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源氏絵【げんじえ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

源氏絵
げんじえ
源氏物語』を題材とした画。この長編の各部分から,物語の展開に重要な場面や趣深い挿話を抽出して絵画化し,絵巻や冊子絵として鑑賞するのが当初の形式で,原典成立後まもなく制作されたと思われる。現存最古の作例は徳川・五島本の『源氏物語絵巻』 (12世紀前半) で,場面の選択法や表現が初期の伝統をよく伝えている。鎌倉時代における『源氏物語』尊崇は,源氏絵の新しい展開をもたらしたと思われるが,遺品としては「浮舟」の白描挿絵や「若紫」「末摘花」「澪標 (みおつくし) 」の絵巻にとどまる。室町時代に入ると扇面や色紙のセットとして『源氏物語』各帖の場面を描き,画帖屏風に仕立てて鑑賞することが多くなった。場面の選出法や図様にも固定化の傾向が生じ,近世初期には,土佐光吉らによって細密,精巧な源氏絵色紙が作られる一方,狩野派や宗達派の手に成る大画面の源氏絵屏風が妍を競い,古典復興の時代性を象徴した。江戸時代には源氏絵の主題が蒔絵友禅染などの工芸品,浮世絵の見立絵などにも広く応用され,王朝の伝統を民衆のなかにまで伝えた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

げんじ‐え〔‐ヱ〕【源氏絵】
源氏物語を題材として描いた絵の総称。絵巻・屏風(びょうぶ)絵など種々のものがある。
平安時代風俗を物語風に描いた絵の俗称

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

げんじえ【源氏絵】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

げんじえ【源氏絵】
源氏物語を題材にした絵。古来、絵巻・扇絵・屛風びようぶ絵・蒔絵まきえなど多数制作された。源氏物語絵。
平安時代の風俗を源氏雲などを用いて描いた絵。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

源氏絵
げんじえ
源氏物語絵の略で、『源氏物語』に取材した絵。絵巻や画帖(がじょう)で詞(ことば)と絵によって物語の流れを追ったものから、屏風(びょうぶ)に一場面を大きく描いたものまで種々の形式がある。11世紀初めに原典がつくられ、まもなく絵画化が始められたと推定され、以後、大和絵(やまとえ)、とくに物語絵のもっとも中心的題材として近世に至るまで広く取り上げられている。最古の遺品は平安末期(12世紀前半)の『源氏物語絵巻』で、濃麗な画面と流麗な詞書(ことばがき)により王朝美術の粋を伝える。鎌倉時代のものでは「浮舟」の巻の白描(はくびょう)挿絵(徳川美術館、大和文華館)と、彩色絵巻(天理図書館、メトロポリタン美術館)が伝存する。室町時代には享受層の拡大とともに制作も増大し、とくに小形の白描絵巻が流行。また物語の各帖から特定の場面を選び絵画化の指示をし、詞書を抄録した『源氏物語絵詞』なる書物も編纂(へんさん)された。
 桃山時代には土佐派が源氏絵をお家芸とし、ことに光吉(みつよし)は精緻(せいち)、華麗な色紙絵を得意とした。また光則(みつのり)はさらに緻密このうえない筆技で白描の小品画を盛んに描き残している。一方、源氏絵を屏風などに拡大する傾向も活発化し、54帖から各1図を1双に描き収めたものや、数場面を集めたもの、そして1隻に1図のみを大きく描いた屏風絵も登場する。狩野山楽(かのうさんらく)筆『車争(くるまあらそい)図屏風』(東京国立博物館、旧九条家襖絵(ふすまえ))、俵屋宗達筆『関屋(せきや)・澪標(みおつくし)図屏風』(静嘉堂(せいかどう))などは、大画面の源氏絵のなかでもとくに有名である。また、しだいに様式化した源氏絵の図柄は、蒔絵(まきえ)や染織など各種工芸品の意匠の主題としても幅広く応用されている。[村重 寧]
『秋山光和編『日本の美術119 源氏絵』(1976・至文堂)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

げんじ‐え ‥ヱ【源氏絵】
〘名〙
① 「源氏物語」五四帖を題材にして描いた絵。源氏物語絵。
※古今著聞集(1254)一一「源氏絵十巻だみたる料紙に書て」
② 平安時代の風俗を物語風に描いた絵の俗称。また、屋根や天井をかかないで、室内の様子が見えるように描いた大和絵(やまとえ)などもいう。
※雑俳・住吉みやげ(1708)「源氏絵は雲を便りに家づくり」

出典:精選版 日本国語大辞典
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