジサシである。渡りの習性が発達した原因は単一ではなく,またすべての鳥に同じではないであろうが,移動によるエネルギー浪費と事故の危険の問題がなくなれば,季節的な環境条件の変化に応じて生息地を変えることはその種の生存に有利なことであるといえよう。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

わたり【渡り】
[名]
川などの渡る場所。渡し。「宇治の渡り
離れた二つの場所に掛けて渡すもの。渡り板や渡り廊下など。
外国から渡来すること。また、そのもの。「オランダ渡りの鉄砲」
定住しないで渡り歩くこと。また、その人。「渡りの職人」
俗に、退職した官僚が退職後の勤め先を次々と移り歩くこと。高額の給料、退職金を取るので批判されている。「天下り官僚の渡りを禁止する」
両者が通じ合うように交渉すること。「資本参加についての渡りがあった」
連続する音韻を発音する際、ある単音から次の単音へ移るための調音の態勢の動き。また、それによって生じる音。一つの単音について、前からの渡りを「入り渡り」、後ろへの渡りを「出渡り」という。
囲碁で、相手の石を挟んで両方の石が連絡すること。盤面の端で行われる。
動物、特に鳥が、環境の変化に応じて行う季節的な往復移動。食物の獲得・産卵などのために行う。
10 (「径」とも書く)さしわたし。直径。わたし。
「丁度―一尺位に見える橙黄色の日輪が」〈鴎外・妄想〉
11 活版印刷の組版で、ページ物を組み付けるとき、見開きの左側の版の左端から右側の版の右端までの寸法。
12 ある所へやって来ること。また、来訪すること。
「さてもただ今の御―こそ、情けもすぐれて深う」〈平家・七〉
13 川などを渡ること。
「淀の―といふものをせしかば」〈・一一四〉
[接尾]助数詞。物事がひととおりゆきわたる回数を数えるのに用いる。「ひと渡り注意して見回る」

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

わたり【渡り migration】
動物ことに鳥類が繁殖地と越冬地とを毎年規則正しく往復することをいう。移動の一種。昨日まで群がっていた鳥たちが,一夜にして姿を消したり,今までいなかった鳥たちが急に現れたりすることは,昔の人々にとってはひじょうに不思議なことであったに違いない。事実古代からヨーロッパでは,ツバメ地中海にもぐって冬を過ごすと考えられ,中国でもツバメは長江(揚子江)のにもぐって冬を過ごすと考えられていた。しかし19世紀から20世紀にかけて,科学的な標識法がとり入れられるようになり,その結果しだいに渡りの実態が解明されるようになってきた。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

渡り
わたり
migrationseasonal migration
鳥類が定期的に生活上の必要に応じて生息地を季節的にかえる現象、またはその際の移動行動をいう。日本語では鳥類以外にはほとんど用いない。しかし英語のmigrationは渡りも含むが、広くさまざまな動物について生息地の移動をいい、かならずしも定期的でも季節的でも往復的でもない移動をも含んでいる。日本語の渡りということばをこの意味に近づけて用いる人もいるが、以下では慣用に従って鳥類の問題に限ることにする。
 鳥の渡りは現象的にはさまざまであるが、その一部については別項「渡り鳥」をもあわせて参照されたい。渡りは昼間に行う種と夜間に行う種があり、また群れで行う種と単独で行う種がある。ヒヨドリなど昼間に群れで渡る小鳥もあるが、多くの小鳥は夜間に単独で渡る。ガンやカモは夜間に群れで、ツルは昼間に群れで、タカは昼間に単独で渡る。[浦本昌紀]

渡りの高度と速度

近年のレーダーによる観測によれば、渡りの高度は以前考えられていたよりもかなり高いようである。多くは地上または海上1500メートル以下であるが、数千メートルという記録もある。もちろん、高い山脈を越えるときには、地上すれすれでも海抜高度は高い。
 渡りの速度には三つの意味がある。一つは対気飛行速度で、種によって異なるが時速30キロメートルから数十キロメートル程度である。二つ目は対地飛行速度で、これは追い風か向かい風かによって異なる。三つ目は旅行の速さで、これは一度に飛び続ける時間と、休息の回数と日数によって異なるが、この飛行と休息のパターンは種によって、天候によって、また春と秋とでそれぞれ異なる。速いものでは8日で5000キロメートル余りという記録がある。もちろん広い海を一気に越えなければならないときは休息なしに飛び続け、40~50時間で2000~3000キロメートルと考えられる場合もある。しかし、普通の渡り旅行はもっとずっと遅い。[浦本昌紀]

渡りのルート

渡りのルートが遺伝的に決まっているかどうかはしばしば論じられてきたが、現在では、種によって一定の渡りの方向が決まっているだけで、ルートが一定しているようにみえるのは主として地形の影響であると考えられている。この方向と渡りの距離、つまりどれだけ旅行したら渡りが終わるかがどのようにして決まってきたのか、これは渡りの起源つまり進化の問題であるが、現在それについてはっきりしたことは何もわかっていない。[浦本昌紀]

渡りの生理と航法

渡りの仕組みに関しては、二つの問題がある。一つは渡りの生理で、一定の時期に渡りが行われるのはどのような生理的仕組みによるのかである。これは、温帯の鳥については日長の季節変化が下垂体の活動に影響を与え、そこから分泌されるホルモンの働きによって生理状態が変化する、という過程が基本であることがわかっている。しかしこれはあくまでも基本であって、詳細は不明な点が多い。また、日長変化のほとんどない熱帯地方での問題はまだはっきりしていない。もう一つは渡りの方向をどうやって知るのかである。これについては1950年代から太陽または恒星を手掛りにしているとする天体航法説が提唱され、だいたいにおいて認められてきたが、それだけでは説明できない事実もある。近年になって、地磁気を手掛りにしている可能性を示す研究が現れているが、これはまだ広く受け入れられてはいない。[浦本昌紀]
『桑原万寿太郎著『動物と太陽コンパス』(岩波新書)』

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