@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

滲出性中耳炎【シンシュツセイチュウジエン】

デジタル大辞泉

しんしゅつせい‐ちゅうじえん【×滲出性中耳炎】
鼓膜の奥の中耳腔(鼓室)に滲出液が貯まる中耳炎。鼓膜の動きが悪くなり、聞こえが悪くなるが、痛みや腫(は)れなどが起きることはまれである。急性中耳炎が完治していない場合や、アレルギーなどによって耳管が閉塞している場合に起こり、小児に多い。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

家庭医学館

しんしゅつせいちゅうじえん【滲出性中耳炎】
 鼓膜(こまく)の奥に液体がたまるために難聴になる病気です。
 かぜの炎症が鼻から鼓膜の奥の中耳(ちゅうじ)に広がり、粘膜(ねんまく)から分泌(ぶんぴつ)される滲出液が、鼓膜の奥の空気にとって変わるので、鼓膜が音を受けなくなります。
 症状は、難聴、耳閉感(じへいかん)(耳がつまった感じ)、耳鳴(みみな)りなどです。
 難聴は、かぜの後などに急に始まります。痛みはほとんどありません。
 軽い老人性難聴がある人が滲出性中耳炎になると、会話がほとんどわからないほどの難聴になることがあります。
 お年寄りになると、粘膜の抵抗力が低下し、粘膜表面の粘液を排泄(はいせつ)する線毛(せんもう)の運動が低下します。このため、青年期には中耳炎にならなかった人が滲出性中耳炎にかかるようになります。
 原因は、かぜが多いのですが、飛行機の着陸時の気圧の変動が原因になることもあります。
 診断は、鼓膜の診察、純音聴力検査、インピーダンス聴力検査で行ないます。
 滲出性中耳炎は、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の外来治療で治すことができます。治療方法は、抗生物質の内服、鼓膜切開(鼓膜を切開して、鼓膜の奥の炎症性の液体を吸い取ります。鼓膜を切開しても、聴力はほとんど悪化しません)、鼓膜チューブ留置(りゅうち)(鼓膜の奥に空気が送り込まれるように、中空のチューブを鼓膜に置きます)などがあります。
 お年寄りの滲出性中耳炎発症の背景には、中耳粘膜の老化がありますから、治療に時間がかかることも少なくありません。
 鼓膜切開を長期間反復する方法や、中耳炎はそのままにして、補聴器を使用する方法もあります。

出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

世界大百科事典 第2版

しんしゅつせいちゅうじえん【滲出性中耳炎】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

六訂版 家庭医学大全科

滲出性中耳炎
しんしゅつせいちゅうじえん
Exudative otitis media
(耳の病気)

どんな病気か

 急性炎症を伴わず、中耳に滲出液(しんしゅつえき)がたまっている状態です。子どもから大人まで、あらゆる年齢層に発症しますが、子どもの頻度が圧倒的です。大人では片側性のことがありますが、子どもは大半が両側性です。

 放置すると鼓膜(こまく)が陥没したり、萎縮したり、取り返しのつかない変化が起こることがあるので、適切な治療が必要です。

原因は何か

 子どもでは、中耳炎が長引いて起こることが大部分です。背景に、耳管(じかん)の機能不全による中耳換気障害が存在します。アデノイド肥大や口蓋裂(こうがいれつ)粘膜下口蓋裂(ねんまくかこうがいれつ)など、はっきりした原因が認められる割合は多くありません。

 大人では、まれに上咽頭(じょういんとう)がんの初発症状である場合もあるので、片側のみで治療しても効果のない場合は注意を要します。

症状の現れ方

 症状の主体は難聴(なんちょう)ですが、乳幼児では訴えが少なく、返事が悪くなったり、テレビの音を大きくしているなどの症状から、まわりの大人が気がつくことが多いようです。

 大人では、難聴以外に、耳が詰まる、声が響く、頭が重いなどを訴えます。

検査と診断

 診断は、顕微鏡で鼓膜を観察すれば容易です。一般に鼓膜は陥没していることが多く、中耳の貯留液が認められます。そのほか、聴力検査、鼓膜の可動性をみるティンパノメトリーなどが行われます。また、耳のX線やCT検査が行われることもあります。

治療の方法

 子どもでは、中耳周囲の空間の発達がよい場合は、治療経過もよいので、治療法を選択する際には参考になります。学齢期までには90%以上が治癒するので、保存的治療が基本になります。

 耳管機能に影響する鼻咽腔の炎症を取り除くため、鼻ネブライザー、さらに耳管通気(じかんつうき)が行われます。マクロライド系抗生剤の少量長期投与や、抗アレルギー薬、粘液調整薬、漢方薬なども併用されます。

 軽症の場合では経過観察でもよいのですが、悪化時の適切な対応が重要です。

 4歳を過ぎても保存的治療の効果がない場合、また難聴が30㏈(デシベル)以上の場合は発育にも影響するので、積極的に鼓膜切開(こまくせっかい)を行います。鼓膜切開は、乳幼児でも外来で簡単に行うことができ、感染がなければ鼓膜の穴は数日で閉鎖するので心配いりません。

 鼓膜切開を繰り返し行ってもすぐ再発する場合や、鼓膜の陥没が強い場合には、鼓膜を切開し、穴がふさがらないように細いシリコン性チューブを置き、外耳道を経由して換気できるようにします。乳幼児では、体動による損傷を防ぐため、全身麻酔が必要になります。中耳が正常化するまで、チューブの長期の留置が望ましいので、定期的に耳鼻科の診察を受ける必要があります。また、チューブを置いた状態で耳に水が入ると中耳炎を起こす危険があるので、入浴時・水泳時などには耳栓を入れるなどの生活指導が必要です。

 アデノイド肥大により耳管を圧迫している場合や、扁桃肥大(へんとうひだい)があり感染を繰り返している場合では、口蓋扁桃(こうがいへんとう)切除術、アデノイド切除術を行うことがあります。

病気に気づいたらどうする

 子どもの場合は、慢性化するため、長期の治療が必要です。症状に変動がありますが、大半の患者さんでは成長とともに軽快するので、根気よく通院することが大切です。

 外科的治療の目的は、癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎などの重篤な合併症の予防と、難聴の持続による発達への悪影響を避けるためであることを、よく理解してください。

菅澤 正

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

EBM 正しい治療がわかる本

滲出性中耳炎
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 子どもにかなり高い頻度(ひんど)でみられる中耳炎(ちゅうじえん)の一種で、耳のなかに滲出液(しんしゅつえき)がたまる病気です。
 急性の中耳炎と違って耳痛(じつう)、耳漏(じろう)(耳だれに膿(うみ)が混じる)、発熱などの症状はありません。軽度から中等度の難聴(なんちょう)や耳のつまった感じがする程度で、子どもの場合、初期に家族が気づくことはまれです。ただ、聞こえが悪くなっているので、言葉の聞きまちがいがおきたり、落ち着きがなくなって注意力が散漫になったりするなどの変化がみられます。3歳児健診や就学時健診で滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)による難聴が見つかることも少なくありません。とくに就学時健診で見つかる難聴の約半数はこの病気によるものといわれています。
 気づかないまま難聴が続くと、言語の障害や知能の遅れを招く可能性もあります。保育園・幼稚園、学校などで落ち着きがないといった注意を受けたり、テレビの音を必要以上に大きくして画面に顔を近づけて見たりしていることがあれば、注意が必要です。少しでも聞こえが悪いのではないかと感じたら、専門医に相談してみたほうがよいでしょう。
 また、鼻やのどに慢性の炎症があったり、かぜなどによって鼻やのどの感染をくり返したりすることで、この病気が長引くことがわかっています。かぜをひかないようにする、長引かせないようにすることも大切です。
 また、成人で痛みがなく耳がつまった感じがし、そのうちに滲出性中耳炎に移行して、頑固(がんこ)な難聴をおこす場合には、上咽頭(じょういんとう)の腫瘍(しゅよう)によることがありますので、耳になんらかの異常を感じたら、一度は耳鼻科を受診すべきでしょう。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 中耳腔(くう)に滲出液がたまるために鼓膜(こまく)に影響を与え、難聴がおこります。多くの場合、原因としては、細菌感染による急性化膿(かのう)性中耳炎が治りきらずに長引いたりくり返したりすること、耳管(じかん)の機能が障害されていること、咽頭などの局所および全身の感染防御が未熟であることなどが考えられています。

