@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

烏帽子【えぼし】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

烏帽子
えぼし
日本の伝統的な男性用かぶりもの一種。烏色 (くろいろ) のかぶりものの味で,中国唐代 (7世紀) の烏沙 (うしゃ) 帽に由来。天武 12 (683) 年にかぶりものに関する官制がしかれ,その際に圭冠ができたが,これが変化して烏帽子となり,平安時代以降,身分に関係なく日常的に着用された。黒のなどの布を袋形につくり,後頭部の内側に組緒をつけて,かぶるときに整える。公家は宮中出仕以外の日常これをかぶるが,五位以上は立 (たて) 烏帽子,以下は頂を折り曲げた風折 (かざおり) 烏帽子を用い,武家の社会では引立 (ひきたて) 烏帽子, (さむらい) 烏帽子という独特のものを生じた。さらに室町時代末には形式化された納豆 (なっとう) 烏帽子が現れたが,動作の不便さからやがて露頂へと移り,その後,烏帽子は儀式用と化した。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

え‐ぼし【×帽子】
《「えぼうし」の音変化で、烏塗(くろぬり)の帽子の意》
元服した男子のかぶり物の一。古代圭冠(けいかん)の変化したもの。もと平絹紗(しゃ)などで袋形に作り、薄くを引いて張りをもたせたが、平安末より紙を漆で固く塗り固めて作った。貴族は平常用として、庶民は晴れの場合に用いた。階級・年齢などの別によって形と塗りを異にするようになり、立(たて)烏帽子風折(かざおり)烏帽子侍烏帽子引立(ひきたて)烏帽子揉(もみ)烏帽子などの区別が生じた。
紋所の名。1をかたどったもの。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

え‐ぼうし【×烏帽子】
えぼし(烏帽子)」に同じ。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

えぼし【烏帽子】
日本における男子の被り物の一種で,早く奈良時代から着用され,江戸時代に至った。天武天皇のとき漆紗冠(しつしやかん)と圭冠(けいかん)の2種ができたが,この圭冠が後世の烏帽子のであると古くからいわれている。中国でも4世紀ころから絹紗(けんしや)を用いてつくった紗帽(さぼう)があり,上下一般に用いられてきたが,こうした慣習が日本に流入したものと考えられる。日本では推古天皇のときに定められた冠制以来,官吏は結髪して冠することになったが,この男子の結髪の風習が一般庶民に普及するに及んで,帽子をかぶる習慣もしだいに広くなった。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

えぼし【烏帽子】
カラス色(黒色)の帽子の意
元服した男子の用いた袋状の冠物。奈良時代の圭冠はしはこうぶりから変化したといわれ、平安時代結髪の習慣の一般化とともに広く庶民の間にも用いられた。公家は平服時に絹や紗で製し黒漆を塗ったものを、庶民は麻布製のやわらかいものを用いた。のち紙製で漆で塗り固めたものとなり、近世まで公家・武士の間で用いられた。立烏帽子・折烏帽子・侍烏帽子・萎なえ烏帽子などがある。えぼうし。
家紋の一。折烏帽子を図案化したもの。
[句項目] 烏帽子を着せる

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

烏帽子
えぼし
古代以来の男性の冠物(かぶりもの)の一種。字義は黒塗りの帽子ということ。天武(てんむ)天皇11年(682)に漆紗冠(しっしゃかん)、13年に圭冠(はしばこうぶり)の制定があり、前者が平安時代の冠(かんむり)となり、後者が烏帽子になったといわれている。冠は公服に、烏帽子は私服に用いられた。形は上部が円形で、下辺が方形の袋状である。地質については、貴族は平絹や紗(しゃ)で製し、黒漆を塗ったもの。庶民は麻布製のものであったが、中世末期より、庶民はほとんど烏帽子をかぶらなくなり、貴族は紙製のものを使うようになった。
 鎌倉時代に入り、上級の者は、上部を左側か右側に折り畳んでそれを風折(かざおり)烏帽子とか、平礼(ひれ)烏帽子とよび、以前のものを立(たて)烏帽子とよぶこととなって、正式のものとした。前部の押しへこませたところは、元来好みによって形づけられたが、近世になると形式的に固定化し、左眉(ひだりまゆ)(通常用)、右眉(上皇用)、片眉、諸眉(もろまゆ)(若年用)などの名がつけられ区別された。下辺の額のあたるところを丸く、後頭部を細くして先端をとがらせ風口(かざぐち)とよび、上方前部を「まねぎ」とよんだ。また生地の皺(しわ)を形式化して「さび」とよび、その大小によって大さび、小さび、柳さびといい、老年ほど大きく、また漆塗りのつやのあるのを若年用とした。烏帽子が固形化するとともに、頭から落ちないように掛緒(かけお)とよぶ紐(ひも)をかけた。これは、一般には、こよりを結び切りにして用いるが、勅許を得れば紫の組紐を諸(もろ)わなに結び、余りを長く垂らして用いることができた。
 武士は行動の便宜上、風折よりもさらに折り畳んで形づくったものを侍烏帽子ともよび、好んで用いた。室町時代末になると、結髪の変化に伴い、さらに形式化され、髻(もとどり)を入れる部分が不必要となって、板状の三角形のものを立てるのみとなった。[高田倭男]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

え‐ぼうし【烏帽子】
〘名〙 =えぼし(烏帽子)
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「御みゑぼうしし給ひて」

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

え‐ぼし【烏帽子】
〘名〙
① (「えぼうし」の変化した語。烏塗(くろぬり)の帽子の意) 元服した男子の用いたかぶりものの一種。令制の朝服付属の冠に対し、貴賤の別なく、成人の男子の日常不可欠のかぶりものとされた。布帛(ふはく)で柔らかに仕立てられたが、貴族は威儀をととのえるために、薄く漆を塗って引き立てて用いたところから、立烏帽子といい、外出して風で頂辺が折れたことから風折(かざおり)ともいった。平安末期から強装束(こわそうぞく)の流行につれ、厚塗りとなって形式化し、塗りによって縁塗(へんぬり)、さわし塗、きらめき塗などの別を生じた。大衆は従来の柔らかな仕立てで揉(もみ)烏帽子、梨子打(なしうち)烏帽子などとよんで用い、武士は細かく折った侍(さむらい)烏帽子を常用した。鎌倉末期からいっそう形式化し、紙製が多くなり、皺(しぼ)を設けた漆の固塗が普通となったため、日常の実用は困難となった。一般に儀礼の時のほかは室町末期から用いなくなった。
※平家(13C前)一「衣文のかきやう、烏帽子のためやうよりはじめて」
② 紋所の名。烏帽子の形をしたもので宮司(ぐうじ)烏帽子、侍烏帽子、立烏帽子など、種々ある。
※浄瑠璃・碁盤太平記(1710)「力彌とは、殿様のおきせなされしゑぼしぞや」
※雑俳・柳多留‐五二(1811)「耳に沓口にはゑぼし身に袷」
⑤ (烏帽子をかぶっているところから) えびす神の異称。
※雑俳・柳多留‐六一(1812)「頭巾をば六度ゑぼしは二度祭」
[語誌](1)江戸時代や明治時代には語頭字の仮名遣いについて「え」か「ゑ」かという論争があったが、現在は「え」としている。
(2)中古の和文作品には「え(ゑ)ぼうし」という形の例が多いが、鎌倉時代の写本には「え(ゑ)ぼし」の形が見られ、その後次第に「え(ゑ)ぼし」の形が多くなり、「日葡辞書」にも「Yeboxi(エボシ)」とある。
(3)「ゆぼし」「よぼし」ともいい、「斎帽子」から出た語といわれる。元来は祭事に関係ある神聖なもので、これによって一人前の男子として晴れの場所に出られる資格を得た。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

烏帽子」の用語解説はコトバンクが提供しています。

烏帽子の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation