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火山灰土壌【かざんばいどじょう】

世界大百科事典 第2版

かざんばいどじょう【火山灰土壌 volcanic ash soil】
地質学における火山灰の定義よりやや広く,軽石スコリアを含む火山放出物に由来する土壌をいう。したがって,一部では火山性土volcanic soilとも呼ばれる。日本は世界有数の火山国であるから,火山灰土壌の分布も広く,面積約6万km2,国土の約16%に及んでいる。地域的には北海道,東北,関東および九州に広く,地形的には洪積台地や山ろく緩斜面に主として分布する。
[火山灰土壌の特徴]
 一般に黒くて厚い表土をもつことが重要な特徴である。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

火山灰土壌
かざんばいどじょう
volcanic ash soil

火山灰を母材とする土壌。火山の噴火のときに空中に放出された灰、砂、礫(れき)が地表に落下すると、火山灰層を形成する。火山灰は火山活動の休止または衰退に伴って土壌生成を始めるが、その時間が短い間は、気候、植生の作用を十分に反映した土壌(気候的土壌または成帯性土壌)にまで発達せず、火山灰層のもつ特有な性質を保留した未成熟土壌の状態にとどまっている。あえてこの状態の土壌を火山灰土壌とよぶ理由は、保留された特有の性質が非常に特徴的で、かつその状態がかなり長く持続するとみられるからである。火山灰土壌はさらに以下の二つに大別される。

(1)噴出源に近く、したがって粗粒のスコリア(岩滓(がんさい))やパミスpumice(酸性の火山岩に由来する軽石)に富み、風化年代のきわめて短い数百年以下の年月で生成された新期火山灰土
(2)噴出源より遠く離れた非火山地域をも広く覆い、細粒の火山灰が褐色に風化したいわゆるローム層を母材とするアンドソル(アンド土壌または黒ぼく土、狭義の火山灰土)
[浅海重夫]

農業利用

火山灰土壌は日本では全国的に分布し、総面積は310万ヘクタール以上とみられる。北海道、東北、南関東、九州にとくに多い。通常、表層は多量の腐植を含み特有の黒色を呈するが、下層は淡褐色または褐色である。土壌統による分類では大部分が黒ぼく土壌群に、一部が多湿黒ぼく土壌群に類別される。畑土壌では黒ぼく土がほぼ半分を占める。水田では約1割が多湿黒ぼく土である。性質は、噴出の年代、母材、風化の程度により異なるが、一般に風積性の軽い土で乾燥すると風で飛ばされやすく、冬には霜柱が立ちやすい。排水がよく耕うんが楽であるが、塩基が溶脱され酸性で植物に有害なアルミニウムイオンが活性化する。この活性アルミニウムにより火山灰土壌はリン酸の固定、腐植の集積など特異な理化学性を示す。酸性の度合いは新しいものは弱いが、年代の経ったものは強い。改良法としては、生石灰(酸化カルシウム)などの酸性矯正資材の施用、リン酸肥料の多投、堆厩肥(たいきゅうひ)などの有機物の施用が有効である。

[小山雄生]

『山田忍著『土壌の生成・分類・調査とその活用――特に火山灰土壌を中心として』(1968・養賢堂)』『日本土壌肥料学会編『火山灰土――生成・性質・分類』(1983・博友社)』『火山灰と土壌編集委員会編『火山灰と土壌』(1983・黒部隆教授退官記念論文集刊行会、博友社発売)』『松井健・近藤鳴雄著『土の地理学――世界の土・日本の土』(1992・朝倉書店)』『農林水産省九州農業試験場編『雲仙・普賢岳火山灰の土壌および農作物へ及ぼす影響の解析』(1993・農林水産省九州農業試験場)』『日本土壌肥料学会・ペドロジスト懇談会監修、久馬一剛・永塚鎮男編『土壌学と考古学』(2001・博友社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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