●病気の特徴
 この病気の頻度は、4歳~5歳と40歳~50歳に二つのピークがあります。子どもでは、100人中約1人の発症率といわれています。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]抗菌薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 滲出性中耳炎そのものに対して、抗菌薬を用いることの根拠を示す臨床研究は見あたりません。しかし、滲出性中耳炎は上気道(じょうきどう)感染が原因となることもあり、また急性化膿性中耳炎から移行することもあります。それらの上気道感染や中耳炎が細菌感染によるものであれば、抗菌薬による治療が必要であることは専門家の意見や経験から支持されています。ただし、滲出性中耳炎そのものを治すわけではありません。

[治療とケア]鼻炎(びえん)や副鼻腔炎(ふくびくうえん)がある場合は、薬を使って治療を行う
[評価]☆☆
[評価のポイント] 鼻炎の治療で用いられる抗ヒスタミン薬や、鼻づまりを改善させる薬物が副鼻腔炎の治療として有効かどうかを疑問視する臨床研究があります。抗ヒスタミン薬などの薬は、鼻づまりの症状に対しては用いることがありますが、罹病(りびょう)期間を短縮したり、合併症を防ぐ効果はないとされ、推奨されていません。(1)(5)

[治療とケア]鼓膜を切開し、滲出液を排出させる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 滲出性中耳炎は自然に改善することも多いため、鼓膜を切開して滲出液をだす処置そのものが有効であるのかどうかを明確に示す臨床研究は見あたりません。ただし、炎症が長期間持続する場合、次に示す中耳換気(ちゅうじかんき)チューブ留置術(りゅうちじゅつ)とともに鼓膜切開が行われることがあります。この方法は専門家の意見や経験から支持されています。(6)~(9)

[治療とケア]鼓膜切開でも改善しない場合、中耳換気チューブ留置術を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 鼓膜を切開し、そこからチューブを挿入し固定して、中耳腔の換気をします。これを中耳換気チューブ留置術といいます。滲出性中耳炎が長期間持続する場合には、この処置が有効であることが非常に信頼性の高い臨床研究によって認められています。(1)~(4)(10)

[治療とケア]難治化する場合にはアデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術(こうがいへんとうてきしゅつじゅつ)を検討する
[評価]☆☆
[評価のポイント] アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術が滲出性中耳炎の治療に有効であることを示す臨床研究は見あたりませんが、専門家の意見や経験から支持されている方法です。ただし、この手術を行うときには全身麻酔を要するため、その危険性を考えると、アデノイドを切除したほうがいいという積極的な理由がある場合を除けば、多くの場合、安易に勧められる治療ではありません。(1)(2)(11)


よく使われている薬をEBMでチェック

抗菌薬
[薬名]サワシリン/パセトシン(アモキシシリン水和物)
[評価]☆☆
[薬名]メイアクト(セフジトレンピボキシル)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 細菌感染による中耳炎が原因となっている場合には、細菌を抑えるためにアモキシシリン水和物などの抗菌薬が用いられます。滲出性中耳炎そのものの治療というわけではありません。

[薬名]エリスロシン(エリスロマイシン)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 副鼻腔炎を併発している場合は、その治療薬としてエリスロマイシンなどの抗菌薬が用いられます。滲出性中耳炎そのものに対する効果は臨床研究で明らかになっていません。

痰(たん)や鼻づまりなどの症状を改善する薬
[薬名]ムコダイン(カルボシステイン)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 滲出性中耳炎の背景に上気道炎があり、痰や鼻づまりの症状があればその治療としてカルボシステインが用いられることがあります。専門家の意見や経験から支持されていますが、滲出性中耳炎そのものの治療というわけではありません。

炎症を抑える薬
[薬名]ノイチーム/レフトーゼ(リゾチーム塩酸塩)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 滲出性中耳炎の背景に上気道炎があればその治療としてリゾチーム塩酸塩が用いられることがあります。有効性を示す臨床研究は見あたりませんが、専門家の意見や経験から支持されています。滲出性中耳炎そのものの治療というわけではありません。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
まずは症状を抑える治療を
 軽症の滲出性中耳炎であれば自然に改善することも多いため、あくまでも対症的な治療が経験的に行われているのが現状です。鼻づまりや痰があれば、それらを抑える薬を用います。

放置すると難聴につながることも
 ただし、この病気に気づかないまま放置すると、子どもの難聴につながる場合も少なくありません。注意力が散漫になったり、テレビの音を必要以上に大きくしたりすることがあれば、一度耳鼻科を受診しておいたほうがよいでしょう。
 長引いたり、くり返したりすることが多いので、定期的に経過を観察することが大切です。上気道炎、いわゆるかぜを背景に発病することも多いので、この病気をくり返すときには、かぜの予防にも注意を払うべきです。

併発している病気の治療を行う
 滲出性中耳炎の場合、いくつかの病気が併発していることがあります。代表的な病気は、細菌感染やアレルギーなどです。したがって細菌性の中耳炎や副鼻腔炎が背景にある場合は抗菌薬を、アレルギー性鼻炎などが疑われる場合は抗ヒスタミン薬を用いることがあります。いずれにしても、滲出性中耳炎そのものを治すわけではなく、併発している病気を治す治療になります。

重症化、長期化する場合は手術を検討することも
 対症療法などを行っても症状がとれなかったり、重症化した場合は、鼓膜切開と中耳換気チューブ留置術などの外科的治療が行われます。鼓膜をほんの少し切開し、そこからたまった滲出液を排除するのが鼓膜切開であり、さらに切開した場所にチューブを挿入し、滲出液をだしたうえに、そのチューブを固定しておいて中耳腔の換気をして聞こえやすくするのが、中耳換気チューブ留置術です。
 そのほか、アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術を行う場合もあります。ただし、治療時に全身麻酔をするため、その危険性を考えた場合、あまり勧められる治療法ではありません。

(1)American Academy of Family Physicians, American Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, American Academy of Pediatrics Subcommittee on Otitis Media With Effusion. Otitis media with effusion. Pediatrics. 2004; 113:1412.
(2)National Institute for Health and Clinical Excellence. Surgical management of otitis media with effusion in children. 2008. http://www.nice.org.uk/nicemedia/pdf/CG60NICEguideline.pdf (Accessed on November 08, 2012).
(3)Rosenfeld RM, Schwartz SR, Pynnonen MA, et al. Clinical practice guideline: tympanostomy tubes in children--executive summary. Otolaryngol Head Neck Surg. 2013; 149:8.
(4)Rosenfeld RM, Bluestone CD. Clinical pathway for otitis media with effusion. In: Evidence-Based Otitis Media, 2nd, Rosenfeld RM, Bluestone CD. (Eds), BC Decker Inc, Hamilton, Ontario. 2003. p.303.
(5)Griffin G, Flynn CA. Antihistamines and/or decongestants for otitis media with effusion (OME) in children. Cochrane Database Syst Rev. 2011; :CD003423.
(6)Mandel EM, Rockette HE, Bluestone CD, et al. Myringotomy with and without tympanostomy tubes for chronic otitis media with effusion. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 1989; 115:1217.
(7)Mandel EM, Rockette HE, Bluestone CD, et al. Efficacy of myringotomy with and without tympanostomy tubes for chronic otitis media with effusion. Pediatr Infect Dis J. 1992; 11:270.
(8)Cohen D, Shechter Y, Slatkine M, et al. Laser myringotomy in different age groups. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2001; 127:260.
(9)Szeremeta W, Parameswaran MS, Isaacson G. Adenoidectomy with laser or incisional myringotomy for otitis media with effusion. Laryngoscope. 2000; 110:342.
(10)Wallace IF, Berkman ND, Lohr KN, et al. Surgical treatments for otitis media with effusion: a systematic review. Pediatrics. 2014; 133:296.
(11)van den Aardweg MT, Schilder AG, Herkert E, et al. Adenoidectomy for otitis media in children. Cochrane Database Syst Rev. 2010; :CD007810.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

滲出性中耳炎」の用語解説はコトバンクが提供しています。

滲出性中耳炎の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation