@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

演出【えんしゅつ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

演出
えんしゅつ
direction
演劇,舞踊,映画などで,台本や筋書に含まれている内容を具体的な現象として表現するための芸術的,技術的操作のこと。演劇,映画はもちろん,ショーや写真も多種多様な要素で構成されるので,それらを統一ある表現にまとめあげるための作業が要求される。たとえば,演劇では上演目的にそって戯曲を解釈し,その解釈を一方では舞台美術の責任者に徹底させ,他方では俳優に稽古をつけて,その創造活動に方向を与え,観客への効果的な伝達をはかるのが演出である。この言葉が上記の意味で初めて日本で使われたのは,1917年踏路社という新劇団によってであり,それ以前には舞台監督といった。映画では今日でも監督ということが多い。演出が独立した職能となり個性をもつようになったのは,ヨーロッパの 19世紀以降の演劇においてであり,マイニンゲン公ゲオルク2世,A.アントアーヌ,スタニスラフスキー,G.クレイグ,ラインハルトらのすぐれた演出家の輩出によるものである。日本でも 1907年前後から坪内逍遙,島村抱月,小山内薫らによって,近代的な演出が行われるようになった。 1960年代以降の世界的な傾向として,演劇上演における戯曲の重要性が低下し,演出家は「上演の作者」という意味で,劇作家よりも重要な地位を占めることが多くなってきている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

えん‐しゅつ【演出】
[名](スル)
演劇・映画・テレビなどで、台本をもとに、演技・装置・照明・音響などの表現に統一と調和を与える作業。
効果をねらって物事の運営・進行に工夫をめぐらすこと。「結婚式の演出」「演出された首班交代劇」

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

えんしゅつ【演出】
演出とは,舞台のために書かれた戯曲に,あらゆる方法によってを与え,光を与え,生命を与えることである。戯曲を上演するためには,その中心となる俳優の演技をとりまく舞台装置,照明,音楽,音響効果などさまざまな要素が必要であるが,そのすべてを統一して調和させるのが演出の仕事である。演出家の使命は現代演劇の発展とともに重要性を増してきたが,この役割は演劇の歴史とともにあったといえる。ギリシア時代には,作者がしばしば演出,俳優,合唱隊長を兼ね,執政官は富める市民を選び出して合唱団の組織,衣装の調達など劇上演の管理にあたらせた。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

えんしゅつ【演出】
スル
演劇・映画などで、脚本・シナリオに基づき俳優の演技・舞台装置・照明・音楽・音響効果などを統合して一つの作品を作ること。 創作劇を-する
式や催し事などを盛り上げるために、進行や内容に工夫を加えること。 開会式の- 派手な-で会を盛り上げる

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

演出
えんしゅつ
観客の前で公演される劇作品の創造各部門を統括する役割を演出といい、その統括者が演出家である。演出家の役割は、上演台本の検討に始まり、演技、装置、照明、衣装、音楽、振付け、効果など各部門の能力を一定の芸術的意図のもとに総合し、舞台に定着させるまでの創造作業を具体的に指揮、総括する。なお、公演初日以降の舞台上の統括は舞台監督の責任となるのが通例である。演出が重要視されだしたのは、各部門が専門分化する近代以降である。
 英語ではプロデュースproduce(劇作品の制作、上演)、またはステージ・ディレクトstage direct(舞台の指揮、監督)といい、演出家をディレクターdirectorとよぶことが多い。フランス語ではミザンセーヌmise en scne(舞台化)の語をあて、中国では「導演(タオイエン)」の語をあてる。日本では大正末ごろまで「舞台監督」の訳語をあてていたが、やがて舞台監督と職能的に区別するために築地(つきじ)小劇場時代に「演出」の訳語がしだいに定着し、その後、映画、ラジオ、テレビなどの分野にも波及した。また「プロデュース」は経済的責任をもつ「制作」の概念が欧米や日本で一般化してきた。
 近代以前、演出機能を担う者は、上演集団の作者や指導的俳優であり、また両者の協同作業によったとされる。古代ギリシア悲劇の父アイスキロスは、作者にとどまらず合唱隊長、俳優も兼ね、衣装、仮面、装置など舞台化の実際面や稽古(けいこ)進行の責任つまりは演出を担当し、ソフォクレスはそれらを合唱隊長に委任したと伝えられる。中世の宗教劇では上演監督者の僧侶(そうりょ)がそれらの役割を担当したらしいことを中世絵画は伝えている。ルネサンス以降は、シェークスピアやモリエールのように作者兼俳優兼劇団主宰者が演出の役割を担当した。能や歌舞伎(かぶき)では一座の座頭(ざがしら)役者が演出家を兼ねていた。
 1860年、ドイツのゲオルク2世大公(1826―1914)がマイニンゲン市に自ら宮廷劇場を建て、劇場長をも務め、従来のスター・システム的な主役中心主義を否定した集団的アンサンブル・システムをつくりだし、装置も改革して舞台造形の立体化を図った。そしてマイニンゲン公劇団の全ヨーロッパ公演(1874~1890)を実現させ、大きな衝撃をヨーロッパの演劇界に与えた。当時はイプセン作『人形の家』(1878)など近代の自然主義的戯曲が生まれた時期でもあり、ついでフランスのアンドレ・アントアーヌの自由劇場創立(1887)に代表される自然主義的演劇運動が各国で展開される時代でもあった。つまり、19世紀末の近代自然主義演劇成立とともに、舞台機構も複雑化し、それらを統括する演出機能が確立されていったのである。以後モスクワ芸術座のスタニスラフスキーら、各国に優れた演出家が輩出し、それぞれの演出理念を舞台上に展開した。なかにはイギリスのゴードン・クレイグのように、演出の絶対的支配権を主張する者まで現れた。
 日本では明治末期の文芸協会や自由劇場による演劇近代化運動の深まりにつれ、坪内逍遙(しょうよう)、島村抱月(ほうげつ)、小山内薫(おさないかおる)らにより近代的演出機能が確立され、大正末期の築地小劇場創立(1924)とともに、現在に至る演出の基盤がつくられた。こうして20世紀以降、演出者中心の舞台創造が行われるようになった。一方、演出権の強化に対抗して演技者の主体確立を叫ぶ主張も高まった。
 新劇系に対し、小劇場系といわれる1960年代以降の若手劇団には、唐十郎(からじゅうろう)のように作者兼俳優兼演出者兼劇団主宰者が現れ、平田オリザ(1962― )のように作者および劇団主宰者が演出を担当することが多くなり、作・演出の一体化傾向が強まっている。21世紀初頭の代表的演出家としては、静岡県立劇場総監督の鈴木忠志(ただし)(1939― )、劇団四季の浅利慶太(あさりけいた)(1933―2018)、フリーの蜷川幸雄(にながわゆきお)などがいる。[石澤秀二]
『ポール・ブランシャール著、安堂信也訳『演出の歴史』(1961・白水社) ▽木村光一著『劇場で対話は可能か――演出家のノート』(1985・いかだ社) ▽鈴木忠志著『演劇とは何か』(1988・岩波書店) ▽野田雄司著『演出のすすめ方――確かな劇創りに』(1992・青雲社) ▽サン・キョン・リー著、田中徳一訳『東西演劇の出会い 能、歌舞伎の西洋演劇への影響』(1993・新読書社) ▽鈴木忠志著『演出家の発想』(1994・太田出版) ▽山内登美雄編『ヨーロッパ演劇の変貌――ゲオルク二世からストレーレルまで』(1994・白凰社) ▽佐々木健一著『演出の時代』(1994・春秋社) ▽井上ひさし編『演劇ってなんだろう』(1997・筑摩書房) ▽浅利慶太著『浅利慶太の四季 著述集2 劇場は我が恋人――演出ノート選』(1999・慶応義塾大学出版会) ▽風間研著『舞台の上の社会』(2000・みすず書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

えん‐しゅつ【演出】
〘名〙
① 遠く広くのばし出すこと。
※正法眼蔵(1231‐53)看経「経巻は若樹若石の伝持あり、若田若里の流布あり、塵刹(ぢんせつ)の演出あり」
② 演劇、映画などの用語。
(イ) 脚本を舞台で演じること。上演。
※戯曲作法(1918)〈小山内薫〉一「舞台に演出(エンシュツ)せらるる戯曲を見」
(ロ) 演劇、映画、テレビなどで、戯曲や台本を解釈し、それに従って、演技、装置、照明、音楽、衣装、小道具など各種の表現要素を決定し、舞台や画面に統一と調和を与えるための一切の指導を行なうこと。また、その役。映画界では監督ともいわれる。
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生東京を去る「いつか有楽座で見たその演出が甚だ不出来であった故か」
③ ある効果をねらって身ぶりや物言いなどに工夫をこらすこと。また、集会などをうまく進行させて興をたかめること。
※余興(1915)〈森鴎外〉「物語が、朗々たる音吐を以て演出(エンシュツ)せられて」
④ 事件などをしくむこと。事件をひき起こす要因をつくること。
日本風景論(1894)〈志賀重昂〉一「太平洋岸にては在来日本歴史中の重要なる事件を演出し」
[補注]②は、西洋近代の演劇用語の翻訳で、小山内薫が使い始めたものであるという。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

演出」の用語解説はコトバンクが提供しています。

演出の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation